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Humankind 希望の歴史を読んで思うこと

Humankind 希望の歴史
ルドガー・ブレグマン(著)

「人間の本質は、善である」と言うコピーに惹かれて購入しました。性悪説と考えるしかないような事件があるので、このフレーズは印象的でした。上下巻があるので、結構時間が空いている時を狙って読みました。

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本の説明

人類史、心理学、思想史、経済史の視点から「人間の本質は、善である」と説明している本です。最後に指針すべきことを10のルールとしてまとめてあります。聞いたことがある心理学の理論や実験が他の証言や検証から否定され、人は悪であるという人間に対する暗い見方を変える内容が書かれています。「FACTFULLNESS」のように今までの認識を更新してくれる本だと思います。

著者の伝えたいことをざっくり要約

本書では、人間性についての肯定的な見方が正しいことを裏付ける、数々の科学的証拠を提供しよう。その根拠から肯定的な見方を信じるようになれば、それはいっそう真実になるはずだ。だから現実主義になろう、勇気を持とう。自分の本性に忠実になり、他者を信頼しよう。白日のもとで良いことをし、自らの寛大さを恥じないようにしよう。新しい現実主義を始めよう。今こそ、人類について新しい見方をする時だ。

読んでのまとめスケッチ

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思い出したこと、考えたこと

本書を読んでいる際に、だいぶ昔に伊坂幸太郎さんの最後の日の小説を思い出しました。その小説では、隕石で地球がなくなる日がわかるという設定だったと思います。それが分かった当初は人々は揉めていたが、ある程度時間が経つと落ち着きを取り戻し、インフラが復活し、電車も動き生活できていました。フィクションの中で起こりうる一つの可能性として書かれていると思っていましたが、ノンフィクションで起こりうる最大の可能性を書いている本だったのかもと思いました。
「終末のフール」という本でしたので、この本も(というより伊坂幸太郎さんの本全て)面白いのでオススメです。

本書に戻り、読んでよかったと思った点をまとめてみます。
1.思い込みや今までの認識を変えてくれる点
2.人の本質は、善であるという今まで違う見方ができるようになる点
3.その上でこれからすべきことが記載されている点

1と2から、「正義を振りかざす「極端な人」の正体」であった、極端な人も自分の正義(善意)で動いていることへの理解が深くなり、「嫌われる勇気」の共同体感覚も、人の本質が善であるという立場になるとイメージがつきやすくなりました。認識や見方を変えるだけで、今まで考えていたことがアップデートされる感覚がありました。
啓蒙主義のせいなのか、私ももちろん利己的で、利他的に動くときは利己主義がベースにあり、論理的に考えてメリットがあるので、利他主義になっていると考えていました。3のすべきことに書かれていたことから、私も相手も皆、利他主義スタートがあるという可能性を考えて動いくことで、スムーズにいくこともあるんじゃないかと気がつきました。

上に書いた1から3の点は全て、一つ一つの疑問を調べて解決し、また新たな疑問が生まれてはを繰り返し、自ら調べて結論づけていく筆者の姿勢から生まれていました。
そのため本書の書き方は、「今までAと思っていて、その証拠もあるとされていた。その時までは」とか、「Aを受け入れることが正解だと思っていたが、別の実例から実はBだと知ることになる」みたいなアニメ的な展開が割と多くあります。
どれだけ、追い詰められても傷ついても、信念を負けず、悪に染まらず、鬼の誘惑を全て断ち、自分の責務を全うすると誓った煉獄さんを思い出させます。

3のこれからすべきことは「ウィン・ウィンのシナリオで考えよう」「共感を抑え、思いやりの心を育てよう」など参考になることが多く書かれています。ただ、今すぐ全てを行ったとしてもすぐに世界が変わることはないと思います。人類史からも説明されていますが、進化には多くの受難、苦闘、時間が必要になります。認識を変えることもその割合を増やすことにもやっぱり時間が必要なんだと思います。

最後は、真面目に今後の仕事で気をつけるために本書に記載あった文章を抜粋して記しておきます。
「物事を簡単にするのは難しい。マネジャーが複雑さを好む」
「請求書がシンプルなほど、ケアに重点が置かれる」
「割れた窓、奪われた生命」
「自分が信じたいと思うものに惹かれてはならない」
「BMWの運転が最悪だ」
「金銭的インセンティブはモチベーションを下げる」
「相手にわかる言葉で話しかければ、相手の頭に届く。相手の言葉で話しかければ、相手の心に届く」

(今回のスケッチのイメージは本書の内容と一切関係ありません。ヒュドラの例えから思いついて勝手に書いたものです。)


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