![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89332983/rectangle_large_type_2_68d3f2b95b2b66c6b259e8dbc7e637aa.jpg?width=800)
【帰国】鮨いと儚き
ラジオでは生放送を主に担当していました。
言葉は放ったれた途端、瞬く間に消えてゆく…
発する者の想いや意志によって強い印象を残すこともあれば、
受け取る側の状態によっては馬の耳に念仏にもなる。
関心をもたせたり緩めたり駆け引きに手腕が問われます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89300737/picture_pc_a844e2e65444a36823ff50e6803e75a7.png?width=800)
鮨の世界にも
先日、鮨の世にも存在することを体感しました。
高松の繁華街ある鮨屋の若が5年前に独立。
開店して以来、初めての訪問です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89302179/picture_pc_6046c372cb403dca1dcd82446cfc55a9.jpg?width=800)
彼との出会いは、当時のラジオパーソナリティが、
呼びたい人がいると番組に連れてきました。
人柄の良さに、レギュラーゲストとして出演してもらうことに。
鮨の話ではなく、内容はなんと音楽談義。
DJをしていたので、古い曲を中心にかけていました。
お店は、小ぢんまりとしていて、
10席ほどのカウンターと一室の座敷のみ。
斜めに構えた付け台の向こうには、
まな板やコンロ、蒸し器、焼き台、洗い場も
収まっています。
まだ5年しか経っていないからか、
木の香りが、浮ついた気持ちを落ち着かせました。
飲み物を頼んで、さぁ注文。
今回は単品をお願いしました。
まずは、出汁の効いたもずく酢、地だこのぶつ切り、
そして、帰国してどうしても食べたかったものを注文。
イタリアでは食することのできないもの。
「白子」です。
焼きで頼みました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89302902/picture_pc_f2e10c986b776a563ce72c967b7a81b7.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89302901/picture_pc_a1da90fa4257454a280eae183880225b.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89302903/picture_pc_0636b5dca9336b3ba436ff50bcbb27d7.jpg?width=800)
トロットロになった白子を箸で一口大に切り、
いざ実食…
口の中にぬわっと広がり、舌で潰すように味わう。
一瞬で消えてしまう。
もう一口、すかさず放り込む…
やっぱりまた、なくなる…
まるで雲を食べているよう。
でも、お皿には薬味だけが残っている…
余韻に浸りながら、味を回想。
味を言葉にはできず、衝撃だけが残っている。
冷蔵庫から、抱きかかえるようにして白い物体が出てきました。
袋を外し、紙につつまれたものを剥ぐと現れたのは…
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89328765/picture_pc_c5e66e22032b3f0c980cd8aabdc1e925.jpg?width=800)
マグロの塊!!
右の赤身からトロ、中トロ、大トロ、砂ずりまで。
「今日は特別に…」と出してくれました。
見るだけで圧巻!
鮮やかで美しい色と脂身のバランスにうっとり。
ここから、大トロの部分を切ってくれました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89327342/picture_pc_f5a5faf1c709bec1a742a89443a8d432.jpg?width=800)
写真を撮っている間に、どんどん溶け出しているように見えます。
ずっと眺めていたいけれど、もう食べてしまわないと
美味しい時を逃しそう。
一口で食べるだなんてもったいない!
でも、ちょびちょび食べるのでは品がない。
勢いよく、いざ口へ!
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89328819/picture_pc_12f94a285bca4a7b388ed0be4cba9456.png?width=800)
Mmmmmmmmmmm…
!!!!!、!!!、!!
!!もう!ほら!めちゃくちゃ、じゅわ〜って…
ずっと、目を閉じたままあの世と交信しました。
なんと言う旨さ!
口の中へ入れた途端、温かさでどんどん溶けてゆく
味わおうとじっくり考えるも、食感も味も
適した言葉が浮かばない。
そして、もう一切れ。
やっぱり、消えてなくなりました。
味わおうとしたのに…
まさに言葉のようでした。
食べた後には、消えてしまう。
そして次から次へとやってくるので、
実際に食べたのに、瞬く間に過ぎ去ってゆく…
夢だったのかと思うほど儚い。
さぁ、最後は握りで締めます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89331124/picture_pc_12bad22714ddaafa84830147468f3685.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89331121/picture_pc_89d64a1b4dea1f2f16c7d92d95995b27.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89331123/picture_pc_0dc2a0875c3a39e5023240f58758043f.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89331120/picture_pc_f8c27ee62ac8729305766253f8a3a187.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89331119/picture_pc_30e4dbba043b9402ac96e72f41de2dba.png?width=800)
シャリは小ぶりで、ネタはしっかり。
出てくる順番もお見事。
鰆は、最初に切って醤油に漬けていました。
いつ出てくるのかと気になっていたほど。
すると最後に出てくるんです。ニクイ!
この後、おまけのように出してくれたのが、
大将の向こう側の棚で、巻きすに包まれたもの。
ちょっと味わってみたいなぁと思っていました。
出してくれた時には、うわぁ!と声が出ました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89331122/picture_pc_c5fd9d2da215b8d7a620ed8101ab99f7.png?width=800)
ドンッ!!
甘くて、好きな味!
もう、夢いっぱい胸がいっぱい。
充分にお鮨を味わうことができました。
大将の変わらない優しさと小粋さ、
家に着いた頃送ってくれたメッセージも
さすが!と言わせるような嬉しい言葉をくれました。
できる男はどこまで行っても眩みます。
和を味わい、この後、お寺の落語会へ。
心身共に満たされた一日となりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89332273/picture_pc_b9e6d4d4d6accc2f411e636dd9c05b5a.png?width=800)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?