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授業ではない学校の生活 〜高校3年生の7月のこと〜

高校三年生の時、そう、ちょうど7月に入った今頃
「海が見たいなあ」
と高校の教室で思った。そして、呟いた。
クラスにいたKくんもそう思ったようだった。

「行く?」
と聞いたら
「行こうか?」
となって、担任の関野先生に
「すみません。このいい天気で海が見たくなりました。午後は早退して湘南まで海を見に行ってきます」
と話したところ
「それはいい。海が見たくなる天気だよね」
と気持ちよく送り出してくれた。

今では考えられないかもしれないが、あの頃の私の母校はそんなことが許される母校で、担任の関野先生は正直に伝えればそれを尊重してくださる先生だった。

授業をさぼりたいと言うのではなく、海が見たくなったのだ。

阿佐ヶ谷から中央線に乗り、新宿へ。新宿から小田急線に乗り換えて江ノ島まで。携帯電話もコンビニもない時代。電車の中では何を話したかも覚えていない。多分、カバンに入っていた何かの文庫本を読んで江ノ島まで行ったのだと思う。

ただ、

(ああ、高校生っていいよな)

と思っていた。少年期からは完全に抜け出し、青年期の前半を生きている日々だった。

江ノ島は実に晴れていた。

何もせず、ただ、なんとなく、将来はどうしよう、どうなるんだろうかと思いながら湘南の海で沖を見つめていたなあ。自動販売機で飲み物を買って、それを飲みながら見ていた。

今日、そんなことを、ふと、思い出した。

高校時代、大学時代。
授業ではない、青春の一部としての学校生活ってとても大事だと思うのだ。

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