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『認知症のある人と向き合う』 やさしい気持ちの循環がはじまるヒント⑤~⑧
認知症のある母の気持ちを理解することができたら、今までよりもずっと優しい気持ちで寄り添うことができるようになりました。このシリーズは認知症のことをもっと理解したいと思っているあなたにお届けしします。
精神科医の大石 智(さとる)さんの『認知症のある人と向き合う』という本をもとに認知症のあるご家族の気持ちを理解して「やさしい気持ち」で向き合えるヒントを探っていきます。
今までTwitterやstand.fmのアプリでシェアしてきたインタビューをまとめました。「困ったな…どうしよう!?」というときのヒントにしていただければうれしいです。
今回は次の4つのテーマをまとめています。BGMが気になる方のために「ひかえめVer.」も準備しました。お好みでお選びください🎵
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⑤ 認知症を心配したときの受診のすすめ方 stand.fm
はじめてもの忘れ外来を受診する時に、母が激しく抵抗したのを思い出します。もっと母の気持ちに寄り添えたら良かったのに…と胸が痛みます。診察を考えるときの声かけをどうしたらいいのか大石さんに伺いました。
【認知症があると全てを忘れてしまうのではないか…などという間違った決めつけが社会にあります】
〈大石さん〉実際には、認知症があっても好きなことをして楽しんで生活を続けている方がいらっしゃるにもかかわらず、認知症があると全てを忘れてしまうのではないか、などという間違った決めつけが社会にあります。
これでは日常生活で混乱を感じて認知症かどうかの受診を勧められたとしても「認知症になったらどうしよう…」という恐れや恐怖を感じてしまいます。偏った決めつけに影響を受けているご家族も「大切な人が認知症と診断されて何もできなくなったらどうしよう…」という恐れが生まれています。
【 ウソではない説明が大切 】
〈大石さん〉大切な人に何かしてほしい時、やさしい嘘をつきたくなってしまうものです。しかし、やさしい嘘でも後でお互いの関係性にヒビが入ってしまう理由になってしまうことがあります。事実に基づいたその人を傷つけない説明が大切なのかなと思います。 受診を勧める時には、認知症の可能性があるからと話すことよりも
「もの忘れの原因だったり日常生活の変化の理由が、治る可能性のある身体の病気の影響かもしれないし、飲んでいる薬の影響かもしれないから、早めに見つけて早めに対処して具合が良くなった方が家族も安心だから一緒に受診してほしい、早めにお医者さんに相談してほしい」
と伝えるのが、事実に基づいていて嘘ではないメッセージになるのかなと思います。
【認知症に関して気軽に受診できる世の中になっていくといいですね】
〈大石さん〉認知症というものに対する恐れや不安がなくなっていって、認知症に関する偏った決めつけや間違った決めつけが薄れていく…そんな世の中になっていって認知症に関して気軽に受診できる世の中になっていくといいですね。
〈 ゆず感想 〉最初のボタンのかけ違いが後々大きく響いてくる事があります。今回のお話を伺って、母との会話は「事実に基づいた信頼関係を崩さない声かけ」を意識していきたいと思いました。
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⑥ 認知症の診断って危ういのです stand.fm
「今できることに目を向けて楽しく暮らしていくことを目指していった方がいいのかな」と大石さんはおっしゃいます。認知症の診断の精度は100%ではないそうです…。
【 診断の精度が下がりやすくなっている理由 】
〈大石さん〉 診断の精度が下がりやすくなっている理由は
◆歳を重ねていくうちに、脳の中の細胞や細胞以外の組織が元気な時の状態から変わる
◆受診のタイミングがどんどん早くなっていて、診断に必要な全ての症状が揃っていない段階で受診することが多くなっている
ということが挙げられます。
【診断されたら「その可能性があるんだ」というように考えて】
〈大石さん〉認知症の可能性はあるんだという認識に留めて、今できることに目を向けて認知症の可能性とともに楽しく暮らしていくことを目指していった方がいいのかなと思います。
定期的に通院しながら困りごとを相談できる体制を整えて、困る部分が増えてきたらどうな風に補っていけばいいのか、そんな相談をしつつ定期的に診断の見直しをしていくということが望ましいやり方かなという風に思います。
〈 ゆず感想 〉 今回のインタビューでもそうなのですが、大石さんにお話を伺わせていただくようになってから、母と向き合うのが、ぐ・ぐ・ぐーんと楽になれました。母の「得意なこと・喜ぶこと・楽しめること」に目を向けるようになれて、母との会話を今までよりずっと楽しめるようになりました。
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⑦ 認知症のある人に処方される薬をどう考える? stand.fm
母が「もの忘れ外来」を受診したら「どのお薬をもらった?」と介護仲間からお薬を処方されて当然のように聞かれて混乱したのを思い出します。母には必要ないと言われて、処方されなかったからです。
認知症のある人に処方されるお薬をどう考えたらいいのか、大石さんに伺いました。
【 認知症のある人が安心して暮らせるためのツールになるのかどうか慎重に判断することが大切です 】
〈 タイムテーブル 〉
◆有効性について 02:02-
◆ 副作用について 07:40-
◆分からないことは積極的に医師に確認を 10:00-
■ 認知症治療薬(抗認知症薬) 有効性・副作用・医師への確認のポイント
◆有効性について 02:02-
〈大石さん〉有効性には限界があって、副作用が誤解をもたらすことがあるなどの課題があるお薬であると認識する必要があります。認知症のある人が安心して暮らせるためのツールになるのかどうか慎重に判断することが大切です。
10年を超えるぐらいのすべての経過のなかで、飲んでいるから経過が早くなっているのか遅くなっているのか、分かりにくい薬だと思います。
世界中の臨床試験のデータを集めて調査をした研究によると、とても効果があった人は大ざっばにいうと40人中1人。有効性がよく分からない、効果がよく分からない、しかも効果が出ない人もいる…。効果があるのかどうか分からないけど飲み続けることになりかねないし、効果がなくても飲み続けることになりかねないということになるお薬だといえます。
◆ 副作用について 07:40-
〈大石さん〉食欲が落ちる、トイレが近くなる、眠りが悪くなる、イライラしたり怒りっぽくなる…という現象が起こることがあります。
認知症のある方の中には副作用による心身の変化があっても助けを求めることが苦手になっていることもあるので副作用の発見が遅くなるということもあります。
◆ 分からないことは積極的に医師に確認を 10:00-
大石さんは、分からないことがあれば介護家族は積極的に医師に質問することがとても大切だとお話ししてくださいました。質問のポイントを大石さんに教えていただきました。
〈大石さん〉処方について迷ったときには
◆どんなお薬なのか
◆どんな有効性なのか
◆本当に効いているってどうやったら分かるのか
◆副作用はどんな風にしたら早く気がつけるのか
など分からないことを積極的にお医者さんに尋ねていただいた方がいいと思います
〈 ゆず感想 〉
「分からないことは尋ねて確認する」…日常生活では当たり前のことなのに、難しく感じてしまうのが診療における医師とのやりとりです。今回のお話で、母の診療につきそう時には医師には納得のいくまで質問してから決断をしたいと思いました。…分かったつもりでは「いかん」ですね…!!
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⑧ 認知症のある人のことについて話す言葉について考えてみました ~徘徊・暴言・ボケ~ stand.fm
認知症のある人を表現するときの言葉の影響についてお話を伺いました。私たち介護家族は診療などで専門用語より「様子を見たままに感じたままに正確に伝えていく」方が「困っていることを解決するケアにつながる」のだそうです。
「ご本人のことを思って見て感じて…自然と生まれてくる言葉が望ましい言葉になっていくのではないのかな…」とお話ししてくだいました。
【ご本人のことを思って見て感じて…自然と生まれてくる言葉が望ましい言葉になっていくのではないでしょうか】
〈 タイムテーブル 〉
◆徘徊ってどういう状態? 02:32-
◆徘徊を言い換えると… 05:43-
◆暴言と言われる状態って? 08:30-
◆ボケという表現について 09:13-
〈大石さん〉 言葉というものは人から人に伝わっていくうちに正しい情報も伝わるかもしれませんが、偏った認識とか差別的なメッセージが伝わっていく可能性もあります。言葉がもたらす影響はその人の生き辛さにまで影響を及ぼしかねないと言えるのではないでしょうか。
短い言葉や難しい専門用語を使わずに、ご家族が見て感じたままに正確に伝えていただければ、きっとそれがお医者さんだったり看護師さんだったりに伝わっていって本人を中心に本人に着目していくというケアが生まれていくのではないかなと思います。
〈大石さんからのメッセージ〉こういう言葉を使ってはいけないんじゃないのかしら…という感じになって息が詰まってしまうのかもしれませんが、ご本人のことを思って見て感じたそんな言葉を考えていただければ自然と生まれてくる言葉が望ましい言葉になっていくのではないのかなと思います。
〈ゆず感想〉母の診療では、短い時間でテキパキと伝えるために専門用語を使わないといけないのかなと思っていました。今回の大石さんのお話で、「普段の言葉で見たまま感じたままに伝えることが母にとって望ましいケアにつながる」と分かって、肩の荷が降りてホッとしました…。
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■ プロフィール 精神科医 大石 智 (おおいし さとる) さん
北里大学医学部精神科学講師 / 相模原市認知症疾患医療センター センター長
1999年 北里大学医学部卒業 北里大学東部病院精神神経科にて研修
2001年 駒木野病院精神科
2003年 北里大学医学部精神科学助教
2019年 北里大学医学部講師 相模原市認知症疾患医療センター長
日本精神神経学会専門医・指導医
日本老年精神医学会専門医・指導医
日本認知症学会専門医・指導医
著書 『認知症のある人と向き合う』 -診察室の対話から思いをひきだすヒント-
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◆2021年9月からこのシリーズが始まりました
大石さんにお話を伺うようになってから、カチカチだった私の心が柔らかくなりました。母の笑顔が増えた今、「あんな時もあったねぇ」と懐かしくさえ感じている自分の変化に驚きです。
◆2022年1月から新たな収録が始まります
どんなテーマで展開していくのか私も今から楽しみにしています。認知症になっても「安心」を感じられる暮らしが続けられて「笑顔」を増やせる内容になったらいいな…と思っています。…応援してくださいね…!!
【認知症のある母の気持ちに寄り添えず衝突して凹んでばかりの頃にインタビューした4回分の番組はこちらから…↓】
① じっくり話を聞くことって大事なんです
② うまくいかない時のバカボンのパパの名言「これでいいのだ」の活用のススメ
③ 医師のセカンドオピニオンのススメ
④ 診察のときには笑顔を見つけて伝えよう
番組があなたとあなたの大切なご家族に向き合う時のなんらかのヒントになると嬉しいです!!
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