03: コミックエッセイには何を描くの? 何のために描くの? 売れる作品とは??
【前回】02: ネームは、これらのポイントに気をつけるとグッと読みやすく(=読まれやすく)なります
次の回から2回にわたって、絵についてご説明します。画力がなくてもこれとこれを描いといたらなんとかなります!という話です。
今回はその前に一応、「コミックエッセイとはどんなもの?」ということを少し書きます。
コミックエッセイには何を描くか?
コミックエッセイは、基本的には描き手の体験談です。どんなことがあって、あなた自身がその時どう感じたか。「出来事」と「その時の気持ち」のセットを、ひとつひとつ積み重ねるように描き進めていくといいと思います。
「『出来事』と『気持ち』を常にセットで描け」というのは、漫画誌の編集者さんから教えていただいたことです。だからもしかしたら漫画の基本でもあるかも。
遠くにいる人とも気持ちが通じるのが、コミックエッセイの一番の喜びだと思います。ぜひお描きになってください。描けます。
コミックエッセイは何のために描くか?
私は、上に書いたように、遠くにいる誰かと気持ちが通じるといいな、と思って描いています。
始めからそんな風に思っていたわけではなくて、『片づけられない女のための こんどこそ!片づける技術』(2007年 文藝春秋)という本を描いたことがきっかけで、そう思うようになりました。
フリーのイラストレーターとして、仕事が欲しい一心で、「怖いもの見たさでも何でもいいから見て!ドン引きされても構わない!」とやけくそで公開した汚部屋脱出記だったのですが、意外にも温かく迎えていただき、ひとりじゃない…と思えたので。
ごくごく個人的なことを描いても、あるいはもしかすると個人的なことであればあるほど、どこかの誰かと、とても深いところで通じ合えるのかもしれません。
どんな作品が売れるか?
これも気になる方が多いと思うので(私も気になります)一応書きます。私の答えは、「わかりません」です。
えっとですね、多くの人が関心を持っている一般的な題材ほど、読者さんの人数が多いです。だがしかし、一般的な題材は作品も多いので作品が埋もれやすい。一方、一般的でないマニアックな題材は、作品も少ないけど読者さんも少ない。
多くの人が関心を持つような題材でこれまでにないものを作れて、かつ作品の存在を広く知ってもらえたら、より多くの方に読まれやすいと思いますが……簡単じゃないですよね。タイミングや巡り合わせ(つまり運)の要素も大きいですし。
売れた作品を追いかければ売れるのか?
売れた作品を取り上げて「この作品はこういう点が優れています。こんな点が好まれて広く読まれました」とふんわり解説するのは簡単です。すでに出ている結果に理由をつければいいだけなので。
でも描き手である私にとっては、「○○さんの□□みたいなの描いて!」って言われてそれに寄せて描こうとするほど苦しいことはありません。さらに言えば、寄せて寄せ切れるものでは絶対にありません。それぞれの作品には、表面に見えていること以外にも、たくさんの背景や経緯や思いが隠れていますから。
結局のところ、私は、自分が感じていることや考えていることを、できる限りちゃんと伝わるように工夫しつつ描くしかないのだろうな、そして、その作品の存在を広く知ってもらう努力も、最大限しなければいけないのだろうな、と思っています。(答えになってない。答えがわからないので…ごめんなさい)
「コミックエッセイ講座」ここからの進め方
これから、短期集中で、ネタ出し・作戦会議・ネームの見直し方などについて更新していきます。
さっそくネタ出しについて書いてもいいのですが、その前に、画力のことが心配な方もおられると思います。なので次回から、まずは絵のことをざっくりご説明していきます。
画力はちょっとで充分です!
コミックエッセイでは、出来事と気持ちがわかればいいですから、そのためには何と何を描けば用が足りるかを、2回に渡ってお話しします。
次回はまず、主人公のキャラクターをデザインしましょう、というお話。
【次回】04: 主人公のキャラクターをデザインする。顔に必要なものは何? 私のキャラの裏話も。
その次に、画力に自信がなくてもココとココだけ押さえておけば大丈夫!というお話です。
お読みくださってありがとうございます!