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飛行機に風船を持っていくということ

空港で働く私たちにとって、小さなトラブルなんて、当たり前

それでも、幼く、無邪気な子供たちの泣いている姿は、
やらなければならないことをしているのに、
心苦しい気持ちになる。

夕方、空港のロビーを歩いている親子が見える。
楽しかったアトラクションの話をしているのか、
お母さんであろう女性の方を向きながら、子供は笑顔で話している。

テーマパークで買ってもらったのであろう、
キャラクターの形をした小さな風船が入っている、
その風船が入っている直径が45cmくらいの風船を持っている。

出発時刻が近づいているのか、保安検査場に向かって歩いてくる。

「じゃあ、飛行機見に行こうか」
そう女性が子供に声をかけている。

そこに私たちは声をかけなければならない。

「こんばんは、少しお話をよろしいでしょうか?」
声をかけると、女性と子供が私を見た。

「はい、なんでしょうか?」
女性は驚いたように答えた。

心苦しいが、伝えなければならない。
「お客様、恐れ入ります。
 お持ちいただいている、風船ですが、
 機内への持ち込みはご案内いたしかねます」

「なんでですか?」
子供が不思議そうな顔をしている。

「風船は飛行機に持っていくと、割れるかもしれないから、
 持って入れないの」
子供に目線を合わせて、話をする。

「どうしても持っていくことは出来ませんか?」
女性からはそう質問をされる。

「膨らんでいる風船を機内に持ち込むことは出来ません
 しかし、風船内の空気を抜けば、持っていくことも可能です」
捨てる以外の方法はこれしかないのだ。

「試しに空気を抜くことが出来るか、
 やってみてもいいでしょうか?」
ストローのようなものがあれば、空気を抜ける可能性がある。

女性から、
「持っていきたいので、お願いします」
とお願いをされたからには、やってみるしかない。

テーマパークで売っている風船は、空気弁が備えられているものが多い。
しかし、風船が2つ合わさった形のものは、難しい。
空気弁までの長さがあり、長さが足りず、空気が抜けない可能性もある。

結果、風船の空気を抜くことが出来た。

「空気は抜くこと出来ましたので、
 こちらをお持ちください」

「ありがとう!!」
そういって、女性に手を引かれて、子供が歩いていく。
なんとか間に合って、よかった。


テーマパークなどで売っている風船を飛行機に持っていくことは出来ない。

何故なら、割れる可能性があるからだ。

一般社団法人日本バルーン協会において、
水素ガスの禁止が明記されていることから、
可燃性の水素ガスが使われている可能性は低い。

それでも持ち込むことが出来ないのは、
中に入っている気体がなんであるかを確認する方法がない。

また、飛行機の中は、約0.8気圧程度ともいわれている。
そうなると、風船の中の空気が膨張し、風船が割れることにつながる。

機内で風船を割るということは、安全阻害行為にあたる。
その為、そうならないよう、持ちもむことは出来ないのだ。

もし、飛行機を使ってテーマパークに行くのであれば、
風船は買わないことをおすすめする。

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