遅すぎることはないと人は言うけれど

私は決して若くはない。その癖、社会慣れしていないせいか、いくつか見た目は若く見られる。

大学を留年した後、フリーター生活を延々と続け、現在リーマン3年目に至る。社内では若い方だ。しかし、社会一般的に見ると、もうその分野で一人前になってていいはずの年齢だ。その為、今でもいろいろと辛い目に出くわす。

「君は本当はキャリア何年目だい?」

「その年でやばくないか?」

いろいろ言われる訳です。私が入社した会社の業種の特性なのかもしれないが、今まで自分が送ってきた人生とは全く違いすぎて最初は戸惑いまくりだった。どれぐらい違うかというと、アンパンマンと大岡越前ぐらい違います。ずっとアンパンマンを見ていた私に、突然加藤剛が話しかけてくる感じだ。どうだ分からないだろう。

入社してから今に至るまでは地獄の日々だった。毎朝駅のホームで死を思い、帰宅後にベランダで星を見つめ涙を流す毎日を送った。原因不明で呼吸困難になった。医者に行っても特に異常は見当たらず、精神的なものではないかと判を押された。これがどれぐらいきついかというと、正常なときの肺の酸素許容量が10だとすると、3ぐらいの状態が常時続く。人間呼吸が困難になると、とにかく疲労がたまる。呼吸困難状態は3か月ほど続いた。そうして疲労の末か、首の角度が少し前後左右に曲がると眩暈を起こすという症状が出始めた。調べてみると、どうやらこれは「頭位めまい症」というものらしい。

何がつらかったと言えば、まず人間関係だ。私はそれまで仕事は一応途切れなくし続けてきたものの、いわゆる会社という箱の中で、複数人で業務にあたるということをしたことがなかった。私の仕事の人間関係といえば、レジ内のパートナーぐらいだったのだ。それが、上司、その上の上司、別部署の人間、社長、総務の女などなど、いろいろなセクションから押し寄せてくるようになった。

自慢じゃないが私は人下手だ。診断されたことはないが、対人恐怖症だと診断されたとしたら「ああよかったやっぱり」と胸を撫で下ろすだろう。それぐらいの私だ。さらに、ビジネスマナーもビジネス用語も業界常識も何もかも知らない「さほど若くもない男」だ。余計に引け目を感じ、社内で私は孤立していった。

私は上司を恨み、会社を恨み、社長を恨み、社会を恨んだ。そうしてスーパーファミコンのゴエモン2を日々やることによって心の平静を保っていた。

私なりに、遅れて社会に出るにあたって、知っておいた方がいいこと、覚悟しておいた方がいいこと、対処できそうなことをこれから述べていこうと思う。とりあえずまず言えることは、「仕事なんてどうでもいい」という考えを早々に持っておいた方が、生きやすいですよということだ。あなたが、めちゃくちゃ上昇志向の人間でしたら、きっと私を殺したいでしょう。

つづく。

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