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「思い出せない脳」(澤田誠)を読みつつ

 本書は久しぶりに本屋で買いました。「本屋で本を買う習慣を再開しよう」とふと思い立ち、本屋で本棚の間をうろつきまわりながら、気になった本を手に取りパラパラとめくり、読んでみようかな、と感じたら買う、という習慣を再開しました。その時は3冊の新書を購入。
 1冊は3分の1くらい流し読みして、ブックオフに持ち込む予定。次に手に取ったのが講談社現代新書の「思い出せない脳」(澤田誠)。1度通読し2回目の熟読に入りました。今回はそこで感じたことを徒然に綴っていこうと思います。書く目的は書く習慣を身につけるため、そして書くことで自分の思考をまとめるため。それがこの記事を読まれる方のお役に立つことがあればそれは幸いだな、と思いながら。
 

本書の帯から

 帯のコピーにある通し、「記憶とは、未来を決める人格」です。全くその通りで、「うまく言い表しているな」と思い、本書を手に取り、そして買ってしまいました。編集者の思う壺にはまりました。そしてそれが僕にとってプラスになりました。

 記憶と聞くと、教科書の内容や学校教育の授業の内容を覚えて試験に通るためのもの、と考える人が多いのではないでしょうか。一方でお休みの日に友達と街に繰り出してお昼時になりご飯でも食べようという話になり、「何を食べようか?」と相談するとき、私は「町の中華でラーメンが食べたい」と思い、友達が「マクドナルドがいいな」と直感的に思うとき(カーネマンが言う「速い思考(システム1)」)、その背景に過去の記憶があると考える人は少ないかもしれません。

 しかし、私の脳内に、「ラーメンが食べたい」という心が創り出された背景には、私個人の長期記憶のネットワーク(神経回路網)があり、友人の脳内に、「マクドナルドが食べたい」という心が創り出された背景には、友達の個人的な長期記憶のネットワークがあります。
 「いま」の心は、「過去の」記憶のネットワークによって創り出される、というわけです。著者いわく、「記憶力が未来を決めるのです」、「とっさの判断や無意識に下してしまう数々の決断は、脳内の記憶を元に行われます」。
 さらに、「自分の意思で決めていると思う人もいるかも知れませんが、意思が関与できる部分はほんのわずかです」、「ヒトが意識できる情報量は脳内で処理されている情報の100万分の1以下だという説もあるくらいです」。
 要するに、
引用
 記憶というものはただの情報の集積ではありません。脳は記憶を形成し、活用するために、情報の抽出、再編集、関連付けを常に行っています。脳の中の記憶はあなた専用にカスタマイズされた唯一無二の情報源なのです。
 もっといえば、私たちは、それぞれの脳の中に外界を解釈するための、記憶をもとに作られた自分だけの世界を持っているのです。
引用

 ということが脳科学・神経科学的に明らかにされたり示唆されている(哲学的な思考だけでなく)、ということがきわめての重要になります。自分の人生を創り出す上にも、近い人や他者がよりよい人生を創り出すためにも。
 いまの生き方、日々何をどのように経験し経験を通してどんな記憶をを創っていくのか、それを効果的・効率的に長期記憶化しているのかが、これから始まる一日を創っていく、そしてこのサイクルが人生を創っていく・・・。そういう知識こそ知るべき知識であり、早いうちに教えておくべき知識だと思います。ま、遅すぎることはありません・・・。

このシリーズ、続く予定です。
今回はここまで。

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