先行き

電車は遅延している。
空は薄く雲が広がっている。
不安とよく似ている。

とりあえず全てに待ったをかけて、自分を定義する時間を放棄した。
具体的な言葉は無意味になり、求めるものを水で薄める。
空間浮遊。
無味無臭。

度の入っていない眼球が境界線を暈して交わらせて、眠い退屈な景色を脳に映そうとしていた。

あーめんどくせえ。

言語化、めんどくせえ。

私に具象化されたがらない私という原書。
私の翻訳を避ける私の原文。
一度私の肉を通り越えると、私の興味関心から離れてしまう私自身の身体的記憶。
生々しいからこそ具象化を好まない。

あーめんどくさい。

わかりやすい言葉やわかりやすい絵でそれはそれとして置いておかねばなるまい。

内なる怒りを外に。知らない誰かに。
血塗れのピアッサー。
壊れてしまった。
痛い痛い。

自宅で入院生活。

言葉は外に放った時から自分を離れる。
別の命を持ってしまう。

言葉が生まれたがっている。
翻訳を必要とせず解釈を嫌いながら、私からの解放を望んでいる。
さよなら言葉。

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