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絶滅へようこそを読んで思うこと

絶滅へようこそ
稲垣諭(著)

結構前に寄った本屋さんで見つけて購入していました。「そろそろ滅びるそこのあなたへ」と帯に書かれている成田さんのフレーズに惹かれて買いました。多分疲れていて「終わり」?に近かったのかもしれません。本を読んでメタ認知で視野が拡張したからか、状況に慣れてきただけなのかわかりませんが、読めるようになってきました。そんな「終わり」からはじめる読書感想です。

帯に書かれた紹介文が印象的でした。

どのような本か

人間は絶滅する」を前提として考える本です。最終的には太陽が膨張し地球が飲み込まれてしまうので、地球ごと何億年とか経つと無くなってしまうので、避けられないこととして絶滅は存在します。それを意識することで、今からそこに至るまでの傾向とそこに至るための考え方やそれを前提とした思考法が書かれています。多くの参考文献と引用があり、読むのに結構体力を使いました。

人類は絶滅するよ、それはこういう理由だよ、今こういう傾向があるよ、だからこうなっていくよ、そこにはこういう考え方があるよ、だからこういうふうに考えられるよ、みたいに書かれていたと思います。

筆者の思い

「自然・宇宙」は徹頭徹尾、僕たちの生活や生き方とは無関係で、無慈悲です。どんな恨みの、祈りも絶対に届かないし、響くことはありません。星空を見上げて宇宙の広さに飲み込まれそうになったり自分の存在の小ささ儚さに気づくことがあります。その畏怖でもある経験を人間の生き方にどのように活用できるのかをずっと考えてきました。その経験は時間的には100年後のさらにはるか先で、空間的には世界も超えて天の川銀河へ伸ばしていった地点での視点です。その「畏怖」という経験から日常の心配事が和らぎ、謙虚さが増大し、他者に対する貢献を促進することがわかっています。

僕は本書では、すでに終わっているという場所から、それに抗うのでもなく、力むのでもなく、むしろ終局に向かって生命の力を抜いて、生き絶えていくための思考を準備をしていくには何が必要かを考えてみたいと思っています。複雑な地上的身体と共に生きながら、しかもそれを機械とともにです。それを通して僕たち人間の現在地と、その固有な存在見つめ直したいと思っています。

読んでのまとめスケッチ

宇宙的な視点を上に、そこから思ったイメージを下に書いてみました。

絶滅へ思いを馳せて思うこと

内容が難しかったこともあるので、内容をまとめることより、絶滅を前提とした視点にちょっと立てたときに、思考が本からふらっと離れて、ふわっと思ったことを書こうと思います。

普通に暮らしている中で、どうしても他の人と比較してしまうことがあります。例えば仕事での評価も、相対的に自らを他の人と比べて評価することが求められます。右ができる左ができないとした直線上に他の人と自分を並べたり、並べ替えたりであっちこっちと考えされてしまう時があります。一つの線だと良い悪いなど二項対立になってしまい、悩んだり苦しくなったり、めんどくさくなったりするんじゃないかと思います。

そんな中(X軸しかない)で他の要素(直行するY軸)を入れることで空間が広がり、視点が上がり、平面で見れるようになると思います。そうすると4象限でのグルーピングになり、比較から分類になって相対から変わるので、少し楽になるのかなと考えました。

そこからさらに、他の要素(Z軸)を入れることでその位置が差別化されて、個別の位置になってOnlyOneになって比較から離れ、単独で自由になれると考えました。でも、それはそれでこの位置でいいのかと不安になったりします。自分に漠然とした不安を感じたりすることは結構あるのかなと思います。それは、3次元的に個別の位置になると視点が俯瞰的な位置から自分の目に戻ってしまうことから起きてしまうのかもと思いました。

そういうときに本書に書かれたように、時間的・空間的な絶滅後の視点から見るようにすると、歴史や未来を今と重ねて見ないといけないので、視点を上げざるを得なくなります。地球を24時間で見たら人類の誕生は残り何秒間になるみたいなマクロな見方のイメージです。今の悩みが小さく見えるくらい遠くから見るので、日常的な心配事や謙虚さ、他者への貢献が増すんじゃないかなと思います

そんな視点から見てみると人の流れも原始時代から中世、近代、現代、未来に向けて見ていくと段々と人の考え方や傾向がその時の社会によってずれていくように思います。弥生・平安・鎌倉・戦国・江戸・明治と今とではやっぱりその時の社会によって価値観が違います。そんなふうに社会(原点、0点)の位置がずれてくるため、結果的に人の分布がズレて、原点の移動の軌跡によって、人の分布が少し太い線みたいに見えるんじゃないかなと思えます。

(徐々に伝えられている自信がなくなってきましたが、そのまま書きます。)

狭いミクロの視点だと相対的な比較の線上にいるのですが、広いマクロの視点でも結局は奥行きがあるけれど線上なることが面白く感じました。鉛筆で書くような点が隣り合って作る線と細かな点が集まって一つの流れを作る天の川みたいな線との違いがあります。

そういえば、昔天体観測を外でしていた時に、説明してくれていた人が「死んだらみんな星になる」と話をしていました。それは死んだらすぐに星になる訳ではなく、いずれ太陽が爆発し、地球が壊れてしまった時に、人類含めて地球自体が塵芥になって宇宙を漂って、それが宇宙で新しい星の一部になるという話です。

地球が壊れると無慈悲な宇宙という非人間的自然の中に人間が入り、その非人間的自然の一部に人間が変わっていくことも超自然的に思え、面白く感じました。

本の感想としてはまとまりなくなってしまいましたが、「死んだら、みんな(数億年後には)星になるんだよ」という心持ちと、空を見上げるちょっとした時間をたまには持ってみるといいんじゃないかなと思いました。

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