発話が苦手な人間の海外渡航

国際学会に参加するため,アメリカに行くことになった。初めての海外渡航だった。
発話が苦手なひとが海外に行く際の参考になるかもしれないので書き留めておこうと思った。ただし,ずっと1人で行動していたわけではなく,一緒に行動していた人にかなり助けられていたため,あまり参考にならないかもしれない。

渡航前準備

入国審査が恐ろしいと指導教員から脅されていたため,入国審査でよく聞かれることを調べた。ネット情報によると,渡航目的,滞在期間,滞在先,同行者の有無,帰りの航空券の有無がよく聞かれるとのことだったので,事前に回答を考えておいた。

移動

羽田空港

最初の発話機会は羽田空港での荷物の預け入れだった。チェックインはネットでできたものの,荷物の預け入れは人のいるカウンターに行く必要があった。パスポートを見せるよう英語で話しかけられた。カウンターに行く時点で話す必要があることは覚悟したが,英語で話しかけられるとは思わず油断していた。(国際線はデフォルトが英語なのか…?)パスポートを見せると,日本人だと分かってもらえて,その後のやり取りは日本語にしてくれた。行き先,滞在先,滞在期間を聞かれ,答えた。

飛行機内

飛行機内で必要とされる発話は,国内便とほぼ同じだったが,飛行時間が長かったため,機内食が2度あったり,飲み物の提供が2~3度あったりと発話機会は多かった。添乗員さんは英語を話す方と日本語を話す方,両方がいた。

シアトル・タコマ国際空港

乗り継ぎのため,シアトル・タコマ国際空港に行った。ここで,同じ研究室の後輩と合流した。どこに進めば良いかわからなくなった時には後輩が空港の人に尋ねてくれ,助かった。
預入荷物を受け取った後,渡米前から身構えていた入国審査に進んだ。入国審査の人はとても口数が少なかった。英語がわからなそうだと判断されたのかもしれない。指紋(掌紋?)を取る機械に手を載せるよう無言でジェスチャーのみで伝えられ,私も無言で指示に従った。
入国審査の質問は,「渡航目的」,「滞在期間」,「食べ物を持っているか」だった。「食べ物を持っているか」は予習していなかったため,少し戸惑ったが,答えることができた。3つの質問だけで入国審査は無事終わった。

デンバー国際空港

飛行機を乗り継ぎ,デンバー国際空港に到着した。ここでも後輩に頼り,私が話す必要は特になかった。Uberによる配車を使用して移動したが,運転手との会話も後輩がやってくれ,無事,ホテルに着いた。

ホテル

チェックイン・チェックアウト

一緒に行動していた後輩と部屋は別だったものの,ホテルは同じだったため,チェックイン・チェックアウト時も頼り切っていた。従業員との会話は後輩がやってくれたので,私は付き従い,自分の部屋の鍵を受け取ったり返したりするだけだった。

Wi-Fiの使い方がわからない

ホテル滞在中に困ったことが2つあった。1つ目は,ホテルのFree Wi-Fiを使用したかったのだが,つなぎ方がわからなかったことだった。Wi-Fiが使えないのは大変困るので,仕方なくフロントに行き,尋ねた。

タオルが足りない

困ったことの2つ目は,タオルが足りなくなったことだった。私は,スリッパを持っていくことを失念していたため,室内の床にタオルを敷き,裸足で歩ける道を作っていた。この道のために沢山のタオルを使用していたのだった。4泊したのだが,何も言わなくても毎日部屋の掃除が入り,タオルを取り換えてもらえるものと思っていた。しかし,どうもそうではないらしかった。2日目,出かけて,夕方に部屋に帰ってくるとタオルは取り換えられておらず,2日目の夜には部屋にあったタオルを使い切ってしまった。仕方がないので,3日目の朝,フロントに行き,ハウスキーピングを依頼した。

美術館

学会に参加するため,アメリカに行ったのだが,早めに着いていたため,1日は暇であり,後輩と一緒に美術館に行った。ここでも後輩が受付け等のやり取りをしてくれた。私は何も困ることなく,美術館を満喫した。

国際学会

3日間,国際学会に参加した。国内の学会とは雰囲気や使用言語が異なっていたものの,話す場面や内容は国内の学会とあまり変わらなかった。話す必要があったのは,受付け,自分の発表,他者の発表への質問くらいだった。発声の困難による問題はなかったが,英語が苦手なので,英語がわからなくて困ったりした。

お店

スーパー

食料を買うため,スーパーに行った。私が行ったスーパーには,セルフレジがあり,話す必要がなかった。日本にいるときと同様,セルフレジのすばらしさを感じた。

雑貨屋さん・お菓子屋さん

お土産を買うため,いくつか雑貨屋さんやお菓子屋さんにも行った。そこでは,お店の人たちがあいさつをしてきたので,返さないと変かと思い返事をするようにしていた。レジ後も挨拶をしないと変な感じなので,お礼を言うようにしていた。(これらはもしかしたら日本でもやった方が良いことなのかもしれない。)

飲食店

席に着いて,店員さんが注文を聞きに来てくれるタイプの飲食店は日本と同じ感じだった。メニュー表を指差し,注文することができた。一緒に食事に行った人が私の分の注文も店員さんに伝えてくれることもあった。
レジカウンターで注文をするタイプのお店は,カウンターにメニュー表がなく,大変だった。日本では,カウンターに貼ってあるメニュー表を指差し,注文しているのだが,それができないので,話すしかない。声が小さいのか発音が悪いのかわからないが,よく聞き返された。

最後に

アメリカにいる間,努力を要することも度々あったものの,アメリカ特有の大変さというのは多くなかった。日本と異なる大変さと言えば,主な使用言語が英語であること(この大変さは英語が苦手であることが原因であり,発声の問題ではない),レジカウンターにメニュー表がないことの2点だった。
どこでも同じだと思うが,頼れる人と一緒に行動すると安心である。頼れる後輩がいて良かったなあと思った。この後輩がいなかったら大変なことになっていたかもしれない…

おわり。

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