米国ホワイトハウス「競争と技術プラットフォームのアカウンタビリティを強化するための原則」

9月8日に米国ホワイトハウスの「競争と技術プラットフォームのアカウンタビリティを強化するための原則」が出ていました。

これからしばらくのアメリカのデジタル政策方針を見る上で参考になりそうなので、ホワイトハウスの発表原文からメモついで6原則の仮訳を載せておきます。


Principles for Enhancing Competition and Tech Platform Accountability

1.テクノロジー分野の競争を促進する。米国の情報技術部門は、長年にわたってイノベーションと成長のエンジンであり、米国はインターネット経済の発展において世界をリードしてきた。しかし今日、少数の支配的なインターネット・プラットフォームが、その力を利用して市場参入者を排除し、レント・シークに従事し、親密な個人情報を収集して自分たちに有利になるように利用している。私たちは、中小企業や起業家が公平な競争の場で競争できるよう、明確な道筋を示す必要がある。それにより、米国の消費者のためにイノベーションを促進し、世界のテクノロジーにおいて米国が引き続きリーダーシップを発揮できるようになる。我々は、反トラスト法を通じて技術プラットフォームの力に対処するための法案を可決することに、議会で超党派の関心があることを心強く思っている。

2.米国人のプライバシーに連邦政府の強固な保護を提供する。ターゲット広告の制限を含め、私たちの個人データを収集、使用、転送、維持する能力に明確な制限が必要である。これらの制限により、プラットフォームは、細かい字を読むことを負担にするのではなく、収集する情報の量を最小限に抑えるよう負担をかけるべきである。特に、位置情報や、生殖に関する情報を含む健康情報など、特にセンシティブなデータについては、強力な保護が必要である。プライバシーを保護するための法案を可決することに、議会で超党派の関心が持たれていることを心強く思う。

3.オンライン・プラットフォーム、製品、サービスに対するSafety by Designの基準と実践を優先することを含め、子どもたちのプライバシーとオンライン保護をさらに強化することによって、私たちの子どもを保護する。子どもたち、青年たち、そして十代の若者たちは、特に被害に遭いやすい。プラットフォームやその他の双方向デジタルサービス・プロバイダーは、過剰なデータ収集や若者へのターゲット広告を制限するなど、製品設計において利益や収益よりも若者の安全や福利を優先するよう求められるべきである。

4.大規模なハイテク・プラットフォームに対する特別な法的保護を撤廃する。ハイテク・プラットフォームは現在、通信品位法230条に基づく特別な法的保護を受け、違法で暴力的な行為や素材をホストしたり広めたりした場合でも、広く法的責任を免れるようになっている。大統領は以前から230条の抜本的な改革を要求している。

5.プラットフォームのアルゴリズムとコンテンツモデレーションの決定に関する透明性を高める。米国人の生活の中心的な役割を担っているにもかかわらず、ハイテク・プラットフォームは不透明であることで悪名高い。あるユーザーに対してどのコンテンツを表示するか、いつどのようにコンテンツをサイトから削除するかという彼らの決定は、アメリカ人の生活とアメリカ社会に多大な影響を与える。しかし、プラットフォームは、そのような意思決定の方法と理由、ユーザーへの潜在的な影響、そしてこれらの意思決定がもたらすかもしれない非常に現実的な危険性を、一般市民や研究者が理解できるような十分な透明性を提供できていないのが実情である。

6.差別的なアルゴリズムによる意思決定を阻止する。重要な機会を平等に共有できない、脆弱なコミュニティを危険な製品に差別的に晒す、あるいは執拗な監視を行うなど、アルゴリズムが保護されたグループに対して差別を行わないようにするための強力な保護が必要である。

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