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限りある時間の使い方読んで思うこと

限りある時間の使い方
オリバー・バークマン(著)

2024年から建設業と運送業と労働基準法が改正されます。5年間の猶予期間が終わり、他の業種と同様に時間外労働の上限が適応されます。ということはもう聞きすぎたくらい聞いているのですが、45時間が本当に達成できる方に向かっているようにはなかなか思えないのが現実です。

携帯からスマホに代わり、iPadを持ってOffice365を使い、テレワークまでできるようになりましたが、体感的な忙しさは変わっていないように思います。「生産性」も勉強しましたが、それ以外に良い時間の使い方がないものかと思い、かなり売れているこの本を読んでみることにしました。

付箋貼り過ぎてほぼ全ページ見返しました

どんな本か

人生は「4000時間」であり、その限られた時間をどう有効に使うかが書かれている本です。ですが、時間管理の上手な方法や、効率を上げて生産性を上げるなどの話は書かれておらず、「生産性は罠なのだ。」と書かれている本です。現実を見つめ、幻想を手放し、今ある時間をありままに受け入れて「自分は今ここにいる」という事実に気づくために書かれている本でした。

今の環境に慣れすぎているので、言葉とおりに感じられるようになるには、考え方をかなり変えることや本書で言われる「忍耐」「我慢」が必要だと思います。

何度か読み直しても腹落ちしないところがあったりで、消化に時間がかかる本でした。

筆者の思いのまとめと改めて文章化する今

本書は、時間をできるだけ有効に使うための本だ。ただし、いわゆるタイムマネジメントの本ではない。世の中にあふれるタイムマネジメント本のほとんどは、人生がものすごく短いという事実さえも認めようとしない。タイムマネジメントさえすれば何でもこなせるという幻想を振りまいているだけだ。僕は、世の中のそんな風潮に物申したいと思う。狂ってしまったバランスを取り戻したい。そして、時間をもっと現実的に見つめてみたい。ものすごく短くて、きらきらと光る可能性に満ちた、4000週間という僕たちの時間を。

時間がぽっかりと宙に浮いた今こそ、時間との関係を再考する絶好の機会かもしれない。生産性とは、罠なのだ。効率を上げれば上げるほど、ますます忙しくなる。タスクを素早く片付ければ片付けるほど、ますます多くのタスクが積み上がる。完璧に効率化された自分が、ついに人生で本当にやるべきことをやり始めるーー。そろそろ認めよう。そんな日は、いつまで待ってもやってこない。でも悲しまないでほしい。それは実際、とてもいい知らせなのだから。

読んでのまとめスケッチ

スケッチはほぼなく文字だらけになってしまいました。。

読んでの感想と対応

最近読んだ本はポスト資本主義(資本主義の次の考え方、社会の仕組みとかのことだと思います)の本が多いです。『DIE WITH ZERO』はお金集めたいという欲求や資本から思い出に価値基準を変えていくことが書かれていましたが、今回の本は生産性を否定しています。

ちなみに資本主義が生まれる前と後では、生産性に投資するという概念があるかないかの違いがあるそうです。私有財産、競争原理、市場経済、が働くことで生産性にお金を投下しようと考えるようになるからだそうです。生産性をあげようとすることが当たり前すぎて資本主義前が想像しづらいです。

「何もかもはできない」時に何をするか選ぶことも大切ですが、何をどこまでするかが悩ましいなと思いました。頭を使ってよりよく効率的に行えるよう努力することで、自分の能力が高まって今後もできることが増えていくと考えられるからです。2倍やることがあれば、2倍効率よく働いて、2÷2=1で同じ時間で作業しようと思ってます。

結構追い詰められることで効率が上がることが私は多いので、そのぎりぎりを踏ん張らないようにすると、土俵際のギリギリまで追い詰められてから、うっちゃりで勝つみたいな逆転の展開が難しくなるなと思いました。ただ、ギリギリまで追い詰められてそのまま倒されて怪我で休場になることは無くなりそうだなとも思います。不意な相撲の例えでしたが、仕事に限らず、その見極めはどのようにすれば良いのかが難しいところです。

そう考えると「全力」が出せていない感じの日が続いてしまうし、どのようなバランスで動くべきか難しいです。実際にどう行動するかは最終章の「有限性を受け入れるための10のツール」を参考にするとして、行動に移す前の考える流れをまとめてみました。

・時間は有限であること
・だから、全てを行うのは無理であるということ
・そのため、どこに進みたいかを決めて残りを捨てること
・それでも、忙しさは無くならないこと
・なので、抵抗をやめて目の前の感覚に注意を向けること
・そして、それに伴う不快感、思い通りにならない事実を受け入れること
・努力をしない、苦しみを諦めて受け入れるという意味ではなく、未来をコントロールしたいという執着を手放すこと

何を捨てるか考える時に、できることとできないことの能力的な軸ではなく、時間的な制約によるもので考えて、何でもかんでも終わらせようとするのではなく、その中で時間がかかるものはかかると理解しながら、能力を上げて対応してくことを同時に考えていく、のが良いかと思っています。地道な積み重ねを日々焦らずに「忍耐」を持って今できること、今したいことを続けていくことがよさそうです。

この前読んだ
絶滅へようこそ』のように1人の人間が行うことが宇宙的に見ると何にも影響を与えていないのと同様だからと気楽に考えること
歴史思考』のように行為ではなく存在が大切と考えることで生きているだけで意味あると思うこと
嫌われる勇気』のように今この瞬間をくるくるとダンスするように生きること

でふとしたときにこんなところまで来ていたのかと気づくこと、ができるかもしれません。

目標や計画、それを達成するために生産性を上げることで、不確実な未来を持つのではなく、思い通りにはならない辛い現実を受け入れて、今この瞬間を意識することで本当に大事なことを今することが大切だとわかりました。

なので、上に書いた成長とか能力を上げるとかを意識している時点でまだまだわかっていないじゃないかとまとめながら気づいてしまいました。


昔上司に「明日の仕事は明日やる。お疲れ。」と言って帰って行ったのをみて、今日やっておかないと明日また別の仕事が来て出来なくなるじゃんと思ってましたが、あれは不確かな未来を思うのではなく、「一日の仕事は一日でその時に集中してやる」ということを伝えたかったのかもしれません。

(あれは早く帰りたかったからの発言だったと今でも7割くらい思ってます。)

ぐさっときた印象的な一文を紹介します。

生産性の向上も技術革新による効率化もワークライフバランスには寄与しない。

電話から携帯になってさらにスマホに代わり、会議もオンラインで行える時代になっても私が入社してから体感している忙しさは変わっておらず、確かにワークライフバランスにそんなに寄与してないなぁと改めて思ってしまいました。できることが増えるとできることの全てが増えてしまうため、全てをこなそうとする限り忙しさが改善したり、働く時間が減ることはないと自分の経験から理解できました。
不快感を持ってでも捨てることの大切さを改めて感じました。


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