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「歌いたい!」から20年。ボイトレ教室ジプシーになっていた話

シンガーソングライターとしての活動を始めるずっと前。2002年のこと。33歳で離婚した私は、突然、「歌を歌いたい!」という気持ちになった。

自分の望みを叶える度に「真我」に近づいていくもの。

離婚して、どう生きたいのかを自分に問い始め、心の玉ねぎを一枚ずつむいていく作業をしていると、どうしようもなく歌を歌いたくなったのです。


「ママさんの習いごと」だからと真剣に教えてもらえない?

そこから、ヴォーカル教室に通い始めました。しかし、最初のヴォーカル教室では、どうやら「ママさんだし、そこそこ歌えたらいいんでしょ?」という先生の裏コンセプトが透けて見えた。

33歳の子持ちママの生徒。独身でメジャーデビューを目指して活動しているピッチピチの20代の先生から見たら、私たちなんかはおそらく「お遊び」に見えたのだろう。

うまくおだてて乗せてくれる優しい先生で、めちゃくちゃいい声だった。でも、どこか「だけど、カラオケでそこそこレベルを目指す」ぐらいに思っておられるのがレッスンしているとわかるのだ。

「もっとこんなふうに歌いたいんです」「ビブラートってどうやって練習するんですか?」などいろいろ質問するがどうもふんわりとはぐらかされる。仮に、基礎が大事とかなら「それは、もっと先にやりましょうね」などと言ってくれるはずだが、そういうわけでもなく、ただいつも同じ練習をしてるだけで、やたら褒めてくれるが自宅での練習方法などを尋ねてもはぐらかされるので、結局のところ「ママさんだし、そこそこ歌えたらいいんでしょ?」が、私のような30代の生徒への対応なんだろうなと理解した。

その後、社会人バンドを始めてから数年、たまにヴォーカル担当になることはあるが、ほとんどピアノだったので、数年間、日々歌を歌うことはなくなった。その社会人バンドは自然消滅し、私は京都に引っ越した。


ちゃんと歌を習いたい!と納得できるボイトレ教室を探す

そして、2018年。シンガーソングライター活動を始めてから、またヴォーカル教室を探した。ある先生は「腹筋をしなさい」という。口が裂けそうなほど口を縦に開ける練習をしたりもする。でも、その先生の生徒さんの発表会の動画を見ると、やたらと大声で叫ぶような歌い方をしていて、「あぁ、そういうのは、私の作る歌には合わないな」と思ったのと、先生が私自身に全然興味がないことも(わかる体質なので)感じたので、数ヶ月でやめた。

その後、コンシャスダンスの先生である元・芸能人(歌、ダンス、演劇すべてできる)の方に、オンラインとリアル、2回教わってみて、身体に響かせる歌い方を知り、すごくおもしろくなってきた。声を前に出すのか、後頭部めがけて出すのか、上顎に向けた出すのかなど、ボディに響かせる手法を教えてもらったり、「喉の奥にテニスボールが入っているようなイメージで喉をしっかり開けて」と具体的にイメージしやすいように教えてもらえた。先生によってこんなに教え方が違うのだと感激して、この人から教わりたいと思った。

でも、彼女はいつも日本にいるわけではないのと、月3回のレッスンが基準のオンライン講座だったので、月額で考えると片親で3人の子を育てる(再婚はしたが娘の学費がかかる時期)私には、続けていけるだけの金額では無いので、毎月の生徒にはなれなかった。

そして、私はまた別のヴォーカルの先生を見つけた。アメリカ仕込みで、前出の先生と同じように身体に響かせる歌い方を教えてもらうのだが、どうも先生自身ができていなかったり、私ができているときとできていないときの先生の指摘がどうも違うようで引っかかっていた。自分では同じような発声でも、先生には、どちらかはできていて、どちらかはできていないと言われる。そして、先生自身がヴォーカリストではなく、その手法と教え方を知っているだけで、先生自身が示す手本があまり説明通りには聞こえず、そこにも疑問を感じ始めた。

そのころ、コロナ禍に入っていき、自然とその先生から疎遠になった。コロナ禍でも、その先生は私のほうを向いて発声するのも気になった。


マンツーマンをあきらめてゴスペル教室を探す

どうしようかと思っていたら、前からチェックしていたゴスペル教室に京都校ができていることを知り、早速、体験してみたら想像以上に楽しくてすぐに入学した。

基礎はほとんど学べないが、歌の表現や発音については、本当に本当に学びになる。しかも、お月謝は月6,600円。これは、今も続けている。

でも、やはり上手くなりたい。基礎を知りたい。
どうしたらいいのか。


え? 「ボイトレ」の必要はない? 

そうこうしているうちに、自分の主催しているイベントなどで、いろいろなヴォーカリストに出会う機会が増えてきた。すると、「特に習ってないんです」というヴォーカリストさんが意外にいることを知る。

そして、本業がヴォーカリストの呼吸法の先生にも言われた。「ボイストレーニングはしなくても大丈夫ですよ。それよりも、ご自身をよく整えることで、必ず歌は聞く人に届きます」と。

えー、ボイトレしなくていいの?

半信半疑で、「20分程度の発声練習をしていますが、それも不要ですか?」と訊いてみたら、その程度ならしてもいいと思いますよ。とのこと。これを続けつつ、私は呼吸法で自分を整えることにした。そこから一年ほど経った。

それから、いいな!と思うヴォーカリストさんたちに出会うと、「どうやって練習したんですか?」と訊いてみることにした。すると、結構な割合で、「ヴォーカル教室などには行ってない」とおっしゃる。

・数ヶ月行ってみたけれど経済的に続かなかった
・先生の癖を自分も引き継いでしまいそうだから行かなかった

などなど、意外に習わずに上手になれるらしい!
目から鱗!だった(笑)。

「なにかを始めようとするとき、人から学ばなければいけない」
という固定観念が、日本人ってあるよね〜なんて話していたが、なんのなんの、私自身が、まさにそうだったのだと気づかされてしまった。

4人の先生に習ってみて、3人の先生に納得いかず、唯一の先生はアメリカ在住。呼吸法の先生からは、ボイトレ不要説。それでも、まだ、ボイトレを習おうとしていた私(笑)。本当に自分のことって自分でわからないものだ。

さて、そこでヴォーカリストの先輩たちから伺った「聞き手の心に伝わるヴォーカリストになるためのコツ」をまとめてみたので、それを、次回は記したいと思います。

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