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一人暮らし

周りの主婦の方々は、「一人で良いわね〜」「羨ましいわ〜」と言う。

私もかの昔、専業主婦を12年間やった経験があるから、その気持ちは良く分かる。24時間家族一人一人に気をかけ時間をかけ、目まくるしく時間に追われていたあの頃。

年子の息子達を世話しながら、家事や夫の世話などで息つく暇も無かったな。あの時は真面目に、どこか魔法の棒があって、息子達に振り払うと、たちまち大人になってくれないかなと思っていたもんだ。

全く子育ての協力をしない夫や育児ストレスが限界に達して、頭に五百円玉よりも大きい円形脱毛症で出来たハゲた頭を隠して、暑い夏でも帽子をかぶっていたな。

あの薄情な夫と離婚をしてせいせいしたのも束の間、小学低学年の年子の息子ふたりを抱えて、15年間シングルマザーとして、またもや回るコマのように忙しなく24時間働いたものだ。息子達の成長と、一人前の社会人として育て上げなくてはと言う責任感で、親のせいで満足に教育を受けられなかったと言う事だけは絶対言わせたくないと言う思いで、15年間、二日以上休んだ事なく働き通しだった。

二人とも成人して家を出て、初めて一人暮らしがスタートしたが、落ち着く間も無く、311の大震災で、気持ちが変わった。

恐かった。

あんな恐い思いをたった一人で乗り越えるには、あまりにも心細かったな。その当時のニュースでも言ったけど、一人暮らしの人達が結婚相談所や出会い系アプリに押し寄せたらしい。みんな同じ思いをしていたのだろう。私も例外に漏れず、とある相談所サイトから紹介された男性とお見合いをして再婚をした。

幸いにとても優しい男性で、相手も孤独死が怖くて申し込んだと言っていた。一人暮らしじゃないと分からないと思うけど、特に男性は孤独死に対して、ある種恐怖心を持っているらしい。誰にも発見されずに一人ぽっちで腐敗していく自分の死後を想像するだけでもゾッとするだろう。再婚した夫とはとても楽しく大事にされて、やっと掴んだ幸せだと心から思っていた。

矢先、新生活を始めて1年半ほど過ぎた頃、夫に肺癌が見つかって、あれよあれよ間に、1年ほどの闘病生活の末、旅立ってしまった。

私の一人暮らしはそこからスタートした訳だが、初めは慣れない時間の流れや空間の寂しさに、がらんとした家の中をうろちょろして落ち着かなかったが、少しずつ、それなりに快適さを見つけて、落ち着いてしまった。

今じゃ、すっかり自分のペースが出来ちゃったので、これから誰かと一緒に暮らすのは無理だろうなと思う。

もう、誰かに気を使うことが面倒になってしまったのだ。たまにうちを訪ねてくれる生徒さんや子供達くらいは、そりゃー、嬉しいし楽しいから張り切って色々もてなしに精を出すのだが、何日も一緒にいる事になったり、ずっと同居をする事になったら、多分自分のキャパを超えたあたりから、気が狂ってしまうだろう。また、頭に大きな円形脱毛症のハゲ丸を作ると思う。

しかし反面、静けさや孤独に囚われると、余計な邪念が頭を支配して、夜な夜な眠れず辛い日も多い。

そんな日は、ベッドに iPad Proの大きな画面でオンラインゲームで夢中になって、世界と戦ってしまうのだ。眠れなくて始めるのだが、負けてたまるかとついカーッとなってしもうて、気がついたら外が明るくなっている。

又は、最近生徒さんから教えてもらった、ラジオの「人生相談」と言う番組を録音して流してくれるYOUTUBEがあると言うので、枕元で聴きながら、「うんうん。」「馬鹿じゃないの!」など一人で相槌を打ちながら眠れるまで聴いているのだが、それなりに面白くて、聴き入ってしまう。

今日はどんな相談を聴いてみようかな??

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