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株主総会【初めての人向け】

「株主総会の仕組みがわからない」
「スケジュールが知りたい」
「株主は必ず株主総会に出席しないといけないのか」
など、株式会社の株を持っていると疑問が出てくるのではないでしょうか。

特に株主になりたての人は総会に出席し、会社の方針・運営について意見を述べたり、賛否を決めることに強い抵抗感や不安を感じると思います。

ですが株主になったからと言って会社運営の責任がのしかかってくるわけではないため、心配しなくても大丈夫です。

実際複数いる株主の総論で方針・運営が決まるためむしろ個人の意見は反映されにくいと考えた方がいいでしょう。

本記事では株主総会の概要と流れを議事録前まで紹介します。

この記事を読めば株主総会に関する不安が無くなるでしょう。

株主になってまだ感覚がつかめていない人はぜひ参考にしてみてください。

株主総会の種類

株主総会は2種類存在します。

定時株主総会と臨時株主総会です。

定時株主総会はすべての株式会社に開催義務がある株主総会です。

臨時株主総会は会社の任意でいつでも開催できる株式総会で、全く開催されない場合もあります。

定時株主総会は1年間の決算と決議、臨時株主総会は事業ごとの決算と決議のケースが多いようです。

株主総会の開催は誰が決定する?


株主総会の開催は会社の取締役・社長が決定します。

株主総会を開催するには日時・場所、目的事項、投票の方法を決定しなければなりません。

以下に株主総会の開催に必要な物を紹介します。

日時・場所

日時・場所を決めます。

株主総会は事業の終了・決算から3ヶ月以内に開催しなくてはなりません。

決算が12月末の場合翌年の3月まで、決算が3月の場合同年の6月までに株主総会を開催します。

日本では3月に決算を出す会社が多いため6月に株主総会が開かれることが多いようです。

株主総会は定時と臨時がありますがどちらも事業終了・決算から3ヶ月以内に開催します。

目的事項

目的事項は株主総会の目的です。

定時株主総会と臨時株主総会で変わりはありません。

しかし、臨時株主総会では事業案や運営方針の決議など急を要する目的事項で開催されることもあります。

目的事項には2つあります。報告事項と決議事項です。

報告事項とは会社から株主へ報告する事項を指します。決算など前事業の報告が報告事項に当たります。

株主は報告事項をもとに事業の良し悪しを評価し継続・中止の判断材料にするのです。

決議事項とは株主総会で決めることです。

決議事項は取締役の選出・解任、剰余財政の処理、役員報酬の決定など会社にとって重要な要素をまとめています。

報告事項をもとに取締役の解任、役員報酬など決定します。

書面投票

書面投票は株主が1000人以上いる場合、必ず設ける投票方式です。

書面投票は株主が直接総会に出席しない投票方法で招集通知と同封されている書類を会社に返送し投票します。

書面投票が行われる場合は招集通知の他に、株主総会参考書類・議決件行使書類が同封されています。

電子投票

電子投票は書面投票と同じく株主が会場へ行かない投票方式です。

電子投票は専用ウェブサイトで決議・投票します。電子投票は株主が1000人以上いても行わない会社があります。

招集通知

招集通知とは株主総会を開くとき、会社が株主に送付するものです。

招集通知は株式の種類・投票方法で送る期間が変わります。

以下に違いを紹介します。

公開会社

公開会社とは株式に譲渡権がついていない会社のことです。

公開会社は株主総会の2週間前に株主へ招集通知を送付します。

非公開会社

非公開会社とは株式に譲渡権がついている会社のことです。

非公開会社は株主総会の1週間前に株主へ招集通知を送ります。

投票方法

書面投票・電子投票の場合、書類で通知しなければなりません。

ただし、投票方法は株主の承諾があるなら電子メールで招集通知を送付できます。

書面投票・電子投票しない株主総会の招集通知は電話でも可能です。

しかし、会社は記録に残るように連絡するため電話の招集はほとんどありません。

スケジュール

株主総会のスケジュールはどの会社でもほぼ同じです。

スケジュールは目的事項によって説明を簡略化したり省略する場合もあります。

しかし、決算報告の省略といったスケジュール自体の大きな変更は定時・臨時ともにありません。

議長就任

議長とは株主総会を進める人です。

子会社では多くのケースで社長が務め、規模が大きいと取締役が務めることもあります。

しかし、株主総会の決議で他の役員に任命することもできます。

開会宣言

開会宣言とは株主総会の始めにする宣言です。

開会宣言は議長か役員が務めます。

株主総会は事前に必要書類を配ったり、席につく時間があるため、開会宣言時間の20分前に会場に到着するようにしましょう。

進行に関する説明

議長からスケジュールの説明が始まります。

質疑応答を受け付けるタイミングなどの説明が議長から開会宣言直後に話されます。

総会によりますが大体どのくらいの時間がかかるのか目安を発表してくれるため、必要であればメモを取っておくといいでしょう。

出席株主・議決数の報告

議長から出席人数・有効になっている議決数が発表されます。

受付の集計が済んでからなので時間がかかるかもしれません。議決数とは持っている株の数のことです。

出席している株主が数人しかいなくても過半数以上の株を有していることもあるため、有効な人数・議決数はメモをとりましょう。

監査報告

監査役がまとめた監査の報告です。

監査役は取締役が株主総会に提出する会計・議案・法令で定めるその他の書類を調査し結果を報告します。

監査報告は会社が果たす責任ですので株主にはなじみがないかもしれません。

非公開会社には監査報告の義務があります。

しかし、公開会社の多くも任意で監査報告しています。株式会社の信用要素としてとらえてもいいでしょう。

事業報告・計算書類の説明

前事業・決算の説明です。

事業報告・計算書類の説明は書類をもとに事業成績とその要因を分析・解説していくため、空きスペースにメモを取ってください。

わからない・疑問に思った部分は質疑応答のときのためマークしておきます。

議案の説明

議案説明は今回株主総会を開催する目的事項に沿った議案の説明です。

議案の説明は目的事項を決議する必要性・見込まれる利益などがメインです。

株主総会では必要な議決が複数の場合もあるため、興味がない事項でも目を通しておきましょう。

質疑応答・審議方法の決定

質疑応答・審議方法の説明です。

審議方法は参加している株主の人数・議決数によって変わるため注意しましょう。

株主総会に出席している株主が少ない場合は質疑応答時間が長くとれますが、株主が多いと短い時間しか取れない可能性があるため時間には特に気をつけてください。

質疑応答

質疑応答時間では疑問に思ったこと、わからないことを質問します。

前事業とその決算報告に漏れがあったりより詳しく知りたい場合など、今展開している事業に関係があると思われる物は積極的に質問してください。事業投資の継続・中止の判断材料を増やす意味で大切です。

また、目的事項に関する質問もします。理由や根拠に不明な点があれば質問してください。

議案の採決

会議した議案の採決です。

議案の採決は質疑応答の後時間を取ってから始めるのが多いようです。

採決は質疑応答・審議方法の決定で説明された方式で採決し、目的事項の成否を決めます。

議案の採決は保有株数のほか採決方法によって大きく結果が決まるため、普通決議なのか特別決議なのか忘れないようにしてください。

審議終了・閉会

審議終了・閉会は株主総会の終了宣言です。

閉会時に決議の結果の公表時期や媒体などの説明もあるため気をつけましょう。

決議方法

決議は多数決の要素が強く、たった一人の意見だけが通るわけではありません。

決議方法は一般的には普通決議と特別決議・特殊決議があります。

以下に普通決議と特別決議を紹介します。特殊決議は成立条件が厳しいため省きます。

普通決議

普通決議は最もよく使われる決議です。

決議は議決権を持つ株主が過半数出席している状態が前提条件です。普通決議は出席した株主が持つ議決権の過半数が賛成になれば決定します。

たとえはaとbという株主がいて、aの持株数51、bの持株数49とします。

株主総会に出席した株主がaだけでもaが賛成した議案は可決され、bが株主総会に参加しても結果は可決になります。

しかし、株主総会にbだけが出席した場合は前提条件である過半数出席を満たしていないため無効になります。持株数も過半数になっていないため仮に採決しても否決です。

特別決議

特別決議は普通決議と同じく議決権を持つ株主が過半数出席している状態が前提条件です。

特別決議は出席株主の議決権3分の2以上の賛成で決定します。

たとえばaとbという株主がいて、aの持株数51、bの持株数49とします。

株主総会にaだけ出席しているならaが賛成した議案は可決されます。

しかし、bが株主総会に出席した場合否決になってしまいます。議決権3分の2以上の賛成が得られないからです。

特別決議はab両者の賛成が必要なのです。

まとめ

この記事では株主総会の概要と議事録作成の前までの流れを説明しました。

まずは、株主総会の種類を把握しましょう。

定時株主総会と臨時株主総会の内容はほとんど変わりませんが、時期が違います。

臨時株主総会は開催時期によっては出席が難しいかもしれません。その場合、定時だけでも出席するようにしましょう。

株主総会の仕組みを知ってください。目的事項と書面投票・電子投票の有無がわかれば十分です。

招集通知は書面でくることが多いですが、近年では電子メールを送る会社も増えてきています。招集通知は迷惑メールフォルダに分けられていないか注意してください。

スケジュールはどの会社でも差がありません。株主総会は前半説明・後半質疑応答・審議と考えましょう。

決議の種類は3つありますが覚えておくのは2つで十分です。

普通決議と特別決議を理解しておけば中小企業なら問題ないでしょう。特殊決議は慣れてからで十分です。

以上の内容を理解すれば株主総会は問題ありません。ぜひ役立ててください。


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