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【イタリア】新首相と三度目の自宅待機


現在のイタリアのトップニュースは、
新たな首相が誕生したこと。

それと、
新型コロナウイルスによる、ゾーン別行動規制が
再び厳しくなるというもの。

この二つを掘り下げていこう。


イタリアの目紛しい首相交代


私がイタリアに住むこの間、首相が何度変わっただろう。
その名前を歴代順に言えと問われても即座に答えられない。

調べてみると、

《過去10年の歴代イタリア首相》
 2011.11-2013.4  マリオ・モンティ
 2013.4-2014.2  エンリコ・レッタ
 2014.2-2016.12 マッテオ・レンツィ
 2016.12-2018.6 パオロ・ジェンティローニ
 2018.6-2021.2  ジュゼッペ・コンテ
 2021.2-      マリオ・ドラーギ

10年間で6人の首相が誕生していた。
懐かしい名前に、そんな人もいた。と忘れていた人も。
中でも、共和国で史上最年少39歳で首相となったレンツィは、
フィレンツェ出身で市長を務めていた時に、
水色のセターを着て颯爽と街を歩く姿を見て、
カッコイイなぁと目を奪われた。(今そんな面影は…ない)
そんなレンツィが首相になった時は国民の注目度も上がった。


またこの間に、イタリアで起きた大きな出来事と言えば、
豪華客船コンコルディアの座礁事故、新ローマ教皇誕生、テロ対策、
アマトリチャーナを含むイタリア中部地震、五つ星運動の躍進、
ジェノヴァの橋落下、新型コロナウイルス拡大、列車脱線事故など

政治の動きと合わせて、記憶が蘇るものもあった。



政権交代のいきさつ


前首相のジュゼッペ・コンテは、2018年6月
政治経験のないところからいきなり抜擢された。
フィレンツェで法学の教授や、弁護士としてのキャリアがあった。
新政権発足するために実務家から選ばれた
真新しいタイプの首相として注目を集めた。


年金支給年齢の引き下げ、ベーシックインカムの導入などを掲げ、
ばらまき政策と言われたが着実に前進してきた。


特に、コンテ首相の功績と言えば、新型コロナウイルスへの対応だ。
イタリア全土でのロックダウン実行や、ことあるごとに、
自ら生中継で説明を行ったり、質疑応答したり真摯に取り組んできた。

未曾有の危機に誰もが不安を抱く中、払拭するかのように
大声を荒らげることなく、冷静に訴える姿に好感を抱いた。
また、1年にも及ぶ新型コロナウイルスに対する姿勢は、
疲れた表情を見せることなく任務を完了させたことも評価されている。


そんな中、小党に所属するレンツィ元首相は、
コンテ首相の政策に批判をし、メディアを急に賑わせた。
信任投票を行ったがコンテ首相は僅差で勝ち抜いた。
しかし、ただでは引き下がらないレンツィは、
小党の閣僚を連立政権から離脱させた。
もちろん、レンツィの画策は国民から避難を浴びることに。

コンテ首相は、辞任を提出。マッタレッラ大統領は再任を指名したが、
閣僚人事などと折り合いがつかず、新政権発足には至らなかった。




2年と8ヶ月に及ぶ任務を終え、
2月13日コンテ首相は宮殿儀式を行い後にした。
ニュースでは、宮殿や通りで拍手またはエールが贈られる様子が流れ、
いかに彼が人徳があったかが伺える。
(その様子はこちら)
https://youtu.be/M7nG8xFXiTE


コンテ首相について振り返る、
五つ星運動の上院議員女性の言葉を引用する


"È stato il miglior presidente che l’Italia ha avuto negli ultimi anni - afferma la senatrice dei 5 Stelle eletta in Umbria -. Ha affrontato con coraggio e determinazione la peggiore crisi sanitaria ed economica dal dopoguerra".“

「コンテ氏は、近年のイタリアにおいて最良の首相だった。戦後の危機的な衛生面と経済状況の中で、勇気と決意を持って立ち向かった。」

このほか、「コンテ政権の活動は、ヨーロッパにおいてイタリアへの信頼が高まった。模範的な方法は政治的ではなく国際的に認められた。」と。


余談だが、コンテ首相の変わらない紳士な姿を見て、
多くの女性が魅了されたことは言うまでもない。
任命された頃と、宮殿を後にする姿、
ピンと伸びた背筋と、垂れ目になる笑顔、所作に至るまでも
惚れ惚れするほど完璧なものだった。



マリオ新首相


大統領は、即座に新たな首相を任命した。
そこに登場するのが、イタリア経済を回復させるであろう救世主
マリオ・ドラーギ氏。
(多くのニュースで ”ドラギ”と表記されているが、 ドラーギが正しい)
イタリア銀行(中央銀行)総裁などを歴任。
2011年〜2019年までECB:ヨーロッパ中央銀行の総裁を務め
欧州債務の危機に貢献した。



13日、大統領の組閣指示から10日後に閣僚の発表に漕ぎ着けた。
23人のうち女性はたった8人という少なさに
世界から冷たい視線を浴びるかもしれない。
イタリアは、まだ男性社会。市長や議員に女性はいるが、
メルケル級の指示を集められる人材はまだ育っていない。


そして、週明けには信任投票が行われ、正式にドラーギ政権発足へ。


とは言いつつも、現実には新型コロナウイルスの対応は
刻一刻と変化を遂げている。

ドラーギ首相率いる政府は、対策やワクチン投与に関する
迅速な対応を求められている。



ライト・ロックダウンへ


新政権が立ち上がる中、
新型コロナウイルスによる移動規制が
一部の地域で段階が引き上げられた。

飲食店では、店内の食事を禁止、
大型店舗は週末とその前日の営業停止、
ジムや美術館など娯楽施設も封鎖。
それ以外の生活に必要なお店や施設は営業継続。


私の住むトスカーナ地方が規制強化に該当した。
これで三度目のライトなロックダウンへと突入した。


ヴァレンタインデー直前に、
飲食店や商業施設では大幅な損失を被ることになる。
特別キャンペーンや大勢の客を見越して仕込みをしていたであろうに。

私が務めているSushiレストランでも複雑な心境。
特別なメニューは用意していなかった。
理由は、これ以上目立って満席になっても困るためだ。
しかし、実際14日の予約はたくさん入っており、
臨時スタッフの動員もかけられ体制を準備していた。

もちろん、政府の発表は少し前に打診していたが、
決定したのは二日前。週末に言われてもというところだ。



ということで、急遽ウエイトレスとして働いていた
私の仕事も停止。突然の休みとなり戸惑っている。
国から給与のようなものは支給されるが約半額。
これでは生活は回らない。

現在のところ、規制は二週間の予定。
新型のウイルス拡散の影響もあり、
今後の逼迫するであろう生活を後日レポートする。

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