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web3がもたらすビジネスパーソンの環境変化

はじめに

本稿の目的

本稿ではweb3の登場により、会社や会社員のあり方は今後どう変わるのか?について考えていきたい。

参考)日本のビジネスパーソンを取り巻く環境変化

まず過去から現在に至る変化ということで「昭和」と「平成」を比べても、会社や会社員の「常識」は大きく変化している。

会社や会社員の常識は、この先どう変化していくと捉えるべきだろうか?

日本のビジネスパーソンを取り巻く環境変化

なお、私自身は、どちらかといえば平成育ちで、これまでの人生の殆どは「失われた」平成の30年とともにあった。

昭和に比べたら物質的には満たされていた、今日よりも良い明日は決して来ないという世界を生きてきたとも言える。

日本はともかく、世界はインターネットという蒸気機関以来の発明を受けて、大きく変化した。私の場合、同級生を見渡すとネットやデジタルに「賛成派」と「反対派」がちょうど半々くらいであるように思う。(なんとなく、それが「平成」を表している気もする)

少しは話がそれてしまったが、いずれにしても、「令和」は「平成」とも全く異なる世界になる。それだけは間違いない。

web3と会社組織

この先、会社や会社員はどう変化するのだろうか?
「株式会社」「会社員」「オフィス」等は無くなるのか?

AIやロボティックスの発展など、様々な技術革新が会社や会社員に影響を与え得るが、本稿では特にweb3による影響について考える。

大きな潮流は押さえつつも、読者の皆さんがイメージしやすいようになるべく具体的な例を挙げて考えてみたい。

会社に勤めず、複数DAOで複業

会社の一部がDAO(分散型自律組織)に置き換わるというのは、よく語られている未来だ。

DAOに参画する場合、現在のような会社に雇用される関係と大きく異なり、参加者の側により主体性がある場合が増えるだろう。

同時に複数のDAOに参加することは一般的で、就職活動や転職、昇進や異動といった概念は、今よりも曖昧なものになる。

また、DAOのメンバーは自身のDAOに出資する場合もあるだろうし、投票等を通じてDAOの意思決定に関わることもあるだろう。

一人ひとりが、DAOの経営者であり、所有者

仮にあなたが、ある酒蔵の日本酒「九天(仮名)」が好きで、マーケターとして九天DAOに貢献するキャリアを選択していたとする。

このとき、例えばあなたは「九天」に関するリツイートをひとつ得るたびにトークンをひとつ獲得する。

トークンは取引所で中央銀行コインに換金してもいいし、保有し続けて議決権を行使してもいい。九天DAOの仕組みによっては保有数に応じて限定の盃がもらえるなど、何らかの特典が得られるかもしれない。

仲間は世界各国にいて、実際には会ったこともない

このとき、九天DAOで一緒に働く仲間には例えば、プログラマーのスティーブや、コミュニティマネージャーのエレンがいたとする。

あなたとの共通点は、日本酒「九天」のファンだということ以外は何もない。国籍も居住地もわからないし、何なら性別だってわからない。

彼らとは上司と部下という関係にはならず、ロールごとに何をしたらいくらもらえるというスマートコントラクトがあるだけだ。

スマートコントラクトを新しくしたり書き換えたりする際にはトークン数に応じた投票が行われる。DAOの価値を損なうような投票をすれば自身の保有するトークンの資産価値を下げることになるから注意が必要だ。

web3と会社組織

web3とキャリア

上記のような社会が到来した場合に、ビジネスパーソンの生存戦略、つまり個人のキャリアの組み立て方はどのように変わるのだろうか?

中学生も「社会人」

例えば、年齢は今よりも関係なくなる。

先ほどの日本酒の例だとさすがにまずいが、ゲームのDAOであれば中学生でも参加できる。

例えば、コーラを製造するとある企業が「ロブロックス」空間にゲームを作るとき、スマートコントラクトでそのプロジェクトに貢献するプログラマーが「中学生でない」なんて誰も確認できない。

大学を出たら社会人、30代で部下を持ち、40代で中間管理職、55で役職定年など、それまでに存在した年齢とキャリアの関係は薄まり、キャリアの組み立て方の自由度は高まる。

キャリアを考えることは人生の戦略を考えることと、そう違いがなくなる。

全員が「経営者」、「オーナー」

先ほどの九天DAOの例でいえば、特定の経営者は存在せず、皆が持ち分を持っている(DAOだから当たり前だが)。

しかし、この九天DAOがうまく運営され続けるためには、トークンホルダが共通のビジョンの元に集まっていることは勿論、一人ひとりが正しく意思決定できる能力を備えていることが前提である。

個々人の立場からも、自身が参加するそれぞれのDAOで経営者として正しく意思決定できて、オーナーとして複数のDAOで適切に資産形成できることが求められる。

つまり、経営者としてのマネジメント能力や、資本家としてのファイナンス能力が求められるわけで、これらは労働力を提供する従業員としてのスキルとは一線を画している。

学校は必要なくなり、教育とは…?

ところで、会社に就職する代わりに、九天DAOのようなDAOに参加する場合、何か条件はあるのだろうか?

もちろんDAOによるだろうが、無条件に参加できるDAOも少なくないだろう。仮に、九天DAOもそうだったとしよう。

但し、入るのが簡単でも、簡単に稼げるとは限らない。もしあなたがマーケターのロールを選び、「リツイートごとにトークンをもらう」ことを考えた場合、デジタルマーケティングのスキルが必要かもしれない。

ここで、この報酬は結果に対して自動的に支払われるもので、スキルがあるから自動的に保証されるものとは違う。つまり、スキル(のようなもの)よりも、実際の結果が問われる。

もちろん、スカウトのロールももしかしたら存在して、その人達は優れたマーケターをDAOに誘うと報酬がもらえるようになっているかもしれないが、「優れたマーケターを誘ったかどうか」は、DAO参画後のその人の実績によって評価される仕組みになっているだろう。

ここでもスカウトが熱心に誘う相手は、それまでのリツイートの実績がある人に限られる。決して「スキルがある」と自称する人ではない。スキルよりも実績。

そうした世界線において、学校とは何なのか?教育とは何なのか?
今とは完全に次元が異なるものになるだろう。

「(授業料として)トークンを払えば、リツイートがうまくなる技術を教えます」というコミュニティがあったとして(恐らくそうした類のものができることは想像に難くない)、それに参加することが賢いことだろうか?

web3とキャリア

終わりに

「web3とキャリア」のパートについては、ついつい(ひとりで)盛り上がってしまい……実は全部を語りきれていないが、あまりに長くなってしまったので、次回にまわしたい。

ここまででも十分、web3時代の働き方の変化について、そのインパクトの大きさを伝えることができたのではないかと思う。

web3の登場により、何歳からでも「社会人」になれて、投資家にも経営者にもなれる社会が到来する。「キャリアの組み立て方」は大きく変わる。

経営したり投資したりする場合はもちろん、単に働くという場合にも、今後は個人の側が起点となる。これまでのように年齢や学校、会社が何かを「決めてくれる」ことは少ないだろう。

背景には国家の時代→企業の時代→個人の時代へと移る大きな時代の潮流がある。web3の登場は決して偶然ではない。個人の側も国家や企業から主権を委譲されるに足る器となる必要があるのだと思う。

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