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眼科下垂手術

先月の年末に、眼科下垂手術を受けた。

元々腫れぼったい一重で、まるで仏像のお釈迦様の瞼に近い目をしていた。美人な妹に比べて、それは私のコンプレックスであった。

大学を卒業する頃、今から35年も前の話で、たまたま母親の友達がドイツから韓国に里帰りをしていたが、ドイツで美容整形の医者としてその当時流行り始めたメスを入れないで出来る前没の二重手術を専門としている話を聞いて、家に帰宅したばかりの私は母の友達が経営している産婦人科病院に呼ばれた。

有無を言わさず、いきなり手術台に寝かされて前没の二重の手術を受けた。

母は私が一重であることにコンプレックスでを感じているのを知っていて、これはチャンスだと思って、娘にドイツ仕込みの最先端の手術を受けさせたのだった。いつも強引ではあったが、母は私が何を望んでいて、どうしたいかを常に汲み取ってくれていたので、大きな信頼感と愛情を感じていた。なので、大いに感謝をしている。

その後、私は二重の目で生活をしてきたのだけれど、35年も経つと、瞼の皮膚がだるんで、老人の目になってきた。再び二重は消えていき、だるんだ瞼で視野は狭く、アイラインは滲み、マスカラは見えなくなってきた。

鏡を見るたびに気になってしまって、どうにかしたいとずっと思っていた中、80代の生徒さんがある日突然、大きな二重の目になってレッスンに来たのだ。

ビックリ!したなもう〜。

5才以上は若くなって、綺麗になって、顔の印象も変わってハキハキした美人になっていた。その後も2、3人の60代、70代の生徒さん達が次々と二重の手術をしてきたので聞いてみたら、美容整形ではなくて、眼科で保険で行う眼科下垂手術を受けたと言うではないか。そんな事ができるのかと嬉しくもあり、受けたいと強く思うようになった。

60才を目前にして、チャンスが来た!

糖尿病の治療で通っている病院で、定期的に眼科の診察を受けなくてはならないのだが、行くたびにだるんだ瞼のせいで視野が狭くて運転にも影響すると大げさに訴えた。

先生に診察を受けて、瞳が半分瞼に隠れたら眼科下垂手術を受けられるので、該当すると言われて嬉しかった。手術のスケージュルを年内に早々と決めてその日を迎えた。手術の時間はお予想1時間程度だと言われた。

手術室の待合室で麻酔の眼薬を入れられて待っていると、私の前に、80代の男性のお爺ちゃんが手術を受けていた。最近はお爺ちゃんの患者さんが多いと言う。奥さんらしい女性が空いた椅子で待っていた。

しばらくすると、両目にガーゼで目隠しをされたお爺ちゃんが、看護師さんに手を引っ張られながらよちよち出てきた。

私もああなるんだな。

いよいよ手術室に入ると、30代の若い女医さんが待っていた。

眼科下垂手術とは、垂れてしまった余分な皮膚を切り取って縫うだけなので、1時間で終わりますよと言われた。

慌てて、「先生、少しだけ綺麗にしてもらえませんか?私、今独身なので、もう一度嫁に行きたいです。」と言ってみた。

「あ、もう一回嫁に行きたいんですね〜、分かりました。でもね、綺麗にしたいなら保険が効かない美容整形になりますよ。」

厳しい〜

そりゃそうだろうけど、「先生、いくら保険だからと言っても、醜くなったら困ります〜」とダメ元でただを捏ねてみる。

結果、1時間の予定の手術が3時間に及ぶ事になった。途中で麻酔が切れて、メスが通ると痛みが走るけど、先生が頑張ってくれているので申し訳なく、グーっと我慢で耐えた。先生、ありがとう。

これでもう一回嫁に行けるかな。

1か月以上過ぎた今は、先生のお陰で、だいぶ落ち着いて綺麗な二重になった。また化粧やお洒落が楽しめて人生が明るくなった気がした。

言ってみるもんだな〜

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