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部屋とバカリャウとワタシ。

ワタシはかつて、魚を部屋で可愛がっていた。

すでにネタバレしている。そう、「バカリャウ」だ。

バカリャウとは「干し鱈」のことで、ある日突然ワタシの心を掴んで離さない食材のひとつとなった。


もし食べたことがなかったら、悪いことは言わない、食べ………ひとまずこの記事を読んでみてください。


塩漬けの干し鱈を飼う生活

ワタシとバカリャウとの出会いから話そう。

ポルトガルの国民食「バカリャウ」に魅了されたきっかけは、NHK・BSプレミアムで不定期に放送している番組『チョイ住み』を観たところから始まった。

もともとこの番組が大好きで、ポルトガル・リスボン編でバカリャウと出会うことに。


ポルトガルのタラ消費量は世界一だそうで、とにかく365日タラを食べまくってるといっても過言ではないらしい。


VTRでは、レストランでバカリャウ料理を堪能し、名物の「バカリャウソテー」がとにかく美味しそうに映っていた。

日本もそこそこタラを食べてる方だと思うけれど、ワタシは"干し鱈"を食べたことがなかったのでことさら興味が湧いた。



見進めると、旅の主役である竹内涼真さんと小川直也さんが「バカリャウ料理を自分たちでつくろう」と言い始めた。
※この番組の醍醐味は、観光せずに「暮らすように住む」ことだ


すると、バカリャウを市場で買い求め、部屋に帰って水に浸けだしたのだ。

大男が異国の地で2人、めちゃくちゃ楽しそうに干し鱈を水で戻し、うめぇうめぇ!と食べている。

なんだこれ……めちゃくちゃ楽しそう…

ポルトガルのバカリャウは、日本のタラとは比べものにならないくらい大きくて、真っ白に見えるほど表面は塩でカッチコチに固まっている。

だから、いざ食べようとしても水で戻す必要がある。それもおよそ『3日がかり』で。


番組の途中だったが、ワタシは絶対にバカリャウを飼うことを決めた(ペットちゃうねん)。




手塩にかけるとはよく言ったもんだ

ワタシは番組を見終えると、すぐにそれっぽい干し鱈を探して注文した。

テレビで見たポルトガルのそれと同じサイズは手に入らないけど、でもそれなりに大きな塩漬けの干し鱈が手に入った。35cmはあった。


塩がびっしりで、カチコチで、これぞ求めていたバカリャウに近いぞとテンションがあがった。

大きめのSTAUBトレイに水を張り、干し鱈ちゃんを浸けた(愛着湧いて"ちゃん"とかつけちゃう始末)。


「ワタシが面倒みてあげないとこの子は美味しくならないのだ」、手塩にかけて塩を良い塩梅に抜いてやらないといけない(複雑怪奇)。



毎日水を換えては、「美味しくなあれ」なんて声かけてしまう。

バカリャウはいきものだ。

朝起きたら「おはよう〜調子どう〜?」、寝る前は「おやすみ〜明日はもっと調子あげてこ〜」だなんて声を掛けたくなるように、こちらの気持ちを操ってくる。あざといのだ。



毎日水を換え、約3日、干し鱈ちゃんとの生活は充実していた。



共に過ごす日々に慣れた頃、ついに、この子を調理する日がやってきた。

初めていっしょに過ごしたから、塩の抜け加減は正直わからない。それでも今日だ!と決め込んで、別れというのか真の出会いというのか、ついに食べる日がやってきたのだ。




うまい。

うま!!?(ワタシへ。哀愁って言葉知ってる?あと時系列って知ってる?)


バカリャウってこんなに美味しいのか!

これはいわば、"バカリャウもどき"かもしれないけれど、「塩漬けのタラを戻してソテーした食べ物」とはこんなにもうまいものなのか。

そりゃ竹内くんも小川さんも大興奮するよ。
※すーごい興奮してて音声バキるくくらいで、ほんとに面白かったし楽しそうだったなあ




戻した干し鱈は、キュッと締まった心地の良い噛みごたえ

塩漬けのタラだから、塩の浸透圧で魚の身がほどよく引き締まっている。

ちょっと透き通るような感じに仕上がった身を丁寧に焼くと、なんともふっくら焼き上がる。

ふっくらなんだけど、噛み締めると「キュッ」とした歯触りというか、噛むほどに味が滲み出るのだ。


焼き方はシンプル。

皮目を鍋底に向けて置き、オリーブオイルでじっくり焼くだけだ。


ポルトガルのレストランでは美味しそうなオリジナルソースがかかっていたんだけど、ザッとこんな様子だった。

・玉ねぎのみじん切り
・にんにく
・パン粉

そんな感じだ。つまりほんとにシンプルだった。シンプルなものは美味い。美味いものはシンプルだ。そんなもんだ。



この時はまるまる水で戻したけど、2回目のチャレンジではキッチンばさみでカットしてから戻した。

塩漬けの干し鱈はもともと保存食だから、かなり保存がきく。

ポルトガルのバカリャウみたいにカチコチじゃなくとも、日本で買う干し鱈もそれなりに保存がきく。

小分けにカットして、食べられる分だけ戻して使うことができる。



No バカリャウ No 私

バカリャウ(干し鱈)は、いとも簡単にワタシの心を掴んで、部屋に居座っている。

相変わらずワタシの料理心をあざとく揺さぶってくるおかげで、いろいろな料理を作ることになる。


どれも美味しく出来上がるので、結局ワタシはまた、可愛いがるのだ。

【ikiru LAB.】バカリャウレシピはこちら


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