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どの仕事が良いかなんてわからない! わかるわけないんだ!!


#この仕事を選んだわけ

早速だが、私は今の自分の仕事を選んでいない!! この仕事になる過程は涙なしでは語れないほどだ・・

私の仕事は、運動指導だ。運動指導といっても、今をときめくスポーツジムとかでカッコよくヨガとかパーソナルトレーナーとかをしているわけではない。
今まで、子供から高齢者まで様々な年齢層の方を運動指導したり、祭りのダンスを演出したり、健康祭りイベントの企画をしたりしてきたが、今は高齢者の運動指導や自治体委託の健康指導や講演を中心に仕事をしている。

仕事を自分で選んでいない

話せば長くなるが、私はこの仕事を「選んで」いない。
大学も経済学部だし、元々は経営コンサルタントになりたかった。
で、就活し、最終面接を残すばかり・・という時に、母からオファーがある。

母は、まだ健康のために運動をするという概念が日本人に全くなかった頃から健康づくりの仕事をしていた。
これからは高齢者が健康づくりをするようになる!!という素晴らしい見立てのもと、高齢者の運動指導の先進国スウエーデンに1ヶ月勉強に行きたい。しいては、自分は英語が話せないので、一緒に行って通訳してほしいというわけだ。
かれこれ約30年も前のことである。

もちろん、最初は面接があるから断った。だが、面接の日程がわかったら知らせるし帰国してOKだというので、海外にも行ってみたかったし引き受けたのだ。

これが甘かった。今のように携帯電話などない時代、帰ってみたらとっくに面接は終わっていた。知らせてくれなかったのだ。当然激怒した!!

時代はバブルの後半。女性でも就職先はある。しかも紹介があればすんなり入れる良い時代だった。就職氷河期の人が聞いたら怒られると思う。

母曰く、「あんたが経営コンサルタントなぞしたら、潰れかけた企業にとどめを刺すことになる。だから、やめた方が良いに決まっている。
地元の銀行か、関西にある商社の事務員さんなら今からでも試験に間に合うよ」
と言われ、しぶしぶ両方試験を受けに行った。

両方一応合格したが、事務員さんの給料で都会で一人暮らしは難しいと考え、銀行の営業に就いた。

まったくもって、自分で選んでいない

だが、私には営業が向いているのか、銀行での成績はとても良かった。実は営業先の保険会社さんとかから引き抜きのお話が何社かあった。

転職・・

銀行にほどよく慣れた頃、またしても母が
「今、うちの会社のインストラクターが結婚でやめるし、経理の人も介護で同時に退職するので、銀行やめて経理を手伝ってよ」と言うのだ。

銀行は、とっても給料も良かったし営業にも向いていたが、当時の支店長さんに得意先の人とお見合いさせられそうになり、その時の言葉がすごく嫌だったので
「ま、いっか。経理なら」と転職した。

またしても、自分で選んでいない

会社内転職・・

で、何となく運動指導者を派遣する今の母の会社に就職し、経理をしていたのだが、当時のチーフインストラクターが突然病気で休んだ。
たまたま私は大学の頃、ジャズダンスやヒップホップをしていたので、チーフインストラクターの人に
「亜紀ちゃん、突然で悪いけど、代行レッスンして、お願い」
と言われ、しかたがないのでジャズダンス教室に出向いた。

もちろん、何のインストラクターのトレーニングも受けないまま行ってもうまくいくわけがない。大学時代踊っていたジャズダンスをそのまま教えた。
教室が終わった時に
「こんなんじゃ、汗もかかないのよね。」と受講生の方に囲まれて怒られた。まあ、当然のクレームだ。

実は、私は人前に立つのが大嫌いだ。銀行の営業で鍛えられたとはいえ、それとこれとは大違いだ。もう、この仕事が死ぬほど大嫌いだった。

なのに、なぜか高評価してくれる人がいて、なし崩し的に経理の仕事からインストラクターの仕事にシフトしていた。会社内転職だ。

またまた、自分で選んでいない。

娘ということで、贔屓にしてくれる方も多かったが、逆に理不尽にいじめられた。私はこの仕事が嫌で嫌でたまらなかった。もう不幸のど真ん中にいる気がした。

しかし、娘ということで辞めたくても辞められない環境に陥っていた。

若い時には、本当に自分が何に向いているかなんかわからない

あれから30年・・・

今では、健康づくりの仕事で様々な賞をいただくほど、周りの方からベテランと言われる感じになってきた。ありがたい事に、今ではほとんど宣伝しなくても、講演などのお仕事をいただけるようになった。

周りの人は、「天職だよね。」と言っていただける。多分向いているかも・・と今では思う。

この写真は、ある体操教室の写真なのだが、70歳以上の方の教室で、94歳の方もいらっしゃる。そんな年には思えないほどの完璧なスクワット!!
私にとって、この素晴らしいみなさんの体力が、私の作品!!

こーんな風に、健康づくりでみなさんを笑顔にできるのが、私の仕事の自慢だしやりがい!!

私は、本当に私に合った良い仕事にめぐまれている!!

何度も言うようだが、私は自分で仕事を選んでさえいない。

もしかしたら、自分がなりたかった経営コンサルタントをしても成功していたかもしれないし、銀行の営業を続けていても良い未来があったかもしれない。
少なくとも、どちらも今より所得は高いだろうけれど、今よりストレスも多そうだ。女性だと、出世の道も富士山より険しいかもしれない。
もしかして、商社を選んでいたら、早くにお嫁さんになれたかもしれない。

未来なんかわからないのだ。

私は今の仕事が、最初は大嫌いだった。
でも、人々の笑顔に救われて、色々工夫して頑張ってきた。
10年くらい続けてきたら実力もつき、少しずつ仕事を楽しめるようになってきた。

今となっては、本当に親しい人以外誰も信じてくれないが、私は人前に出るのも嫌いだし、できればずっと引きこもって一人で本を読んでいたい。

運動だって、あんまり好きではない。体型や雰囲気だって運動指導者というより保健師さんか栄養士さんだ。

本来の、素の私は、全くこの仕事にむいていない!

でも、シガラミだらけで辞めたくても辞められない環境だったおかげで今も続いていて、この業界では賞をいただけるほど古株だ。

運動なんかあんまり好きではないから、人の気持ちがわかる。
スポーツクラブに好んで来るような人は本当に一握りの変わった人であり、大多数の人は「健康のために運動を始めなきゃ=歩く」なのだ。

スポーツクラブ好きの人にはわからないだろうが、
私はあのハイテンションが大嫌いだし、馴れ馴れしく話しかけられたくもない。

私はこの業界では珍しく、運動が好きじゃないから、そうゆう人の気持ちがわかる。恥ずかしながら、健康教室の扉をあける人の気持ちがわかるのだ。

運動指導者として体育大学出でもなく運動が得意でもない事はかなりマイナスだ。しかし、多くの普通の人の気持ちがわかるということは、経営面からいうとパイを大きくすることができるという事だ。仕事の幅が広がる。

銀行や経理の経験も役立った。この業界に、経済がわかる人は少ない。だから、ライバルと言われる人々と、仕事で差別化が図れるのだ。

ピンチはチャンスって言葉に似ているんだけれど、マイナス面ってのは、もしかしたら思ってもみないプラスに転じるかもしれないのだ。

若い方へ・・

私のように、自分で仕事を選べない事が良いといっているのではない。
もちろん、自分の夢を仕事にできる人は素晴らしいと思う。

私のように辞めれない環境でずっと続けるのが良いとも思っていない。
全く仕事が合わなければ、転職しても良いのだ。

でも、好きな会社へ就職できず、自分の思うような道をすすめなくても、その環境の中で工夫をし、努力もすれば、何か新しい道が開けるかもしれない。
自分には思わぬ才能があるかもしれないのだ。

思ってもみてほしい。大学生になるまでは、ほとんどの人は言われるがまま良い大学に入るために勉強をしていたと思う。
大学生の4年間というか、就活をしはじめるまでの短い時間で、自分の本当の才能や、本当にやりたい事なんてわかる人は少ないと思うのだ。

与えられた環境下でも、自分なりの工夫をしながら頑張ればそれが天職になるかもしれないし、その仕事が全く自分に向いていないのであればお給料をいただきながら新しい道に進むべく勉強をすれば良いと思う。
大学にいる時の勉強と、社会に出てからの勉強とは全くの別物だ。
チャンスが到来した時に、しっかり掴む事ができるようにしておく事が大事だ。

私は今、人に健康になっていただくような・人を笑顔にするような仕事に携わることができている。
しかも、それを続けることにより、自分自身も健康でいられるのだ。
こんな素晴らしいことが、当初は大嫌いだった。

本当に、若い時は自分が何に向いているかなんかわからないものである。




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