見出し画像

【連載】コロナ禍備忘録#4 2020年度のオンライン活動

「【連載】コロナ禍備忘録」は、単に私がコロナ禍に経験したことを書き留めることを目的とします。とりわけ何かを社会に訴えたいわけではありません。


2020年度。コロナ感染症拡大に伴い、授業も会議も突然完全オンライン化。コロナ禍で突きつけられた未曽有の事態に全国の高等教育機関が大混乱に陥った
・・・この件、個人ブログで触れていい部分とそうでない部分の境目がよくわからないので、あくまで私自身のことのみに集中することとする。
実のところを言えば、私個人として、オンライン化で困ることはほとんどなかった。周囲の動揺をよそに、むしろ「日本最強のオンライン活動を目指す!」と意気込んでいた。というのも、私は2011年以来長きに亘ってアジア中の学生たちとオンライン活動に取り組み慣れていたからだ。

オンライン交流の私のヒストリー


過去10年間、その時々に無料で活用できる最新機能を駆使して多くの国々の学生達と交流を続けてきた。例えばInstagram。インスタはAppstoreから2010年10月にリリースされ、2012年4月にFacebookに買収されたのだが、私は2011年末からインスタを使い始めていた。ちなみにFacebookを始めたのはその前年、2010年である。最近の学生は、私がインスタに投稿しているのを見て驚くが(彼らは私の世代はインスタを使わないと思いこんでいるらしい)、私は現在の大学1年生が小学校低学年の頃からインスタに励んでいたのだ!
この10年のSNSの進化は凄まじく、次から次へと新たな機能が加わった。私はその進化に遅れまいと日々努力を重ね、その時々の大学生の「真似」をし続けた。結果、今や私のSNSスキルは、同世代の方々には到底追い付けないレベルに到達してしまった。さらに言えば動画のライブ配信も既に2016年から行っていた。


というわけで、世間は「コロナ禍での突然のオンライン化」と騒ぎ立てるが、私にとっては普段の活動と何ら変わりがない、というのが率直な感想であった。しかし、一度2020年前期の授業をオンライン配信してみると、何か物足りなさを感じてしまった。学生からの評価が決して悪くなかったが、「できることはもっとある!」

学生は私の「オンライン」教師


私の最大の武器は超優秀で親切な学生達に囲まれていることである。AAEEという学生主体の団体の代表理事の役得。授業をもっと面白くできないものかと相談すると、奇抜なアイディアが次から次へと出てきた。あたかも一流出版社の編集長にでもなった気分であった。採用したい案が片手では足りない程。学生達と吟味した結果、その中の一つを採用、その手法は日本全国の大学を隈なく探しても見つけることのできない独特のものであった(これ以上は企業秘密笑)。そしてその手法は大・大好評。受講学生から空前の高い評価を受けたのはすべてAAEEの学生達のおかげ。自らがコロナ禍の被害者でありながら、私の授業に本気で助言・協力してくれる彼らのことを私は心から尊敬した。

最強オンライン国際交流プログラム


 コロナ禍で世界中の国際交流も大混乱。既に学生募集が始まっていた世界中の多くの国際交流プログラムも中止されたが、AAEEや私のゼミの国際交流は逆に最強化した。「4ヵ月日本―ネパールプログラム」「日本―バングラデシュプログラム」「日本―ベトナムプログラム」「四か国合同プログラム」「日本国内多文化共生集中勉強会」など数多くのプログラムを準備し、コロナ禍で「自宅軟禁」されているアジア中の学生達が殺到した。

限界を知った上での挑戦


 もちろん、「心を通わせる」という観点で言えば、現地で顔を突き合わせて協働する交流に比べると物足りなさは残る。そんなことは初めからわかっていたことだ。AAEEの学生達にしろゼミの学生にしろ凄いのは、限られた環境の中でも常に前向きにベストを尽くすところ。そして逆境において猛烈な力を発揮する。火事場の馬鹿力とでもいうのであろうか、2020年の春から夏にかけて私たちが手掛けた数々の活動は、コロナ禍で萎む日本のみならずアジア中の学生に光を灯した。国内外の高等教育機関に留まらず、各国大使館や国連機関からも深い感謝のメッセージをいただけたのも頷ける。さらに活動報告イベントを二度も開催し、いずれも外務省やJICAに後援していただいた。オンラインイベントにも関わらず、数千人の方々が参加し、開催したこちらが唖然とするほどであった。

「できることはいくらでもあるのに、教育者達はなぜ悲観的な議論に終始するのか。」

これが2020年、教育者集団に属する私の率直な感想であった。ただし、学生集団に属する私にとっては、これまで同様に大変充実した一年間となった。やはりhttps://note.com/multiculturalism/n/n7668f5cf88f7にもある通り、私は「学生と一緒に輝く人」なのだと再認識させられた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?