見出し画像

スピリチュアルズを読んで思うこと

スピリチュアルズ
橘玲(著)

つけた「いいね」を分析することにより、その人がどんな人かがわかってしまうということを知り、そのことについて書かれた本ということで読んでみようと思いました。

表紙です

どんな本か

人を分類する要素はある程度限られていて、それが科学的にわかってきているので、「わたし」がどういった人間かを科学的に理解することができるようになる、ということが書かれています。理解することで自分らしさ、オリジナルな物語を作ることができるようになる、そんな内容でした。そのさきに「わたし」がわかるのであれば「あなた」もわかり、人の傾向がわかります。わかれば接し方も行動もわかるようになるので、うまく誘導したり自分が望む結果を出すことができる、そんなことも書かれています。

筆者のコメント抜粋

「わたしもあなたも、たった“8つの要素”でできている」ことを「スピリチュアル理論」と名づけることにした。「わたしとあなたはなぜちがっておるのか?」という人類がずっと抱き続けてきた疑問が解明できるようになった。本書から、自分のパーソナリティについてなんらかの気づきを得られたのではないだろうか。自分を知ることが大事なのは、けっきょく、自分がもっているものでなんとかやっていくしかないのだからだ。「自分さがし」というのは突き詰めて考えるなら、自分のキャラ(パーソナリティ)とそれに合った物語を想像することだ。おそらくは、人生にそれ以外の意味はないのだろう。

読んでのまとめスケッチ

8個をイメージとともにまとめてみました.

読んで感じて思うこと

「このアルゴリズムを使えば10の『いいね!』で同僚よりも相手のことがよくわかるようになり、70の『いいね!』で友人のレベルを超え、150の『いいね!』で両親、250の『いいね!』で配偶者のレベルに達する」

『いいね!』といった大したことだと思っていなかったデータと、ビッグファイブ(本書では8つに拡張されていますが)を組み合わせることで、どんな人かがわかってしまうということです。そのわかった結果を使って、大統領選挙を操作してしまうことができる世の中になっています。SNSの登場とビックデータを分析できるPCなどのデジタルの発展が、心理学が進展させています。デジタルの発展によって世界が変わっていくのは、通信やGAFAMなどのテック企業に代表されるビジネスだけでなく、学問の世界にも大きく影響を与えているんだなぁと改めて思いました。

今回読んでみての発見は、世の中には「残酷な事実」があることがある程度わかってきたということと、普段そういったことは極力言わないようにしているのだということに気づきました。

・男女差が明確にある
・堅実生パーソナリティが(ある程度)生育環境で決まる
・「外見」は疑いなくパーソナリティに大きな影響を与えている
・知能の遺伝率は成長とともに上昇し、思春期を過ぎると70%を超になる
・パーソナリティの遺伝率が5割ということは、残りの半分は非共有環境の影響になる
・子育ての努力はパーソナリティ形成にほとんど影響を与えない

書いてみたら当たり前に思えるのですが、あまり明確に言われていないように思います。努力でなんとかなるとか教育でなんとかなるという話が根強いと思いますが、個別の経験による影響が5割しかなく、遺伝による影響が5割という割合で自分がどういう人かが構成されていました。そしてそれが「いいね!」でわかってしまうという時代です。

今までの当たり前が否定されていき、新しい当たり前を目の当たりにする、時代だなと思います。以下はもう一つの発見で、今まで思ったことのなかった新しい当たり前の文章を抜粋しました。

・「再現に失敗した」ことと「心理的効果がない」ことは同じではない
・「すべての人は神である」
・「唾液と正確になんの関係があるのか」と不思議に思ったに違いない
・「愛は世界を救う」のではなく、「愛」を強調すると世界はより分断される
・「意志力は消耗品である」
・知能が高いほど堅実生は低くなる
・「自尊心を養っても学業やキャリアが向上することはなく、それ以外でもなんらポジティブな効果はない」

本書の最後で、10の質問に答えることで自分のビックファイブの分類ができてしまうので、試してみると面白いです。(より詳細な性格判断基準との一致率は84%だそうで10の質問で、十分わかってしまいます。)額にQをどっちむきに書くかで「セルフモニタリング(自分が他人からどう見られているかを観察する)」のテストも、あぁなるほどなぁ、と発見があります。

ネタバレですが、Qを向かって人に見えるように額に書くとセルフモニタリングが高めだそうです。セルフモニタリングが高めだとわかった自分でも、経験の解放性が高いことや、堅実性と協調性と情動の安定性も高めで、外交性が最低値である人間であることに、改めて気づくことがありました。

まだまだ人の性格についても完全にわかっているわけではないと思いますので、ここからまたスピードが上がりそうなので、情報を更新して、アップデートして、一新していくことが必要かなと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?