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【イタリア】ポケ丼がアツい

なぜこんなにも流行するのか

2020年以降のこと

昨年から、筍のようにニョキニョキとポケ丼店がオープンしている。私の住む14万人の街でも10軒は誕生した。ここだけの話ではなく、フィレンツェでも起こっていることから、イタリア全土、もしくはヨーロッパ、はたまた世界での現象なのかもしれない。

イタリアは、2020年3月新型コロナウイルスの影響で3ヶ月以上に渡るロックダウンを余儀なくされた。買い物や近所の散歩など以外は外出できないほどだった。

そんな最中、ポケ丼店が次々に現れた…

ルーツは日本

ポケ丼は、ご存じの通りハワイ生まれの食べ物。ポケはポキとも呼ばれ、「切り身」という意味で、生の魚介を醤油や香味野菜などで和えて食べるというもの。戦前に、移り住んだ日本人たちの文化が発展し、ハワイで定番の味となったとか。

日本人としては、漬け丼やマグロの山かけ、 海鮮丼のようなものを食べてきたこともあり、我々の文化が進展に進展を重ねてイタリアまでやってきた。戦前に移住した日本人たちは、100年後に世界中で食されるとは思ってもいなかっただろう。

また、日本人にとって、"ポケ" はポケモンを連想する言葉だ。実際に、吉野家はポケモンとコラボして、「ポケ盛」というキャンペーンをやっているようだ。丼鉢にモンスターボーンのデザインが施されている。

そんなこともあり、ハワイのこの料理を日本では「ポキ丼」と呼ばれている。「ハワイ風」なんて言葉を添えているところが、日本人らしく慎ましやか。


イタリア流ポケ

虹色料理

オリジナルとは違っていても、イタリ アでは「ポケ」や「ポケボウル」と堂々と呼んでいる。

具材を混ぜ込んだものを白米の上に乗せるのではなく、選んだ魚や野菜を食材ごとに並べて、見て楽しい食べて美味しい料理だ。


浮かれる注文

ポケは、食べる前からワクワクが始まっている。注文は、店頭の専用用紙に、食べたい食材のチェックを入れていく。デリバリーでも人気で、選ぶ楽しさを感じるのは、女子たちの心をくすぐる可愛いデザインだからだろうか。

Poke flashというお店のメニューを見てみよう。




注文の仕方

ポケは、自分好みの味を作れる。大きく分けると、「サイズ、ベース、魚介か肉、野菜、果物、ソース、トッピング」という5つのジャンルから選んでいく。


◆サイズ◆
小さいものだと800円弱。女性ならこれで十分な量。
大きいものは、1400円程度だから、たくさん食べる男性や、ママと子どもで分けるのにちょうどいいサイズ。大きいと選ぶ食材の種類も増える。

◆ベース◆
白米、酢めし、黒米、キヌア、サラダなど

◆魚介か肉◆
サーモンやマグロの生魚や、ボイルしたエビ、カニカマのほか、チキン、ビーフ、豆腐など

◆野菜・果物◆
アボカド、コーン、赤キャベツ、トマト、きゅうり、ニンジン、ラディッシュ、赤玉ねぎスライス、もやし、パイナップル、マンゴー、海藻サラダなど

◆ソース◆
わさび醤油、テリヤキソース、ポン酢、スパイシーマヨネーズなど

◆トッピング◆
ごま、とびっこ、クランチーオニオン、ピーナッツ、アーモンドなど

これらの食材を選ぶことで、オリジナルポケ丼が出来上がる。魚の火の入れ加減や調理の仕方、ソースの掛け合わせなど、限りない種類になる。ちなみに私は、日本の食をベースにしつつ、色合いを考えるのが好き。


人気が出る理由

食文化の違い

イタリアでは、家でも外食でも料理には食べる順番がある。
【前菜 → パスタかリゾット → 肉や魚と付け合わせ野菜 → ドルチェ】
このような流れで食べる。もちろん、簡単にパスタしか食べないランチもある。


そんな食文化の中に、意図皿で食事が済むなんて、便利な料理に見える。野菜もタンパク質も炭水化物も摂れて満たされる。時間も短縮でき、腹持ちも良い。いいことばかりだ。

もし、家で用意するなら、さまざまな種類の野菜を少しずつ使うから、贅沢な気持ちになる。また準備や片付けを思うと、家では面倒でできない料理は外食したくなる。

選択肢の狭さ

もう一つ、イタリアでは日本に比べ外食の種類の少なさがある。イタリアンレストラン、ピザ、パニーノ、ハンバーガー、フライ、中華、インド、日本食という具合。

一方で日本は、一品ずつが確立した店になる。
寿司、天ぷら、うどん、お好み焼き、しゃぶしゃぶ、ラーメン、焼肉、カレー…ありすぎて書けない。
これがイタリアなら、すべて国籍料理として国ごとに分けられる。

逆に、イタリアの単品それぞれをお店にするなら、ラザニア店、スパゲティ、マカロニ、ステーキなど品数の少ない店になる予測がつく。

そこに新しい「ポケ」という魅惑な料理が入ってきたと言うワケだ。

運営はアジア人

多くのポケ丼は、中国人を筆頭にアジア人が携わっている。その理由に、「生魚の取り扱い」がある。

イタリアでsushiと言えば日本はだが、作っている人は中国人というのが多くの考え方だ。

生で魚を提供する場合、厳しいルールがある。寄生虫対策や衛生管理などを徹底してしていないと提供できない。 
その技術を活かして、ポケ丼は彼らの手により広まっていった。つまり、sushiを扱うアジア人だからこそ、安全な食材を提案できるというもの。
もしイタリア人が、ポケ丼店を作ったら、逆に大丈夫かな?と思うかもしれない。

ニッチなポケ丼

昨年以降、ちょうどいい隙間にポケ丼という存在があったと言える。sushiブームからしばらく経ち、新たな味を求めていた人は少なくないだろう。

夏のランチに人気が出たポケ丼は、冬を迎えどうなっていくのか。

ぜひこの勢いに乗って今後、親子丼、天丼、カツ丼などの、日本の丼屋も発展してほしい。

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