母90歳。ベランダに干したシーツはお日さまのかおり♡
ベランダで洗濯物を干すことは、母にとって一人暮らしの自信につながっています。自分で干したシーツに包まれて、太陽の匂いを感じながら眠れるのは、とても幸せなことなのです。
洗濯は母の仕事
母の暮らしを見ていて幸せだなぁ~って感じるのが、元気な体で、今でもベランダでお洗濯物を干せることです。なんてったって90歳。「そりゃ、危ないでしょ~」って声があちこちから聞こえてきそうです。
・・・たしかに・・・。水分を含んで重くなった衣類やシーツを抱えて、2階まで持って上がるのは一苦労のはず。
「一歩一歩な…丁寧にな…足を運んでな…手すりを持って、そろそろ上がるんじゃ」と母は言いますが・・・一般的には「危険だからやめて~」って止められてもおかしくない「お年ごろ」です。
三年前に介護が始まったばかりの母はヨロヨロのつたい歩きで、平坦な地面を歩いても「ちょっとつかまらせて」と、私の身体に寄りかかってくることがある頼りない状態だったのですが、今は・・・今は・・・今は違うのです。母は変身したのです。生まれ変われたのです。
母の自信をささえるリハビリ
理学療法士さんのトレーニング
理学療法士さんがお家に来てくれる「訪問リハビリ」で、45分のトレーニングを週2回続けて、もうじき3年目になります。メキメキ成果が現れ、身体にしっかりとした軸が生まれ、シュタシュタと歩けるようになりました。「家の階段を上り下りする練習があるんじゃ」と母から聞きました。足の運び方、手すりの持ち方、壁に手をつく位置・・・きめ細かくトレーニングしてくれるのです。
ケアマネージャーさんのプッシュ
「この方は最期までおうちで暮らすことを望んでいます。室内の移動で困ることがない身体になれるようにメニューを組み立ててください」とケアマネージャーさんが母の気持ちを代弁して契約の時に伝えてくれました。遠距離介護なので、LINEビデオ通話で参加していたのですが、私がそばにいなくても、ケアマネージャーさんが母をしっかり守ってくれていることが感じられて、とても心強く感じました。
汚れものはサ~ッと洗濯
母が洗濯を楽しそうにするのが印象的なのか、訪問に来てくれたヘルパーさんが、母の洗濯の様子をよく教えてくれます。「昨日シーツ交換をしたら、今日はもう洗って畳まれていました」とか、「きちんと角をそろえて畳まれていました」など、きめ細かくメールや電話で教えてくれます。
買い物の予定でヘルパーさんが母の家を訪問したら、母はパッキパキに乾いたタオルをたたんでいる真っ最中だったようで、写真を送ってくれました。
「できることは自分でなんでもしたいんじゃ」
母は、最近、特に最近のことを思い出すことが苦手になってきました。日々の暮らしのなかで、「あれ…どうだったっけ…」と戸惑うことにたくさんあるるはずです。でも・・・洗濯は、「洗うのも、干すのも、畳むのも」母お得意の大~好き♡な家事です。「そろそろお洗濯もヘルパーさんにお願いした方が良くない?」とたずねても、「ええ、これぐらいはできる。できることは自分でなんでもしたいんじゃ」と言い、決して誰かにゆだねようとしません。
"待つ介護"って、やさしくて贅沢
母が洗濯好きなことをヘルパーさんは熟知されているようで、母が洗濯物を全てたたみ終わってから二人で買い物に出かけたそうです。その間はヘルパーさんの手助けは一切ありませんでした。母の様子を見守りながら、室内のお掃除をしながら待っていてくれました。
効率よくことを進めるなら、「手伝いましょう」とサポートして、チャチャっと終わらせて買い物に出かける方が断然時間のロスがありません。でも・・・母のヘルパーさんは、ただただ待ってくれました。母が好きなこと、今できることを大切にしたいというヘルパーさんの温かい配慮が感じられて、電話でお話を聞いているだけで、ほっこり心が温まりました。
「太陽の匂いってええ♡」
家事の中で、母が一番好きなのは洗濯です。幼いころ、シャリシャリに乾いたシーツに包まれて眠ると、「あぁ、幸せだなぁ~」と身体がゆるんだのを思い出します。「太陽の匂いってええじゃろ~」と笑う母の顔が浮かんできました。
リハビリで筋力を盛り返し、安全な足運びをマスターした母は、100歳まで、いや、それ以上長生きして、ずーっと、ずーっと、お洗濯を楽しむことでしょう。自分で洗濯機を回して洗濯し、二階のベランダに持ち運び、「よっこらしょ~」と洗濯物を干し続けることができる手応えを感じられることは、「今日も、明日も、これからも、きっときっと大丈夫」と生きる自信につながって、前向きに「生きる勇気」が湧いてくるはずです。
お日様の香りを胸いっぱいに吸い込んで眠ると、いい夢見られそうです。今夜はどんな夢を見るのかな~。
自己紹介と今までの我が家の介護に関するnoteの記事をまとめています ⇧
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