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旅人への憧れがいつの間にか消えた話

大学1年生の時、初めて自分で海外に行きました。カンボジアでした。
井戸の生活、電気がない村、家を持ち上げて家ごと運ぶ引越し、タランチュラや芋虫食べる現地人
雨の日は寝るのが仕事だと言う大工、意味わからないくらいふっかけてくるタクシー運転手
何もかもが新鮮で、毎日の一瞬一瞬が楽しかったことを覚えています。

海外で出会う、旅している大人は自分よりも多くの世界を知っていて、物事に対しての洞察が深くて、英語だったりトラブルへの対応も慣れていて、「めっちゃかっこいいー!」と憧れました。

大学時代は「旅こそが生き甲斐だ!」くらいに思ってお金を貯めては海外に行くを繰り返していました。
大体出会う人はみんな年上で、自分よりも海外経験が豊富で、まさに憧れを持っていました。

毎月海外に旅に行きたい!と夢を持って大学卒業後は個人事業で独立し、旅をするだけのお金と時間を得られるように試行錯誤してきました。
なんだかんだで社会人になって7年が経ち、今ではもう80カ国は旅をしています

そうして旅を続けて相変わらず楽しんでいるんですが、旅人への憧れがいつの間にか消えていることに気づきました。

最近「憧れってなんなんだろう、、」と考える機会がありました。

きっかけとなったのはこちらの本で、今年5本の指に間違いなく入る面白かった本でした。

で、ここに書いてある中に、模倣というのは同じ土俵にいる人に対して起きるというものがあります。

多くの人にとって、イーロンマスクに嫉妬する人はいませんし、孫正義さんに嫉妬する人もいません。大谷翔平さんなんかもなんかもはや同じ人間とは思えないというか全く違う生き物のように感じますが
「隣の芝生は青い」と言われるように近しい人に対して憧れや嫉妬が起きます。同僚が自分より収入が高かったり、旅行を楽しんでいたりすると羨ましい、悔しい、、と思ったりします。

自分とは次元が違うと思う人に対しては嫉妬や憧れはほぼ起きない(あっても尊敬止まり)のですが、自分と同じような立場だと思う人の場合には嫉妬や憧れ、ライバル意識、競争相手の対象になります。
(つまり収入は自己肯定感に比例するみたいな話にもなるかもなんですが)

そしてそれは多くの場合終わりのない競争を引き起こします。

副業で5万円稼いでいるときいて、なにくそ!ずるい!と思い、自分も稼ごうと努力して6万円稼いでも、すぐにまた月10万円稼いでいる人がいて、悔しい、、!!となるみたいな感じです。
模倣を軸に自分のやりたいことだ!となり、自分の意思としてエネルギー値高く動き、ある地点までは楽しく充実感と幸福感を抱きながら成果を出せるのですが、ある地点をすぎてしまうと
まだ足りない、まだ理想じゃないと今に不満を抱き、焦りと不足感に掻き立てられて余裕なくもがき出すみたいなことです。

結局憧れというのは人に対して起きるものなのですが、その人のどんな要素に対して憧れているのか?言語化しないまま進めてしまうと、迷走しかねないなと思いました。

僕の場合、まさにそうなっていて、旅人かっこい!!旅人として生きたい!と「旅人」という漠然として言葉に必要以上の価値をおいて盲信している感じがありました。

まぁ実際、その盲信したおかげでめちゃくちゃ働けたり結果にこだわって仕事ができたといういい面もありつつも、

盲信していたからこそ、いざ多くの仕事を手放して1年間海外を放浪するというまさに思い描いていた「旅人」に今なっているんですが、「あれ、旅人ってこんな感じだっけ?」と思っていた期間がありました(今年の夏くらい)

今言語化すると、自分はやっぱり自分の好奇心に素直に生きている姿勢、いろんな価値観や文化に触れて「〜しなければならない」「〜すべき」みたいな凝り固まった常識みたいなものがない柔軟性に憧れていたんだなと思います。

「頭のいい人がすごい」という価値観で受験勉強を頑張ってきた自分にとって、生き方の幅というか、頭がいい人よりもよっぽど面白くて楽しそうに生きている姿に惹かれていました。

そう考えられたら別に旅人への憧れみたいなものは無くなっていて、行った国の数とか旅のスタイルなんかはどうでもよくて、どれだけ好奇心に素直に生きているか、どれだけ柔軟な思考で、自分なりの哲学だったり価値観を表現しているか?みたいなことが人との出会いで会話する中心になってきました。

この一連の経験を通じて、よく聞く「結婚したい」だったり「社長になりたい」だったり、そういう名刺での憧れや夢はその曖昧な言葉が暴走することがあるのである意味危険なのかもなぁと感じました。
結局憧れや嫉妬は人ではなくその人と自分がどんな関係で、どんな構造に憧れや嫉妬が起きているのか?を認識することが自分を気づかぬうちに疲弊させたり、見失ったりしない上でポイントなのかもしれません。


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