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映像作品「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!」で体感! ⽴体⾳響技術「Dolby Atmos®(ドルビーアトモス)」がもたらす次世代の⾳楽体験

2021年11⽉3⽇にリリースされた映像作品「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!」。
いきものがかりの⾳楽作品では初搭載となる Dolby Atmos の⾳響が話題となり、「すごい臨場感!」「あの⽇のことを思い出して涙が…」といったコメントが⾶び交っている。
Dolby Atmos によってどのような⾳楽体験ができるのか。
本作のサウンドを体験する視聴会の様⼦やトークイベントに登壇した⽔野良樹の⾔葉を交えて探っていく。

(※Dolby、ドルビー、Dolby Atmos およびダブルD 記号は、アメリカ合衆国と/またはその他の国におけるドルビーラボラトリーズの商標または登録商標です。)

Dolby Atmos とは、前後左右に加えて上部に設置されたスピーカーによって全⽅位から⾳に包み込まれる、没⼊感あふれる体験を可能にする⽴体⾳響技術。「Dolby Atmos といえば劇場で鑑賞する映画」というイメージが⼀般的かもしれないが、近年では Dolby のバーチャライズ機能により、必ずしも天井や背後のスピーカーを必要としない Dolby Atmos 対応のテレビやサウンドバーも続々登場し、⾃宅でも⼿軽に楽しむことができるようになってきた。また、Dolby Atmos に対応したスマートフォンも各社からリリースされ、ヘッドフォンでも楽しめるようになってきているのも魅⼒だ。

⾳楽では、Dolby Atmos を採⽤する国内作品はまだまだ少ないものの、2021年6⽉に Apple Music が Dolby Atmos による「空間オーディオ」を導⼊するなど、徐々に⾝近なものとなってきている。


Dolby Atmos の⾳響を存分に味わえる体験視聴会を開催

まずは、本作のリリースを記念して2021年10⽉末〜12⽉上旬に各地で開催された Dolby Atmos 体験視聴イベントのラインナップを整理しておこう。


■【FC会員限定】「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!」Dolby Atmos 体験上映会

<開催⽇/場所>
2021年10⽉30⽇/イオンシネマ幕張新都⼼ スクリーン8

リリースに先駆けて開催された体験上映会で、FC 会員約100 ⼈が参加。イオンシネマ幕張新都⼼のスクリーン8 は同劇場内最⼤のスクリーンで座席数340 を超えるが、今回はDolby Atmos の⾳響を最⼤限に体験できるよう検証を重ねた結果、⼈数を限定して中央の座席のみを使⽤した。
冒頭のトークパートと本編上映パートによる2 部構成で、トークパートではDolby Japan 株式会社の佐藤哲朗さん、本作の総監督を務めた株式会社Moment Tokyo の伊東孝俊さん、そしてシークレットゲストとして⽔野良樹の3名が登壇。

■「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!」シアター体験上映会

<開催⽇/場所>
2021年11⽉19⽇〜21⽇/ソニーストア 福岡天神
2021年11⽉20⽇〜22⽇/ソニーストア 銀座
2021年11⽉26⽇〜28⽇/ソニーストア 札幌
2021年11⽉27⽇〜29⽇/ソニーストア 名古屋
2021年12⽉11⽇〜13⽇/ソニーストア ⼤阪

全国5都市のソニーストアにて、ソニーのホームシアターシステム「HT-A9」やサウンドバー「HT-A7000」で本作を視聴できるシアター体験上映会を開催。最適な視聴環境にセッティングされたシアタールームでの圧倒的な没⼊感に驚きの声が続出した。


■【FC会員限定】「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!」リリース記念・⽔野良樹トークイベント in Sony Store

<開催⽇/場所>
2021年11月20日/ソニーストア 福岡天神
2021年11⽉21⽇/ソニーストア 銀座
2021年11月27日/ソニーストア 札幌
2021年11月28日/ソニーストア 名古屋
2021年12月12日/ソニーストア 大阪

各会場には抽選で選ばれた20〜30名のFC会員が参加。銀座回は、ファンクラブアプリ「いきもば」での中継⽣配信も実施し、視聴者からは「スマホで聴いていても音が全然違う!」「⾳に包まれている感覚を味わえた!」などというコメントが寄せられた。

※いきものがかりオフィシャルファンクラブ「1年2組」・「いきもば」にてアーカイブ動画(視聴体験部分を除く)を公開中。


劇場とシアタールーム、それぞれどのような体験ができたのか

ここからは体験レポートを交えて、Dolby Atmos の⾳響の魅⼒を探っていこう。

まずは、イオンシネマ幕張新都⼼での体験上演会。会場となったスクリーン8は、前⽅のメインスピーカー5台(スクリーン裏)、左右各8台、後⽅6台、そして天井に8台×2列という40台を超えるスピーカーが客席を取り囲み、縦10m×横18.5mの壁⼀⾯に広がる超⼤型スクリーンとともに⼤迫⼒の映像体験ができる国内有数の劇場だ。

本作リリースに先駆けていち早く視聴できることに加えて、残念ながら中⽌となってしまった5⽉の幕張公演に参加予定だったというファンの⽅も多く、期待の⾼さや熱い想いが伝わってきた。

「ライブ空間では、ステージから流れる⾳が反響して聴こえる、⾃分の周りにいる観客の拍⼿が聴こえてくるというように、全⾝で⾳を浴びている状態。Dolby Atmos は実際にライブ会場の客席にいるような感覚で、ライブの熱量が⽴体的に感じられる」

冒頭のトークパートで⽔野が語ったように、まさにライブ会場で聴くような⾳の響きや広がりに驚かされた。“⽴体的に感じられる”というように、⾳が降ってくるような感覚で、特に「茜⾊の約束」「コイスルオトメ」でのボーカル吉岡聖恵の息づかい、「YELL」のイントロのピアノなどは、実際にライブ会場で感じた静寂を打ち破る緊張感と⾼鳴りを思い起こさせるものだった。上映中に涙を流す参加者の姿も⾒られ、観る者それぞれの⼼を打つ⼒を強く感じた。

次に、ソニーストア銀座でのシアター上映体験会。シアタールームの使⽤機器は、BRAVIA XR 4K 有機ELテレビ「A90J シリーズ」83V型、ホームシアターシステム「HT-A9」、サブウーファー「SA-SW5」というセット。

シアター上映体験会では、「からくり」「じょいふる」「コイスルオトメ」の3曲を視聴。これは「Dolby Atmos ⾳響をわかりやすく体感できる曲」として本作の Dolby Atmos ミックスを担当したエンジニアによる選曲とのこと。(ソニーストアのスタッフによる説明が丁寧で⾮常にわかりやすかったのもイベントが好評だった要因のひとつだと感じた)

⾳響の違いを聴き⽐べるため、まずは「からくり」をステレオで、その後「じょいふる」と「コイスルオトメ」を Dolby Atmos で視聴したが、その差は歴然。メンバーと観客が⼀体となってジャンプする「じょいふる」は会場の揺れも感じるかのような迫⼒(サブウーファーによって実際に床から振動を感じた)。「コイスルオトメ」は、前述したボーカルの息づかいはもちろん、⽔野のギターのうねりまでもがはっきりと感じられた。

テレビの画⾯サイズも最適で、ステージを⽬の前で⾒ているような、時にはステージ上にいるような錯覚に陥るほどで、⼀瞬にして横浜アリーナの会場に⾶び込んだかのよう。全⾝で⾳を浴びている感覚はライブ会場そのものと⾔っても過⾔ではなく、没⼊感においては劇場を上回るものだったように思う。実際、本作の Dolby Atmos ミックスはリビングサイズで視聴した際に最⼤限楽しめるように最適化しているとのことで、劇場での印象との違いに納得した。

だからといって、⽐較してその優劣を競うものでは決してなく、劇場には劇場ならではの特性を⽣かした楽しみ⽅があり、⾃宅ではホームシアターシステムやサウンドバーで⼿軽に楽しめるという、それぞれの良さがあるということだ。その選択肢が広がったということはユーザーにとってもうれしいことだろう。

現在、「HT-A9」は⼤⼈気で購⼊から納品までは数カ⽉待ちの状況というが、待ってでも⼿に⼊れる価値は⼗分にあると断⾔できる。

余談だが、⻑年ソニーユーザーの筆者は11 年ぶりにテレビを買い替え、BRAVIA 4K 有機ELテレビ「A8H シリーズ」55V型と合わせてサウンドバー「HT-G700」をセレクトした。⾃宅でも本作を視聴し、Dolby Atmos の⾳響にも⼗分満⾜しているが、もしも買い替え前にシアター体験上映会に参加していたら、間違いなくホームシアターシステム「HT-A9」を選んでいただろう。いつかまた買い替える時が来たら、その時はどんなオーディオシステムがあるのかと想像するだけでもワクワクしてしまう。


Dolby Atmos がもたらす次世代の⾳楽体験とは?

ここまで Dolby Atmos の臨場感や没⼊感について書いてきたが、Dolby Atmos がもたらす次世代の⾳楽体験とは、どういうものなのだろう。

それは、「記憶や感情を鮮明に呼び覚ます体験」であり、「⾳楽の⼒によって未来を変える体験」ではないだろうか。

「ライブに⾏ったのが半年くらい前だったんですけど、その時の気持ちまで思い出されてウルウルしてしまいました」

ソニーストア銀座でのトークイベントに参加した⼥性ファンの⾔葉に集約されているように、会場全体の雰囲気や熱気、その時の記憶や感情までもが鮮明に呼び覚まされる。離れていても、その場にいなくても、会場にいるような⼀体感や興奮が味わえる。「いつか実際にライブに⾏ってみたい!」と思わせてくれる。

それぞれの想いに寄り添い、それぞれの未来を彩る⾳楽体験。それこそが⾳楽の⼒であり、アーティストが追求しつづけているものに違いない。

Dolby Atmos という⾳響技術によって今まで以上に⾳楽の⼒を強く感じられるようになり、⼈⽣が豊かになっていく。

「あの空間の空気感をどう伝えたらいいかということはすごく考えました。実際、ライブ会場にお越しいただけるのは⼀部の⽅に限られてしまう。この作品を通してライブを観ていただく⽅のほうが多い。Dolby Atmos では⾳楽はもちろん、MCの空気感までも伝わる。⼀瞬間が空いた沈黙の時のお客さんの空気感、僕が涙を流した時の緊張感など、会場の空気全体を捉えている。この空気感をどう伝えるかが課題だと思います」

「僕たちアーティストからすると、Dolby Atmos でどのように⾳を届ければいいだろう?どういうミックスをしたらいいだろう?と。さらにアイデアを出していかないといけない。また新しいゲームがスタートしたんだなと感じさせられる体験ですね」

⽔野が語るように、作り⼿にとっては表現の幅が広がると同時に、新たなチャレンジの始まりでもある。さまざまな技術⾰新によって、⾳楽を取り巻く環境の進化はいっそう加速し、画期的な作品が次々に⽣まれてくるに違いない。


空気感を伝えるパッケージの価値と新たな技術を⽣かした表現の可能性

ストリーミングが主流となり、かつてのようにパッケージとしての⾳楽作品を⼿に取ることが少なくなった今だからこそ、本作のように、あの⽇、あの時、あの場所の特別な空気感を閉じ込めた作品が持つ価値は⼤きい。

特に本作の卒業アルバムをイメージした豪華装丁の「グラデュエイション!!!盤」は、⼿にした時の重さや感触、スペシャルブックレットをめくる時の⾳、そこに収められたステージや舞台裏の写真の数々で、ファンにとってもメンバーにとっても忘れられないライブを永遠にとどめるにふさわしい作品に仕上がっている。開いた瞬間に広がる、あの⽇の空気感。しかも⼀度開いたら消えてしまうものではなく、開くたびに何度でも浸ることのできる空気感。

単なる「物」としてではなく、特別な空気感を閉じ込めたパッケージの価値が今後⾼まっていくのではないだろうか。


同時に、パッケージではできないことを、配信などを中⼼に実現していく機会も増えるだろう。

「多分、有観客ライブにカメラを⼊れて配信することも、できはするんですよ。だけど、それだとある種おまけになってしまうので、『やっぱり現地に⾏った⽅がよかったね』というやり⽅では、もったいない気がして。オンラインライブはオンラインライブで、適合したパフォーマンスというものがもっとある気がしてます」

「なので、やるとしたら、オンラインライブの⽇はオンラインライブの⽇だと決めて、撮ってくれる⼈たちとのコミュニケーションも含めて、ライブを作っていった⽅がいいかもしれないですね」

(2021年1⽉発⾏ファンクラブ会報誌『IKIMONO GAKKYU SHINBUN No.55』より。2020年9⽉19⽇に「いきものがかり結成20周年・BS フジ開局20周年記念 BSいきものがかり DIGITAL FES 2020 結成20周年だよ!! 〜リモートでモットお祝いしまSHOW!!!〜」を開催したことを受けての⽔野のコメント)


「今回の『気まぐれロマンティック』のように、これまで何度も唄ってきた曲を、今の⾃分たちの状態で改めて再解釈していく機会はどんどん増えていくと思うので。『いきものがかりでこういう試みをしたら、⾳楽的に新しいものが⽣まれるんだろうなあ』ということはいくつかあるし、そういうことを積極的にやっていこうというモードになっていると思います」

「どう新鮮味を持たせていくかというのは⼤事なところで。その⼿段が増えた感じがしますね。例えば、今回だったら、配信ライブにせよ、こじんまりとした会場でやる企画ライブにせよ、『2⼈を中⼼とした⼩編成でライブをやる』というアイデアに繋がるわけで。そういうふうに、アイデア⾃体はどんどん⽣まれていくと思うので、実際にやるかどうかを都度都度ちゃんと判断して、⾃分たちが気持ちを⼀つにしてできることを丁寧にやっていきたいです」

(2021年10⽉9⽇配信『いきものがかり Officiel note』「「THE FIRST TAKE」で⽰した、いきものがかりが⾒据える未来」より。)


これらの⾔葉が⽰すように、その時々の変化にも柔軟かつブレずに向き合ってきた⽔野は、トークイベントでも新たな技術を⽣かしたアイデアについて、次のように語っていた。

「たとえば6 畳間くらいの⼩さな部屋で演奏をして、それを⽬の前で聴いてもらう体験ができるかもしれない」

これまでにも、Volumetric Capture 技術による世界初の⽣配信ライブ「いきものがかりVolumetric LIVE 〜⽣きる〜」や、左右後⽅と床の4 ⾯LED パネルを配置する「BOX STUDIO」から⽣配信したアルバム『WHO?』購⼊者限定配信ライブ「THE“特典”LIVE」など、いきものがかりは最新技術を積極的に取り⼊れてきた。いきものがかりに対して最先端を切り開くイメージはないかもしれないが、新たなカルチャーを⼀般に浸透させる上では、楽曲の認知度の⾼さ、ファン層の広さは⼤きな強みになる。なによりも、時代や世代を超えて感情に訴えるいきものがかりの⾳楽が魅⼒的であるからこそ成せることだ。


⼤きな転換期となったデビュー15周年イヤー

デビュー15周年の2021年は、グループにとっても、メンバーそれぞれにとっても、かつてない激動の⼀年となった。

シングル「BAKU」のリリースに始まり、3⽉は「次は、会おう!みんな、元気でね!」と約束を交わした横浜アリーナでの特別配信ライブ、そしてアルバム『WHO?』のリリース。4⽉はアルバム『WHO?』購⼊者限定配信ライブ「THE“特典”LIVE」、待望の有観客ライブを⼤阪、名古屋で開催。6⽉、⼭下穂尊の卒業発表とその花道となる横浜アリーナ公演2DAYS。そして7⽉31⽇、3⼈での活動に幕を下ろしたFMヨコハマでのラジオ⽣放送。

3⼈の物語が終わり、8⽉からは新章がスタート。⽴ち位置も新たに「ライブ・エール2021」や「ミュージックステーション SUMMER FES」に出演。9⽉の「THE FIRST TAKE」出演では、「気まぐれロマンティック」の⼤胆なアレンジが⼤きな反響を呼んだ。

以降はグループ活動と並⾏して、⽔野、吉岡ともに精⼒的にソロ活動を展開。9⽉末にはHIROBAによる新プロジェクト「OTOGIBANASHI」が開幕し、10⽉には五つの楽曲と⼩説を収めた書籍「OTOGIBANASHI」を発表、さらに11⽉にエッセイ集「⽝は歌わないけれど」を発売するなど、⾳楽のみにとどまらない活躍を⾒せている。吉岡は11⽉にソロ初となるオリジナル楽曲「まっさら」をリリース、12⽉には同じく初となるオンラインイベントを開催。いきものがかりでは⾒られないソロシンガー吉岡聖恵としての魅⼒を開花させた。

いきものがかりにとって⼤きな転換期となった2021年は、この先、振り返った時にどのように映るのだろうか。これまでにも放牧や終牧など数々のターニングポイントを経てきたことを考えれば、2021 年のさまざまな出来事もひとつの通過点でしかないのかもしれない。その通過点がどのようにつながっていくのか。

2022 年だけでなく、この先も、いきものがかりの物語は続いていく。どんな⾳楽を届けてくれるのか、どんな⼒を与えてくれるのか。新たな取り組みにも期待しつつ、ゆっくりと⾒守っていきたいと思う。


取材/文 : 龍輪剛
企画 : MOAI inc.




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