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チョコレートリリー寮の少年たち

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自己満足で書いているお話です。チョコレートリリー寮に住んでいる少年たちの、とうといまいにち。 ご飯を美味しそうにたべます。 (少年たちがいちゃいちゃします、要注意)
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#アフタヌーンティー

Happy birthday!(改稿)【チョコレートリリー寮の少年たち】

Happy birthday!(改稿)【チョコレートリリー寮の少年たち】

きょうはいよいよ、僕の誕生日パーティーが邸宅で催される。楽しみで気持ちが高ぶり、なんだか上手く寝付けなくて、うとうととしているうちにあさをむかえてしまった。洗面台で身支度を整え、式典用ローブに着替てから、鏡台に座る。じっと自分の顔を見つめる。ひとつ歳をとったけれど、昨日の僕と全く同じ僕が写っている。
誕生日って、ふしぎだ。
ふわふわな髪を、ファルリテに借りていたコテでくるくるにする。全然うまくでき

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ミルヒシュトラーセ家の手作りアフタヌーンティー【チョコレートリリー寮の少年たち】改稿版

ミルヒシュトラーセ家の手作りアフタヌーンティー【チョコレートリリー寮の少年たち】改稿版

「……エーリク、おはようございます。起きてください、」
僕は柔らかなボーイソプラノで覚醒を促された。小さな手が背中を摩る。ロロだ。僕より先にロロが起きるなんて、珍しい。
「ん……あ、朝か、ロロ……おはよう」
その時ロロの松ぼっくりのかたちの時計が鳴り出した。優しい、アマリリスの旋律に合わせて体をゆらゆらさせていたけどあきてしまったのか、そっとアラームを止めた。ゆるゆるあるいて僕のベッドに腰掛け、そ

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レシャとファルリテのうっかりと少年たちの秘密①【チョコレートリリー寮の少年たち】

レシャとファルリテのうっかりと少年たちの秘密①【チョコレートリリー寮の少年たち】

土曜日のつめたいあめのふる、朝。
先日、お正月にみんなで出かけた時に、レシャとファルリテが僕に、お父様からの手紙をうっかり渡すのを忘れていたとの詫び状が、今朝、白薔薇の豪奢なブーケと共に枕元に届いていた。まだロロとリュリュが眠っている午前七時、僕は邸宅と交信する。
「おはよう、みんな。エーリクだよ」
「坊ちゃん、おはようございます!」
「今三人で、本日のミーティング中です」
「エーリク坊ちゃん、お

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抱っことアフタヌーンティーと飛び級セルジュ【チョコレートリリー寮の少年たち】

抱っことアフタヌーンティーと飛び級セルジュ【チョコレートリリー寮の少年たち】

「エーリク、だっこ!」
四限を終え、寮に持ち帰らなくてもよい教科書を木製のロッカーへ入れていたら、そう言ってリヒトが腕を差しのべてきた。鍵をかけて、とりあえず抱きしめる。ちいさなせなかをとんとん、とんとんと優しくたたく。
「どうしたの、何かあったの?」
「ううん、理由はないんだ、なんだか無性にぎゅってしたくなった」
「おつかれさまです、ふう、ようやくひとりで鞄をせおえるようになりました」
「ロロ!

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ミルヒシュトラーセ家のアフタヌーンティー

ミルヒシュトラーセ家のアフタヌーンティー

今日は、仲間たちを家に連れておいでよと、お父様と約束をしていた日曜日。久々に邸宅のみんなに会いに帰る。せっかくだしという事で、僕らは式典用のローブを着込み、バスに乗りこんだ。
チョコレートリリー寮から実家までは、学院から一時間ほどバスに乗り、邸宅最寄りのバスストップから鳳が車を運転し送迎してくれる手筈になっている。
「ああ……ちゃんとご挨拶できるかな」
「本当に……頑張らなきゃ」
「名乗れるように

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