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おもしろがって実験する。まじめに考察する。【株式会社beの「be(あり方)」をめぐる夫婦の対話 その3】

広告プランナーとライターが夫婦で立ち上げた株式会社be。その第一歩は、会社の“あり方”を定めることでした。

大切にしたい5つのあり方(be)のうち、今日は3つ目、

おもしろがって実験する。まじめに考察する。

に関する夫婦の対話をお届けします。よろしければ【その1】【その2】とあわせてお楽しみくださいね。

「実験」は「PDCAサイクル」よりも圧倒的に面白い

一彦:“おもしろがって実験する。まじめに考察する”。これはEテレの『考えるカラス』から着想したbeだね。こなつ(娘)と一緒に見たよね。

美砂子:うんうん、私も好きな番組。



一彦:そのキャッチフレーズが「観察し、仮説を立て、実験し、考察する」だった。科学の考え方だけど、仕事もそうだな、と。

美砂子:科学の考え方を仕事に。ようやく私たちの理系色が出てきたかな(笑)。

一彦:そうかもね。実験って面白そうだけど、これが「PDCAサイクル」って言っちゃうと、つまんない。

美砂子:うん、つまんない(笑)。なんでだろうね?

一彦:PDCAサイクルって、効率化の話だから仮説が面白くないのよ。効率化って100%を101%にする話で、たしかに101%が102%になっていったほうが成長するんだけど、それよりも「10が100になるかもしれない」とか、「10が0かもしれない」といった仮説のほうが圧倒的に面白い

美砂子:そういった仮説があるから「実験」が面白くなる。「実験」って言葉自体もワクワクするよね、「挑戦」と「冒険」でどちらかというと「冒険」にワクワクするのに近い感覚。「検証」とか言っちゃうと面白くないんだけど……。なんでかな?

一彦:未知だからじゃない?誰もやっていないことだから「実験」って呼ぶんだよね。

美砂子:そうだね、「冒険」も未知であてがないから面白い。その「未知」なるものを面白がろうっていうマインドがこのフレーズに含まれているのかな。

小さく始めれば、失敗も怖くない。

美砂子:あとは「小さく始めよう」ってことかな。

一彦:そうだね。実験といえば、小さく始めていいし、失敗が怖くなくなる

美砂子:失敗が当たり前だもんね。でも、小さく始めることの価値ってなんだろう?

一彦:まあ、「やってみればいいじゃん」ってことかな(笑)。

美砂子:なにか始めようとするとつい二の足を踏むけど、実はやってみることのリスクってそれほどでもないのかもしれないね。いま、ツールとかデジタル環境も整ってきていて、ECとかビジネスも小さな一歩が踏み出しやすくなってるし。私たちがホームページを手づくりできちゃうくらい(※)だしね。

(※)株式会社beのホームページは、ノーコードでウェブサイトがつくれる「STUDIO」を利用し、自分たちで手づくりしました。

成功に再現性は無いけど、失敗に再現性はある。

美砂子:じゃあ「まじめに考察する」の方は?

一彦:やりっぱなしじゃない、ってこと。

美砂子:今までの広告の仕事もそうやってきたんだよね。でもそれは、いわゆる「振り返り」とは違うのかな?

一彦:なんかね、次にいかせるヒントを見つけるってことなんだよね。「レビュー」とか「振り返り」が「目標に対してどのくらい達成したか」っていうことだとすると、正直そんなことには興味が無くて(笑)。仮説を持って実験したわけじゃん。その仮説の「どこが当たっていたのか」、「どこが当たっていなかったのか」、「なぜ失敗したのか」とか、そういう考察は面白いよね。

美砂子:確かに。失敗もちゃんと次にいかすということだね。実験は誰にでもできるけど、ちゃんと考察することで失敗を学びに変えて新しいアイデアみたいな価値に変えていくっていうのは意志を持ってやらないとできないことなのかもしれない。

一彦:実験を通して、少なくとも「なにをやったら失敗するのか」はわかるよね。僕も電通時代に、新事業に関する“失敗の地図”を描いてナレッジとして社内共有したんだけど。

美砂子:失敗の地図?

一彦:複数の新事業についていっぱい失敗したから(苦笑)、「なにをやったら失敗するか?」という視点で全部振り返った。新事業って、「こうやったら成功する」っていうセオリーはたぶん無いと思うんだけど、「こうやったら失敗する」っていうのはある。それを共有することが重要だな、って。言い換えると、成功は再現性がないけど、失敗は再現性があるんだよね。

美砂子:たしかに!じゃあ失敗をまじめに考察することのほうがよっぽど価値があるということかな?

一彦:うーん、成功の考察も価値はあると思うよ。「成功したポイントはここなんじゃないか」ってね。でも同じことやっても成功するとは限らない。再現性の有無の話だね。

美砂子:うんうん。成功体験を語るよりも、再現性のある“失敗の地図”を共有することのほうが高い価値があるんだね。

失敗する背中を見せるということ。

美砂子:あと私個人的には、失敗する大人の背中を子どもに見せていきたいっていう思いがある。いまの教育や習い事は、すべて失敗しないようにお膳立てされているところがあって。親も「成功体験をさせたい」っていう思いが強くて、子どもの暮らしや学びのなかに失敗体験をする機会が少なくなっているんだよね。

でも実際は、大人も失敗するし、失敗こそ人の成長につながる、って私は思う。これは私たちにとって5つ目のbe「不完全さを受け入れ、積極的に助けられる。」にもつながる話だけど。だから、beの事業の失敗のプロセスも、できればnoteで書いていきたいな。

一彦:そうだね、それができるといいね。“失敗の地図”を書いたときも「よくこんなの書けましたね」って言われたよ。

美砂子:へー、読んだ社員の人に?

一彦:うん。普通は失敗談なんて表に出さないから。「書いてくれてありがとう」ってお礼の意味でね。

美砂子:うんうん、必要とされる情報でもあるんだよね。だからこそ私たちはnoteで、失敗したという事実に加えて、なぜ失敗したのか考察したこともオープンに書いていきたい。それは5番目のdo「実験結果を発信し、社会に小さな種を撒く。」につながるね。勇気の要ることだろうけど……ん?勇気は要らないのかな?

一彦:まあ、やってみようよ。なんでも実験だからね。

(対談おわり)

3つ目のbe「おもしろがって実験する。まじめに考察する。」にまつわる対談、いかがでしたでしょうか?この対談発信も、ある意味私たちの頭のなかをオープンにしていく「実験」でもあります。ぜひ感想等、お寄せいただけると嬉しいです!

次回は4つ目のbe

プロセスからオープンにして、真似されることを成功とする。

について話します。これまでマーケティングをやってきた夫にとって、プロセスからオープンにするなんて、なかなかのチャンレジでして…。次回も、なかなか濃ゆい内容になりそうです。どうぞお楽しみに!


貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。