チェコの街並みが思い出させてくれた

槍投げの北口選手がチェコで生活しているものを追ったものがあり、久しぶりにチェコの街並みを見た。選手の頃、毎年の様に訪れた国だ。

チェコはラフティングの世界では伝統的な強豪国だ。カヌースラローム、カヌースプリント、ワイルドウォーターなどパドリングスポーツが盛んで、ラフティングでも何度も世界一になっている。僕がレースをプロとして始めたのは2004年だったが2003年の世界選手権を勝っていたのがチェコだったので彼らの練習映像をビデオテープが擦り切れるくらい何度も見ていた。なので初めて映像で見ていたトロヤのコースに行けた時は感動した。

僕が競技を始めた頃、チームは2年目で世界レベルのアスリート出身の人間はいなかったので、練習も手探な状態だった。初めてチェコとスロバキアのレースに出た時は女子チームよりタイムが遅かった。2年目のチェコ合宿で初めてチェコ人のコーチについてもらい、練習のやり方を知ることができた。

チェコでは首都プラハで街の中心から電車で15分くらいのトロヤというところで合宿をしていた。人工コースのすぐ隣に宿泊施設、レストラン、艇庫があり、キッチン付きの宿泊施設で自炊もできるので毎年ここで1-2週間合宿をしていた。チェコの街並みは石畳の道路に古い建物が並び、街を歩くだけでもなかなか楽しい。プラハが世界的な観光地であることも分かる。

タラナフカの人工コースでのレースも好きだった。年に数日しか水が流れないコースで毎年行われているレース、僕ら以外は全チームチェコ国内のチームだが、僕はもなかなか表彰台に上がれないレベルの高いレースだ。タラナフカはプラハから2時間くらいの田舎町で、高速道路の出口から20分くらい牧場地帯を走るのだが、宿もレストランも数件しかない小さな町でラフティングをしていなければ一生行くことがなかっただろう。ここに限らず、ラフティングをしていなかった場所ばかり世界中行くことができたのは本当にラッキーだった。

タラナフカの人工コース

北口選手は単身チェコに渡ってコーチやスタッフのサポートを受けて世界一になった。シンプルに世界一になるための最適な手段を自ら切り拓いたそのエネルギーがあったからこそ、世界一までたどり着いたのだろう。

どんな目標であっても、まずは自分自身がそれを達成することを決めなければ何も始まらない。目標を決めず結果的に世界一になりましたなんてことは、なかなか怒らないと思う。

人間はゴールを自分で決めることで初めて全力でそこに向かえる。

北口選手のインタビューとチェコの街並みがそんなことを改めて思い出させてくれた。

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