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チョコレートリリー寮の少年たち

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自己満足で書いているお話です。チョコレートリリー寮に住んでいる少年たちの、とうといまいにち。 ご飯を美味しそうにたべます。 (少年たちがいちゃいちゃします、要注意)
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2022年10月の記事一覧

チョコレートリリー寮の少年たち アルバイト①

チョコレートリリー寮の少年たち アルバイト①

僕たちはこの秋から年末、年越しにかけて、レグルスで短期間のアルバイトを経験する。滅多にない、良い社会体験だ。そしてなんといっても、あの物語喫茶の一員となって親友たちとお店を回せるのが嬉しくて仕方がない。
「まさかこんな素敵な話になるとはね、僕の計算外だった」
レグルスへ行く道すがら、ふと呟くと、じゃれ合っていたロロとリュリュがちょっと真面目な面持ちになった。
「ほんとうに、ありがたくて、うれしいこ

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チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日⑤

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日⑤

「お借りした三角巾と、割烹着、ここに置いておきますね」
「とても助かったよ、たしか、ロロは焼きプリンが好きだったよね。ちょっとまってて」
カポナータを作っていた大きなフライパンの火を止め蓋をして、真宵店長が奥に引っ込んだ。ぼくはロロが席に着く手伝いをする。
「よいしょ。エーリク、ありがとう!」
「とんでもないものを作ってくる気だね、真宵」
「ここですごく売れてる焼きプリンのレシピも、もともとは黒蜜

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チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日⑥

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日⑥

僕たちは連れ立って、レグルスを出発した。周回バスが、バスストップへゆるゆるとやってきて、灰色の煙をひと吐きして、停車した。
「ロロ、リュリュ、体調は大丈夫?具合が悪くなったらすぐに言ってね」
「はい!いまのところぼくは、だいじょうぶ。リュリュはどうですか?」
「元気いっぱいだよ!しかし、こんなに素敵なお店が学院のそばにあるなんて……」
「まだまだいっぱいある、フォーマルハウトプラザとか、今度案内す

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チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日⑦

チョコレートリリー寮の少年たち 学院創立記念日⑦

その時だった、扉をどんどんと、叩く音がした。その後ベルが五回鳴る。
「眞宮ー!あけてー!!」
僕らは顔を見合せて、いっせいに扉へと向かった。黒蜜店長に違いない。
「先程ぶりです、黒蜜店長!」
鍵を開けて扉を引くと、黒蜜店長が店内になだれ込んできた。
「もう!あかりは漏れているのに鍵がかかっているものだから、強盗にでもはいられたのかと思ったよ。先程ぶり。結局寝ないでチェスをしていたよ。クレセントが眞

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