見出し画像

【帰国】着物を着せられ/落語は満席/師匠の粋な計らい

帰国2日目。

ドミトリーは鍵を置いてそっと出ました。

朝ご飯を食べようと有名店をチェック。

さっそくパン屋へ向かうと…

朝から並んでいるんです。

表だけなら入りますが、中にもトレーを持った女性が

ぎっしり!

私が入る頃には商品すべてが売り切れている状態。

都会の凄みを感じました。美味しいものには群がるようです。

気分を取り直して、2番目に候補に上げていたお店へ。


はい、そうです…

懲りずにクロワッサン。

お洒落な店内
パイ生地を使っています
どれにしよ〜
コーヒーはサイフォンで
プレーンとスイートポテト

手間ひまかけて作られたパイに、

わざわざ入れてくれたコーヒー

愛に溢れた食事に胸いっぱい。

食べてみると…

シャルルドゴール空港で食べたものは、

ウソだったのではないかと思うくらい。

冷静に考えたらそうですよね。

空港で食べられるお好み焼きは、

本場のものとはやはり違う。そんなもんですよね。

みよ、この美しき層を!

基本のプレーンは2つも取りました。

頬張る前から、目でも触ってもサクサクが伝わります。

一口食べると、求めていた味がここにありました。

もう、鼻の穴が開く開く。

バターの香りが広がり、有頂天になるほどの快楽がありました。

後からどんどん人がやってきて、品切れになり、

出直す人もいました。

予約してでも食べるべき価値あるお店です。
 



さぁ、街散策!しかーし、

神戸はお店開店時間が遅く、11時頃なんだとか。

カフェ以外やっていない状態。ぷらぷら歩きました。

すると、ワゴンセールに和柄のエコバッグを発見!

日本好きの友だちのために一つ選び店内に支払いへ。

そこは呉服店で、店内にはシャンパンゴールドの

美しい着物がありました。これに一目惚れ。

日本人の美の心を刺激されました。


何という色ですか?なんて質問しながら、

どんどん説明をしてくれました。

若い男性が、お客さんと距離の近い接客をしたいと

呉服店に就職したと語ってくれました。

一人一人の要望に応えて一緒に作り上げる。

洋服にはない面白みが詰まっています。

着物や帯の話をしていく中で、彼の先輩にあたる

お姉様方がいきなり、

「お時間あるなら着ますか?着ましょ!」と

準備をし始めました。もうウンとしか言えない。

商店の開店まで時間あるし、お手数ですがお願いします。と、

着物着付け体験が始まりました。

肌の色からオータムがいいこと、帯の柄などと吟味し、

このように着付けてくれました。

淡い黄色を
黒の斑点模様

思わぬ出会いに驚きました。

この後、落語会へ行くのでこのまま行きたいくらい。

写真を撮ったり撮られたりしながら、

愉快なひとときを過ごしました。


外へ出ると街は賑やかに。

神戸の街をぐるぐるし、大阪へ向かいました。

右側を登ったら怒られますか?
お腹が空いたので、お蕎麦を
蕎麦茶が美味しいと叫びまわりたい
蕎麦と天重セット

久しぶりのお蕎麦は上品な味と空間で穏やかになりました。


さぁ、ここからが大阪のメイン。

落語を見るためにやってきました。

「天満天神繁昌亭」

上方落語協会の寄席です。

実は、私がラジオを始めた約20年前、お昼の生放送では、

上方の落語家さんがメインパーソナリティを務めていました。

その師匠が今日出演する予定だったので来たんです。


当時は、落語への興味は少しあるくらいで、

今ほど楽しめる余裕はありませんでした。

それよりも目の前のラジオを作ることに夢中。

 ペーペーながら生放送のディレクターをしていた頃、

師匠は厳しく、本番前の準備段階でよく注意されました。

「100%用意して本番で出せるのはわずか30%。

それでも100%仕込みして万全の体制を作るべき」だと、

師匠からこっぴどく教えられました。

毎週会う日の朝は、緊張でお腹が痛くなったほど。

それでも立ち向かい、喜んでもらえるように、

楽しく進行してもらえるように試行錯誤しました。

このように私を育ててくれた師匠でもあります。


その後、ラジオは改編で番組がなくなり、

師匠ともsnsの付き合いだけになりましま。


そして、日本を離れて暮らしてみると、日本語の素晴らしさ、

話術や所作、独特の師弟関係など、

落語や演芸の世界がとても魅惑的で

大人の嗜みの如く夢中になっていきました。


YouTubeでも『ヨネスケちゃんねる』や、

講談師 神田伯山の『伯山ティービィー』などを見て、

舞台裏の様子を垣間見ることができてさらに興味を持ちました。

イタリアでそんな夢を膨らませたこともあり、

大阪に降り立つならば、寄席で見てみたいと思い、

番組を調べたら、かつて一緒にラジオをした

師匠が出演されると分かり、内緒で見に行くことにしました。


ところがですよ、

前まで行くととんでもないことが起こりました。

満員御礼

えっ⁉︎

朝、神戸を出る前に予約状況を見て、◎だから

余裕があるなと確認して来ました。それから、

寄席でお腹が鳴ってはいけないと、ゆっくりお蕎麦を食べました。

これがダメでしたか?そもそもいっぱいだったのか…

入れない!!

入りたくても見られない!!

関空に入り、神戸へ行き、わざわざ大阪に戻って来たのに、

満席で建物にはいることすらできない!!

こんなことがありますか?

まさかの展開に目が点になりました。。

何回も表の文字を読み直し、発券する受付を見ても

完全に閉ざされています。

しばらく考えて、これはもうどうしようもないと

隣の天満宮さんへお参りに行きました。


それから、目的が変わりました。

何としてでもお世話になった師匠に会う!と決め、

出待ちすることにしました。

こうなったら、ここから一歩も動かない。逃すまいか。

ちょっと裏手の池が気になるけれど、すぐ戻って待つ。

表が空いていないか見つつも、また楽屋口で見張り。

開演時間から、出番の時間配分を予測して、

出てくるであろう時間を予測して、

そろそろかと思いながら待ちました。

長いこといると、蚊が人がおる…とやってきて、

ブスブスと刺していきます。

こんなことで移動するわけにはいかない。

ハンドクリームを足にも塗って撃退?耐え抜きました。

まだかまだかとどのくらい待ったでしょう…

すると声が聴こえてきました。出て来た!!


「お待ち申し上げておりました。」と一言。

一瞥しては、避けるようにして歩き出しました。

もう一度さらに大きな声で言い「私です」と、

サングラスを外して挨拶しました。


「エェー!!何してんの!?何でここにおるん?」

良かった。気づいてくれました。

「一番おらん人がここにおる!」と驚きの様子。

一通りの流れを説明しました。

すると、コーヒーを飲みに行こうと誘ってくれました。

実は師匠は、この後打ち合わせがあるから出てきたようで、

それでも時間をくれました。イタリアのこと、

ラジオのこと、今ここにいることを話すと、

大好きなあの笑顔で笑ってくれています。

この展開が「私らしい」とケラケラ。

「ネタやん」なんて言っていますが笑えません。


私は落語を見たかったのに…なんて言うと、

師匠が「すまんかったなぁ」と。言わせてしまいました。

本来ならば、終演までいるのに今日は打ち合わせがあったので、

早々に寄席を出られたとか。ついていたのかな?

昔話に花を咲かせ満足。コーヒーをご馳走してくれました。

さらに、これから落語を見ずに地元へ帰ることを伝えると、

駅まで送ってくれるとのこと。さらにはバス停まで。

繁昌亭から乗り換え、道を何度も渡り右へ左へ。

実はスマホの充電がなかったので、新しいバス停へ

行くことはおそらく不可能だったと思います。

それを、人が溢れる梅田の街をスイスイと進む。

なんと最終的には、高松までのバスのチケットを

サラッと購入したんです。

「ええー⁉︎ 何してるんですか⁈ ダメダメ‼︎」と

断ったんですがもう手遅れ。そのつもりだったんでしょうね。

あっという間にの展開に驚き。

あとからじわじわ、かっこええなぁ〜と。



またラジオ時代のみんなに会いに来てくれるとのことで、

さよならは言いませんでした。

「ほんならまた!」と次の打ち合わせへと消えていく…



しばらくボーっと考えていました。

落語は見ることはできなかったけれど、


大人の粋な計らいに胸を打たれました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?