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荷物を飛行機に預けるということ

旅行に行くときに、どんなものを持っていくだろう?
寒い地域に行くのであれば、厚着をするために、服がかさばってしまう。
暑い地域に行くのであれば、水着や替えのシャツが多くなるのだろうか?

はたまた、旅行先でダイビングをするために、ウェットスーツ。
山を登りたいので、登山グッズ。
そんなこんなで荷物が増えてしまうのではないか?

荷物が増えたら、入れ物も大きくなってくる。
そうなれば、機内に持ち込むことは出来ない。
なので、そういった荷物は預けることになる。


「スーツケースが汚れたんだけど……」

少し日に焼けたのか、小麦色になった肌をした、
ワンピースを着た女性が話しかけてきた。

「どうされたんでしょうか?」

女性が預けていたのであろう、白のスーツケースをひいてきた。
恐らく、そのスーツケースが汚れたということなんだろう。

「買ったばっかりのスーツケースが汚れたんだけど!!」

イライラしているのだろう。
腕を組んで、落ち着きなく足で音を立てている。

白いスーツケースを見てみると、サイドハンドル付近に、
黒く色がついている。

「触ってもよろしいでしょうか?」

許可を取って、汚れは手につくような、
汚れがあるわけではないようだ。

「恐れ入りますが、こちらのスーツケースにある汚れですが、
 わたくし共では補償の対象外です」

新品の白のスーツケースが汚れてしまっては、
残念だろう。
しかし、汚れた、では補償の対象にはならない。

「なんでよ!! 新品なのよ!?」
女性はやはり納得していないのだろう。

「ホームページにも記載をさせていただいておりますが、
 軽微な破損として”汚れ”を記載をしております」
私たちとしても、補償の対象ではない根拠と共に、お話をするしかない。

「汚れたのよ!! これからも使うのに恥ずかしいじゃない」
汚れたスーツケースを持って歩くのが恥ずかしいということなのだろう。

「申し訳ありませんが、搬送にはベルトコンベア、
 搭載した際に他の荷物と干渉することで、汚れが付くことがあります」
「このような事象でついた”汚れ”については、補償の対象ではありません」

「もう!! 話にならない!!」
そう言って、到着ロビーを出て行ってしまった。
怒りが収まらないのであろう。
到着ロビーを出たところで、出迎えに来ていたのか、
男性に大きな身振り手振りで話をしているようだった。


ものを大切に使いたい。
そういう思いはとても良いと思う。

しかしながら、スーツケースは荷物を運ぶものであり。
中のものが汚れないように、壊れないように、
使っているものだ。

そして、お客様から預かった時にも、お客様に返す時にも、
ベルトコンベアを使う。
ベルトコンベアとスーツケースが擦れると黒い汚れが付くことがある。

荷物はコンテナと呼ばれる入れ物に入れることや、
機体に直接積み込んで固定することもある。
固定はもちろんするのだが、飛行機は揺れるので、
揺れたことで荷物同士が干渉することで汚れることもある。

新品のスーツケースが汚れるのは残念だと思う。
しかし、汚れないで運ぶためには、カバーをしておくことをおすすめする。


なお、今回のケースは日本国内だからだ。

海外でこのような話を職員にした場合、
《は? 何言ってんの?》
という顔をされてしまうだろう。

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