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センスは知識からはじまるを読んで思うこと

センスは知識からはじまる
水野学(著)

センスは特別な才能ではなく、知識を蓄積することで誰にでも身につく、ということが説明されていると知り、読んでみました。誰でも身につけられるとなると、「センスないからなぁ」と言いづらくなりそうです。「センスがないから…」は「そうかもね、センスってむずかしいよね…」で済むと思いますが、「知識がないから…」は「そうだよね…、って、調べるなり、勉強しろよ!」ってなっちゃう気がします。

本の表紙

本の説明

センスは感覚、直感、才能、先天的なものではなく、知識や積み重ねで作られると説明されています。実例を交えて説明されているおり、考えている順序も全て明かされています。思っていた以上に具体的で、理論と例題が載っている参考書のようです。本に書かれている最初の一文の「僕はたいてい、手の内をあっさり明かします。」は本当でした。

著者の意見

センスの良さとは、ミステリアスなものでもないし、特別な人だけに備わった才能でもありません。方法を知って、やるべきことをやり、必要な時間をかければ、誰にでも手に入るものです。「でも結局は、持って生まれたセンスも大事ですよね?」と言われてしまうことが多々あり、本書を書きだしました。「普通の人」でもセンスという世界で勝負することができるのです。
 センスとは何かを明らかにし、センスを鍛えるトレーニング法もお伝えいます。本書を手に取ってくれたみなさんが「センスという恐怖の言葉」の呪縛から解き放たれることを祈っています。

読んでのまとめスケッチ

まとめスケッチ

読んでの感想

初めてタイトルで「文字詰め」してみました。(一つひとつの文字の間の余白を均一に見えるように微調整することです。)知識→基準→判断→最適化の順で繰り返していくことで、センスのよさを身につけれれるとわかりました。主観や思い込み、不勉強がセンスの敵だとあったので、知らなかったことに触れた際に試してみるべきかと思い、「文字詰め」にトライしました。意外と時間がかかり、終わり(完成)が分かりづらいものでした。
 同じ日常で過ごしていると知識の吸収が止まるので、本屋を5分で回って気になる本を手に取って見てみるなどの方法も紹介されていました。Amazonのリコメンドじゃダメだ!とは書いてありませんでしたが、普段の視界に入らない事柄に注意を向けるのが良いのだと思います。そのためにも「旅」(非日常に触れること)から始めてみようと書かれてあり、自宅で非日常を体験していた「0メートルの旅」を思い出しました。

著者の水野さんもクリエイティブディレクターでデザインの仕事をしていますので読んでいても思うのですが、センスが必要だと一般的に考えられるのは、やっぱりデザインやアートの世界だと思います。デザインとアートは別(私はデザインは問題の解決でアートは問題の提起だと思っているのですが)ではあるけれど、より才能や感性が必須だと思われるアートの世界では、アートの文脈の理解が必要で、知識と理論が必要です。(「13歳からのアート思考」「人類を前に進めたい」などに書かれていました。)知識の集積となると、当然ですがパッとセンスが良くなるわけではなく、地道な行動のチリツモが必要なので、一発逆転はほぼない世界なのだなとも思いました。

 描きたいことを書いてみましょう!この絵を見て感じたことを書いてみましょう!などの、個人の好き嫌いや実技だけに偏りすぎている授業では確かにより良いものは生まれないのではないかと思います。
 美術ではなく家庭科などの料理で想像すると、なおさら無理な気が私はします。(自分が美味しそうと思う料理を好きに作ってみましょう!と言われて美味しく作れるは自信は全くありません。。)
 センスはマナーであり、チューニングであり、事前準備であり、予習でもある。ある意味やっていて当然なことと言えなくもない。そういうことでは、デザインやアートだけでなく、読書でも事前に背景を知った上で、読むことが必要になってくるのかなと思います。筆者がどういう人か、どういう思いで本を書いたかがわかる、後書きから読むのもよさそうです。これから「はじめに」「後書き」を読んでから本編を読んでみようと思います。

仕事でも日常の生活でもセンスが必要になり、「わからないのはセンスがないせい」ではなく、「わからないのはセンスを磨く努力をしていないせい」だと本に書かれていましたが、センスがマナーとなるという社会では「センスがない」ではもう許されなくなる社会だという、なかなか辛い世の中だということに気づいてしまいました。
 とはいえ、「知識あるね」と言われるより「センスあるね」と言われるほうが嬉しかったりします。なので、内容まで紹介しちゃってますが、センスは知識からはじまるという「知識」はあまり広まって欲しくないなと思いました。 


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