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知らない人と知らない音楽について

村上春樹の本と一緒に鎌倉へ。

一度も会ったことのない祖父の墓参りは
私の一つの思いを発言する場になっていて
その意味で祖父はすごく近くにいる人である。

そんな実態を知らぬ人の墓参りの価値と、
聞いたことのないジャズの評論をする本と一緒に向かうことの価値は
なんだか似ていると思う。

鎌倉にある祖父の墓は、昔から私にとっての大きな意味があった。
何かを報告しに行く場所で、その報告というのは結構大きいことだったりするのだ。

今日は誕生日と、自分の夢についてを話に行く。

知らない聞いたこともないジャズ奏者について熱心に書かれた本を片手にバスに揺られると
なんだか心の底から落ち着きが生まれる。
ジャズなんて全く知らないから、なんの反論もなく、ただただその人の与えてきた影響について耳を傾け、適切な距離を図ってそこにいながら読み進められる。
だけど、熱心に好きな人が書いた本はきちんと適当な温度を持つ。

結局祖父も、そういう存在なのだ。
会ったことがないから、どんな返事をするかなんて想像もできないし、
余計な口出しをされたりせず、私から適切な距離でぽうっと存在する。

それくらいがちょうどいい。

だから、私は本が好きだし、祖父の墓参りも好きなのだ。
基準を作りに行けるのだ。自分の。

前の女の子達は華やかな浴衣でバスに揺られている。
今日が特別な1日になりますように。

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