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桑の実

この前シンガポールから来たサブコンのGMがお土産に桑の実を乾燥させたヤツを持ってきてくれた。
桑の実なんて何年振りに食べただろう。

僕が生まれ育った長野の東の方、東信エリアはかつて養蚕業が盛んだった。
蚕の餌として育てていた桑の木が、僕が子どもの頃は町のあちこちに残っていた。
中学校の帰り道にもあって部活帰りに桑の実を食べたことを思い出した。

当時バスケ部だったのだが、通常中学校の体育館で練習が週に数回、町営体育館で練習することがあった。いつも女子バスケ部とハーフコートずつ分け合っていたのでフルコートの練習ができなかったので週2ー3回は町営体育館の練習になっていた。その体育館のすぐ近くに桑の木があってそこで桑の実を見つけたのだ。桑の実は深い紫色をしていて、かなり色が強いので手や口がすぐに紫色になる。甘みと若干の酸っぱさがあり、味はブルーベリーに近いがブルーベリーほどの甘さはなかったと記憶している。

僕が通っていた高校は元々養蚕を学ぶ学校で、高校のすぐ隣には信州大学繊維学部があった。部活を引退した後、進路もすぐに決まった僕はよく信大の敷地内でタバコをフカしていた。別にタバコが好きだったわけではなく、何となく大人になった気分を味わっていた。僕の高校は制服がなかったので、大学生と混じっていても気づかれることはなかった。

味や匂いは一瞬で昔の記憶と繋がる。
桑の実の味は一瞬にして故郷の景色にtripしてくれた。
懐かしく美しい長野の風景は頭から決して消えることがないのだ。

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