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テレビ番組の制作をしてて良かったことを4つほど

どうも池本です。

最近娘が家の中で「ここは通れませーん!!」と通せんぼをしてくるのですが、「ママは通れまーす!パパは通れませーん!!」なのでちょっと悲しいです。

というわけで今日は『番組制作をしててよかったなと思うことがあった』というお話をさせていただきます。



池本の経歴は番組制作から

わたくし池本。
今となっては自分で会社を設立して、絵本を描いたり、メタバースの空間を創ったり、映像を創ったりといろんなものを創っておりますが……。

元々の経歴は【テレビ番組制作会社】への入社でした。

で、名古屋の中京テレビでADからDを3年半ほど経験し。
その後は「番組以外の映像も創りたい」という思いから【映像制作会社】に入社したものの、やっていた仕事の大半は、結局テレビ番組制作のディレクターで。

社会の厳しさや自分の仕事のできなささを自覚し、人に見てもらうためのコンテンツを創ることの難しさを知り。

さらにはテレビ業界の人間たちと自分の考え方の合わなささによる人間関係に困り果て(今となっては私の考えが幼かっただけと思いますけどね)。

うつ病一歩手前の適応障害くらいまでにはなり。

そんなこんなしてたら「コロナ」と「娘の誕生」が出来事として一緒に起きて。

今に至る。
そんな感じなのです。

何が言いたいかっていうと、「番組制作だけをしていた時はこの業界のことが本当に嫌いだった」って話です。


……ただこれも、今となっては私が弱く浅はかだったのだなと思うようになり、番組制作をしていた経験は大きなプラスに働いているのが事実です。

中でも「番組制作をしてよかったな」と思うことが4つほどあるので、まとめておきます。

いつか娘がクリエイティブなことを仕事にしたいっていうなら、自分の経験も踏まえてこういう話をしてみようと思います。


1. コンテンツ制作の基礎と執念を持てるようになった

本当にこれにつきます。
AD時代、ディレクターが欲しい「映像素材」「インタビューのコメント」が見つかるまで、撮れるまで延々と探していました。

まぁぶっちゃけ当時は、「ディレクターが欲しいコメントが撮れないと怒られる……」と思っていたのでやっていましたが。

でも自分がディレクターになって、創りたい映像がある場合、そこに対して自分自身で小さいカメラを持ちよく撮りに行ってました。

「名古屋」という苗字の人がたくさんいるという理由で、単身カメラをもって新潟に撮りに行ったり、なるべく多くのひとワードがほしくて朝から晩まで街中にインタビューを撮りに行ったり、農家さんの朝に作業を撮りに行きたくて朝2時に家を出て撮りに行ったり。

気づいたら「この画がほしいな」「こういう映像にしたいな」に対して完成させるための【執念】のようなものが身についていました。

もちろん社会人になってすぐに番組制作の世界に入ったので、コンテンツ制作の【基礎】を番組制作の中で学んだし、私の中のコンテンツ制作の基準がそこになりました。


この【基礎】と【執念】は今どんなものを創るにせよ活かされています。

例えば、全く絵なんて描いたこともなければ学んだこともない人間が、「娘に絵本を通して思いを伝えたいな」と思ったので、ほっそいボールペンとスケッチブックで一本ずつ線を引き絵を描き、絵本を出版するに至ったりとか。

絵本「おばけのパッチ」表紙

3DCGでクリエイティブをした経験なんて一切ないのに、絵本に描いた世界をデジタル上の仮想空間であるメタバースに2年近くかけて創っていたり。

メタバース"The Sandbox"に創っている「おばけの街」

この「どうやったら目標のコンテンツが創れるかな」に対する創り方や創るまでの粘り強さは、確実に番組制作の中で鍛えられました。


2. 人から話を聞きだせるようになった

ありがたいことに、本当に多くの方々とお話をさせて頂く機会が多いのですが、その中でいろんな人のお話を聞けるようになりました。

「聞き出せる」ということは「人との会話が途切れない」ということであり、「自分に必要な知識を蓄えられる」ということになります。

このあたりも、番組制作をしていたからできるようになったのだと思います。

……ちなみにテレビ番組をしている人にとっては、この「取材力」「インタビュー力」みたいなものは当たり前なので、その価値に気づきにくいかもしれませんが……。
特に店の取材などをする中で経営者の方や行動を起こした人の話を聞く機会が多いので。

経営者様をはじめとした多くの人々と話す中で(ビジネスの場でもそうでない時も)、この力めちゃくちゃに貴重でした。


なぜこの「聞く力」が貴重なのか。

それは私も含め、多くの人間は「自分の思いや考え、経験を人に喋りたい」という欲求が圧倒的に強い生物だからです。
それが悪い、という話ではなくもうそういうものなのです。
当然なのです。

人間が他の生物と圧倒的に違い、発展していったポイントは「言語によるコミュニケーション」です。
それはそれは言語を喋りたくてしょうがないのです。

であれば、「言語を聞いてくれる人」というのは貴重な存在ですよね。
圧倒的に少数派なので。

特に経営者の方や行動を起こされている方は、ご自身の考えがしっかりある方が多いので、頭の中にしっかりと自分の経験や思いを整理している場合が多いです。
そして人間は根本的に喋りたいのです。

だからこそ番組制作の「人の話を聞きだす力」の基礎は、手に入れられて良かったなと思いました。

表情の使い方や相槌の打ち方とかも、自然と最適化されていったので。

ちなみに最近は、表情や相槌なども含め、根拠をもって自然と実行できるようにより深く勉強してます。
インタビュー術とか心理学とか……。

楽しいです。


3. めげにくくなった

ADの時、3週間ほど朝3時に会社を出て家に帰り、朝5時には家を出て会社で寝るという生活を行っていました。

なにその生活。

最初のテレビ局にいたときから転職後の番組制作をしている間の6年ほど、当時の私とは人間性や考え方が合わないし、毎日ボロクソに怒られて、悪口のようなことを言われ、人間性を否定されてきました。

そりゃ適応障害にもなるってんですよ。

なので、もうある程度のことがあってもめげなくなっちゃいました。


……1つ思い出したのが、昔とあるテレビ局の社屋が新しくなるってんで、そこに働いている人みんなが社屋中に働いているときの思い出をペンで書いていました。

まぁ私も書いたのですが、まずみんなが壁とか床に書く中、天井に書くという。
そして書いた内容は「いっぱい怒られて、いっぱい怒られて、いっぱい怒られました」という。
なんかその印象が強かったんですよ。

そしたらその文章が、テレビ局内の社内報に写真で載るっていう……。

あーいっぱい怒られた。


……何度も言いますが、「当時の」私にとってはその環境は地獄でしたが、今であれば「あの時の自分は甘かったな…」と思えます。


4. 「番組を創った」が信頼に繋がる

私はこれまで、名古屋のテレビ局の幾つかで番組のディレクターとして働いてきました。

ちょっと前にそんな話を他の人にすると「へーテレビ制作してんだすごいね!」という感じでした。
ニュアンスとしては「いつもみんなが見ているテレビの制作を仕事にするなんてすごいね!」って感じ。


では今はどうなのか。

「え!?テレビ創ってんの!?NHK!?地上波!?すっご!!!」って感じ。

……まぁここまでリアクションが露骨な人はいませんが、感覚的にはそんな感じです。

数年前に比べ「テレビ番組を創っていたor創っている」という経験が、ものすごい信頼に繋がっていることがわかります。


これはいったいなぜなのか。

答えは単純。
だれでも映像を創れるようになってしまったから。
皮肉にも「テレビが衰退した理由」と同じ
なわけです。


どういうことかというと……

今の時代、スマホ1つあれば4K動画すら撮影可能です。
明るさや色、音までも申し分ない高性能カメラを誰もが持つ時代になりました。

編集だってそう。
縦動画はもちろんテレビと同じく横の動画だって、スマホ1つで編集までできちゃうわけです。

元々テレビ番組を創っていた人たちからすると「とはいってもデカカメで撮影して、PCの編集ソフトで編集した方がクオリティの高い映像になるから!!」という感じなのですが、「クオリティ」「目的」も合わせ、テレビとYouTubeをはじめとしたSNSで創る映像では基準が全く違うのです。

おかげさまで誰でも映像が創れるようになりました。
というより誰でも映像を創って公開していい時代になりました。

そしてテレビ広告費とネットの動画広告費は逆転するほどにまでになり、テレビ業界は昔ほどの勢いを失っていきました。


「あれ?じゃあテレビ番組を創っていることってそんなに尊敬されなくない?」

そうなんですよね。
だったらテレビを創ってることって時代遅れじゃない?
みなさんが思うのはそんな感じのことだと思います。

ただ、実際にテレビ局でテレビ番組の制作に携わっていて、かつそこの世界から飛び出して他業種の方とめちゃくちゃに話しまった人間が思うこと。

これが「テレビ番組を創っていたことが信用に値する」です。


要するに「全員が映像を創れるようになってしまった」「撮影でき編集できるようになってしまった」からこそ、映像制作を依頼する側からすると「映像制作を頼むという信頼に値する基準」がわからなくなってきてしまっているのです。


そして映像を創る側のクリエイターさんたちが思うこと。

「あれ?映像を創るのってめっちゃ大変じゃない?創り続けるのめっちゃ大変じゃない?」です。

そう。
「映像を誰でも創れるようになってしまった」がゆえに、「誰もが【仕事に繋がる】映像を創れること」の難しさを肌で感じるようになってきたのです。

YouTubeには「誰でも動画を投稿できる」けどで、テレビには「番組の制作をしている人間しか映像をお届けできない」って言われると、その希少性に気づくかもしれません。

映像がこれだけ身近になったからこそ、「やっぱりテレビ番組を創ってる人ってすげぇんだ」という思いが広がりつつあるんですね。


▼▼▼


そんなこんなで、ここにきて「テレビ番組を創っていた」ことが信頼や価値、今の自分の構築に繋がっていました。

少し前まで、「嫌な記憶しかないし、終わりに向かうテレビの制作からいち早く離れないと」なんて古巣をけなすようなことを思っていた時期もありましたが。

今となっては「やっぱりテレビってすごいな」って思うし、「あそこでモノ創りや人間関係、社会の基礎を叩き込まれてよかったな」って思っています。


……だからこそ思うのは、これからデジタル・アナログ問わず、何かクリエイティブなことを仕事にしたい方は、あえて「テレビ番組の制作」を仕事にしてみるってのもありかもしれませんね。

まぁ結果として、自分がそうだったからってだけですけどね。

では。


スタジオパッチ
いけもとしょう


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