【女性モノローグ】うまなみ

（夫に離婚話をしている）

ごめん。本当にごめん。
全部私が悪いの。ゆうちゃんは全く悪くないから。だから本当にごめん。
ゆうちゃんに直すところなんてないよ。
だって、ゆうちゃん、すごく良くやってくれてるじゃん。私、目玉焼きすらまともに作れないから冷凍食品ばっかりだし、掃除も雑だからゴミ溜めちゃうし、アイロン掛けも上手くできないからワイシャツくしゃくしゃだし、なのに、ゆうちゃんそれでもいいよって言ってくれるし、私、ゆうちゃんと結婚できて本当に良かったって思ってるもん。

だからこれは全部私の問題なの。ごめん。本当にごめん。
ゆうちゃんが頑張るとか頑張らないとかそういう問題じゃないんだ。無理なの。ゆうちゃんにはどうすることもできないの。もうどうにもならないの。
だから、別れてほしい。離婚してください。

え？なんで？嫌いじゃないよ。私、ゆうちゃんのこと大好きだよ。本当に大好きだよ。
でもさ、でも･･･だって、ゆうちゃん子供好きなんでしょう。子供欲しいんでしょう！
だからごめん。無理。私じゃ子供作れないから。だから本当にごめん。

子供、嫌いじゃないよ。私も子供欲しいって思うよ。でも無理なの。
･･･だって出来ないじゃない。 入らないじゃない。アレが！あんなの大きすぎだよ！
だから、その、チンチンが！ゆうちゃんのチンチンが大きすぎるの！あんなの入らないの！
無理無理無理、絶対に慣れないから！そういうサイズじゃないから。あんなの慣れるわけないから。アレ、もう人のサイズじゃないから。馬だよ、馬。あんなの大きすぎるから。
私、今まであんな大きいのみたことないから。え？何？･･･誰と比べてって、そういう話してないでしょ！･･･だから、それは、その、お父さんのと比べたの。

あー、もういいや。もう隠し事はなしにするね。
えっと、いくつか見たことあります。知ってました。私は処女じゃないです。
え？嘘ついてないよ。初めてだって勝手に勘違いしたのはゆうちゃんでしょう。私は自分が処女ですって言った覚えなんてないから。
なんで落ち込むの？それで落ち込むのおかしくない？

待って待って待って！それはない。それで別れるってのはない。
それって私が処女じゃないから別れるってことだよね？ちょっとそれって酷くない？
いやもちろん別れようって言ったのは私なんだけれど、処女じゃないって聞いたとたん離婚に同意するってそういうことだよね。それって酷くない？

「そういうわけじゃない」もなにもそういう風にしか思えないんですけど。
「色々ショックで動転してる」って私もそうなんですけど。
え？知ってるよ。ゆうちゃん童貞だったんでしょ。そんなの普通にわかるから。
なんで落ち込むわけ？いや、別にテクニックとかそういう問題じゃなから。･･･本当にこだわるなぁ。なんで男ってそういうのこだわるのかな。テクニックがあろうがなかろうが、あのサイズは普通の女の人じゃ受け入れられないでしょ。それにテクニックより愛だから愛。私、恥ずかしいこと言ってるなぁ。でも、うん、愛。まぁ、愛があってもあのサイズは無理だったんだけれどさ･･･愛はあったよ。私、ゆうちゃんのこと愛してたもん。
でもさ、ゆうちゃん子供出来なくても平気？

･･･そっか、じゃあ、SEXなしでも大丈夫？

･･･あー、もうどうして悩んじゃうかなぁ。なんでそこで大丈夫って即答できないかなぁ･･･
ゆうちゃん、やっぱり別れよう。このままだと私、ゆうちゃんのこと嫌いになっちゃいそうだもん。嫌いになる前に私、ゆうちゃんと別れたいんだ。わがままでごめん。
でもでも、ゆうちゃんには私なんかよりもっともっと相応しい人がいるから。ゆうちゃんを受け入れることができる器の大きい人がいるから。
私にはさ、リアルに受け入れるの無理だったんだ。
･･･あ、そうだね、うん。二つの意味で。（笑う）