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プロセスからオープンにして、真似されることを成功とする。【株式会社beの「be(あり方)」をめぐる夫婦の対話 その4】

プロセスからオープンにして、真似されることを成功とする。

ビジネスを育んでいくうえで、あり方探究会社「株式会社be」が大切にしたいbe(あり方)のひとつです。でもこれって、これまでのビジネスの常識とはちょっと違うのかも…??

会社設立にあたり、私たちが大切にしたい5つのbe(あり方)とdo(行動)を定め、その一つひとつについての想いを夫婦の対話形式でお届けしている本シリーズ、今回は4つ目のbe「プロセスからオープンにして、真似されることを成功とする。」についてお届けします。

マーケティングは、「戦争」をメタファーに進化してきた。

プロセスからオープンにして、真似されることを成功とする。

一彦:これはね、美砂子が前に「ソーシャルデザインの世界には競合がいない」って言っていて、確かに全然違う力学で動いているんだろうな、って思ったんだよ。

美砂子:自分たちの利益じゃなくて社会課題解決が目的の団体において同業者は、市場を取り合う競合じゃなくて、同じ課題をともに解決していく仲間なんだよね。

一彦:うん、だからマーケティングの概念と全然違う。マーケティングは戦争をメタファーにして進化してきた。だから「競争優位」っていうのが根底にあるんだよね。「ターゲット」とか「戦略」とか「戦術」とかさ、用語からして戦争でしょ?

美砂子:市場を奪い合う戦争に勝つための戦術だ。

一彦:そう、それは儲けようとしているからね。だから真似されちゃだめなんだよ。できる限り自分たちが独占して競争優位を築くことが大事。でも本来は、世界が良くなるためなら、もっとうまいことやれる人がやってくれるほうがいいじゃん?

美砂子:うんうん、本来はね。株式会社も、もともとは社会や世界を良くすることが目的で始まったはずなのに、いまは市場の奪い合いになってしまっている部分も大きいよね。そこを、私たちは本来のあり方で問いを投げかけていけたらいいな、と思う。とても難しいことだとは思うけど。

商標はどう考える?「真似される」ことのリスク

美砂子:でもたとえば、アイデア段階からオープンにしていて、誰かに盗まれて、私たちよりうまい方法でやって成功していくのを本当に心から喜べるのか?って言われたら……??本音でどう?

一彦:そうなったら、「じゃあ一緒にやりましょうか」って。

美砂子:うん、言える私たちでありたい。でも、できるかな…。

一彦:そのときは、僕たちの学びをシェアするスタンスでいいんじゃない?

美砂子:学びをシェアするし、私たちも、いいところは真似させてもらう。

一彦:そうなってくると、商標取るかどうか、という問題はあるよね。

美砂子:商標ね。そんな時代でも無いような気がするんだけど。

一彦:いい感じに真似してもらうならいいとしてさ、たとえばもう企画書を公開した「うたえほん」っていうサービス名を掲げた悪徳業者が出てきたら……?(笑)

美砂子:そっかー、それは考えていなかったな。同じ名前で人に嫌な思いをさせることになったときに、「ごめんなさい」という気持ちになるよね。

一彦:そうすると商標とったほうがいいよね。

美砂子:くまモンはどうしてるのかな?

一彦:くまモンはもう熊本のキャラクターとして有名だからね、悪いことには使えないんじゃないかな。

美砂子:知名度っていう強さがあるのかぁ。でも最初からオープンにしていることを知っている人が味方になってくれるかもね。ビジネスではないけど「ハイタッチ隊」をやっていたときはね、全国から問い合わせが来たのよ。「私もやっていいですか?」って。「どうぞどうぞー!」ってお返事していたんだけど。

美砂子:ハイタッチ隊は何もトラブルが起こらなかったけど、同名の活動でなにか人に迷惑がかかるようなことが起こったときは「私たちとは関係ありません」って言っていたんだろうなー。そういうときどうするか、ということについてはもう少し話し合いしておいたほうがいいのかな。これまでの発信はお金が絡まないプロジェクトだったけど、これからはビジネスをつくるプロセスもオープンにしていくわけだしね。

一彦:まあ、それはそのときでいいんだよ。真似されるくらいになってるって、それは成功なんだからさ。

美砂子:そっか、ついつい頭がリスクヘッジに……(笑)。リスク考えすぎると行動できなくなるから、まずはやってみること……だね。

経験値と学びを共有する。「真似される」ことの喜びと価値

美砂子:でも考えてみたら、私はこれまで、「おもしろいから真似してね!」って気持ちでnoteとかFacebookで発信してきたところがあったなぁ。

家族プロジェクトとしてやっていた「うみべのとしょかん」はね、noteのコメント欄に「私も玄関に小さな本棚つくりました!」って声があって。それは本当にうれしかった。

美砂子:実は「育休キャラバン」も、友人を中心に「やりたい!」の声があって、何人かから相談もらったんだ。育休っていうシチュエーションが特殊だったから、まんまコピーできる家族は少なかったんだけど、キャンピングカーの家族旅とか、「もっと家族で冒険しよう」って言葉に共感してくれて「こんなチャレンジしたよ!」って声を聞いてね。うれしかった。

美砂子:でも一方で、実際に真似する、真似できる人って、実はすごく少ないっていうこともこれまでの経験でわかってきたよ。“世界一ハードルの低い家開き”って掲げた「うみべのとしょかん」も、noteは3,000PV超えるくらい読んでもらえたんだけど、実際「やりました」の声はひとつだけだった。

一彦:真似しても、すぐに理想的なかたちにならないだろうしね。事業をつくるっていう段階になると、もっと大変だしね。

美砂子:そうだね、真似するくらいのパワーのある人なら、仲間になりたい。3つめのbe「おもしろがって実験する。まじめに考察する。」の対話で「成功は再現性がない」って話してたけど、真似しても成功する人、失敗する人が出てくるんだろうな。そんな経験値もお互いに共有して学びに変えていけそうだよね。

一彦:うんうん、そうやって一緒に面白がる仲間を増やしていけたらいいかもね。

(対談終わり)

いかがでしたでしょうか?「真似される」ということに対するリスクとメリットを考えてみると、やはりメリットのほうが断然多いことが見えてきました。リスクを恐れるよりも、小さくやってみて、共感してくれる仲間を増やしていく。「関係資本」を大事に考える私たちらしいあり方なのだと改めて感じました。

次回は5つめのbe

不完全さを受け入れ、積極的に助けられる。

についてお話します。
不完全な私たちの想い、耳を傾けていただけるとうれしいです。


貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。