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車大国イタリアで自車を手放しカーシェアへ
スーパーカー大国のイタリア。16万人の田舎では、一家に一台は車を所有するほど、なくてはならない。仕事で車の保有が必須条件になることもあるし、車ありきの職種もある。また、子どもの学校や習い事の送り迎えが必須なので、条件によっては車が必要な距離を行き来することも珍しくない。さらに、練習試合や大会となると、ないと不便になることさえある。と言いながら、
我が家に車はない
2020年の新型コロナウイルスの影響で、街全体がロックダウンした際に、保険の更新を止めた。10年経っていて、まだ動いていたが、ブレーキやバンパーや電気系などあらゆるところにガタが来ていた。これを直してまで乗る価値を見出せず、売ることにした。あれから2年。その後も車のない生活を送っているが、実はこれが不便ではない。
スクーターの方が必須
スクーターを利用しているということも大きい。夫の仕事場はスクーターで10分。私は勤めているレストランまで自転車で5分の距離。食品の買い物は、仕事の帰り道にあるスーパーで済ませる。その日用品も自転車で行けるから、車を持っていても使わない。
夏になると車の利用者は減り、毎日というほど、海水浴場へ行く市民は、車ではなくバイクでサッと乗り付ける。海岸沿いの駐車場には限りがあるので、バイクは都合の良い乗り物なのだ。また若者にとっても、車よりバイクの方が必需品となる。
イタリアではミッション車が主流
イタリアのドライバーは皆、運転技術が高い。基本的に車はミッション車だ。狭い道もスイスイ。車間距離も狭い狭い。ガシャガシャギアを変えながら、ベラベラ喋って運転しているし、電話している人も多い。フリーハンズの電話機能でだ。
もちろん、AT車もあるが「すぐ壊れる」「壊れても直すのに時間がかかる」「面白くない」などの理由から倦厭されている。
しかし、私にとってこのギアチェンジがストレス!狭く一方通行の多い近所で、ギアを上げたり下げたりするのが苦痛。昔は兄のVWのレトロ車を運転していたのに、もうあの頃の勢いは私にはないみたい。右側走行には慣れたが、一人で運転はしたくないと思い乗らなくなった。
そもそも、我が家の駐車場は地下なので、出る時に最初の難関である坂道発進を成功させないといけない。その先に、歩道と道路があるので、目を見開き細心の注意を払い、誰も来ないことを祈って、エンストしないように足をギコギコしながら進むことになる。もう書いている時点でもハラハラしている。車に乗りたくなくなった。
昨年末、インスタにこんな広告が入ってきた。
「2022年カーシェアリング登場!」
信じられないだろうが、この街には今までなかったのだ。車を借りるとなれば、レンタカーしかなかった。価格が高く、半日で5000円はかかるほど。ほとんどが旅行客用や大型の物を運ぶ用なので、「ちょいノリ」で使えるものではない。
あと一つの難点が、オフィスの営業時間。午前中しか開いていないので、午後に返すことができない。使わなくても一日借りることになってしまう。これが罷り通るくらいだから、「ちょいノリ」の人がいないことが分かる。かつて、義母の病院の送迎を考えていた時に調べたことがあるが、べらぼうに高かった。だから夫の従兄弟に頼んで連れて行ってもらった。
しかし、2022は違う。もう誰にも頼ることなく、車を好きな時に乗ることができる!
街中に、5台の車が停まっている。どれも電気自動車だ。ということは、念願のAT車。それだけではない、最後の給油がないのは当然だが、充電も必要ない。運営側がするようだ。さらに、路上駐車の料金は、エコカーなら無料。交通規制区間もスイスイ入っていける。電気自動車は、あらゆる規制から除外されるのだ。至れり尽くせり。
さっそく、開始早々の週末に利用した。
利用方法は、
専用アプリをダウンロード
免許証やクレジットカードを登録
本人確認を完了で、運転資格を与えられる
車を予約
時間前に車の側に行き、傷や凹みを確認
予約時間になったらアプリを開く
画面に開錠ボタンが表示されるので開く
乗り込んで、除菌
いざ、発進!
乗ったのは、OPEL CORSA。
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初めての電気自動車。スイーっと動き出す感覚は滑らかで、走行中は静か。踏み込んだ時には意外なほど力強かった。
私にとっては、ギアをガシャガシャ変えなくていいところが最高に心地よかった。ストレスがなく、行きたいところにハンドルを向ければいいだけ。日本で運転していた時の快適さが蘇った。
料金比較
これまで、二回・2時間 利用した。
一回目は、走行距離43km、約3400円。
二回目は、走行距離19km、約2000円。
一回目は、ちょっとしたドライブ。
二回目は、郊外の園芸店でお花や土を買った。
月に二回利用したとしても、約5400円は安い。
これまで、10年落ちの車は、
車両保険に約8万円/年
ガソリンに約5千円/月
メンテや掃除に7千円/年
税金に1万円/年
年間で15万円以上かかっていたことになる。
それが、半分以下に抑えることができる。
毎週末利用したとしてもまだ安い方かもしれない。
返却方法
返却時は、駐車場に時間内に返すだけ。
車内に忘れ物はないか点検して、
アプリから、走行終了ボタンを押すと完了。
もうドアは、次の利用者まで開かない。
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この写真で気づいただろうか…
前との車が僅か5cm。専用の駐車場は、緑色に塗られている。返却時に行くと、前の車に侵食されて、幅が狭くなったところに、駐車せざるを得なくなった状況の証拠写真。致し方なく前後に触れながら枠内に収めた。
車は、傷や凹みは弁償しないといけない。だから発見した時点で写真を撮り、自分のものではないことを証明する。今回は、仕方なくした。
だが、咎められることはなく、逆によく駐車したということだろうか。時間内に枠内に収めることができた。
こんなリスクもあるが、短時間利用ができ、ちょっとした遠出もできる。もちろん連日の利用もできるし、定期で利用することも可能だ。
実は、実家の両親は車を手放した。近所にたくさんカーシェアがあること、年齢的にあまり利用しなくなったこと、維持費の高さ、健康のために歩くようになったことなどから決めたようだ。大の車好きだった父は、素晴らしい決断をしたと誇りに思う。
我が家も父に習って、このままカーシェアでいいのではないかと思う。平日や夏場は車の出番がほとんどないし、雨や冬の寒い時期にはあるといいが、毎週末出かけるほどでもない。
でも、いつでもクルマがあるという状態が頼もしい。この街では、まだまだ認知度が低く、利用者も少ない。
ボロボロの車を持つより、電気自動車のカーシェアを利用する方が、環境にも懐にも良い。ガソリン高騰の影響も受けないので、気兼ねなく運転できるのも◎
さて、次はどこへ行こうかな。
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