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『秩父宮にラグビーを観に行ったけど、今ひとつ良く分からなかったときに読む本』

Kindle電子書籍『秩父宮にラグビーを観に行ったけど、今ひとつ良く分からなかったときに読む本』より「まえがき」の一部を抜粋して公開します。


まえがき

 ラグビーはクセのあるスポーツです。
 ルールが分からないながらも何度となく観戦していれば、そのうち自然に分かってくる類のスポーツではない――。
 これは著者の経験からそう言えます。
 どこかのタイミングで意識的に学ぼうとして学ばないと、ラグビーのことは永遠に分からないままと言える。
 ちなみに、ここで筆者が「分かる」と言うのは、ラグビーの試合において、何が起きているのか・レフリーはなぜ笛を吹いたのか・チームはなぜその選択をしたのか・どちらのチームが優勢なのか・なぜ会場からブーイングが起きているのか、といったことが〝納得感〟を伴って理解できることです。
 これらのことが「分かる」ようになれば、「ラグビーというスポーツは、ルールが分からなければ――少し言いかえると、どのような制約のもとに選手たちが動いているのかが分からなければ――、観戦の愉しさが大きく損なわれてしまうスポーツである」と断言できます。

 本書は2019年7月に出版しました。ラグビーワールドカップ日本大会が開幕する2か月ほど前のことです。
 ラグビー観戦を愛でる者の端くれとして、このスポーツの面白さを、ひとりでも多くの人と分かちあいたいという気持ちからでした。
 ――ラグビーには、鍛え上げた肉体どうしの激しいぶつかり合いがある。それだけで見応えがある。だから多少ルールの理解があやふやでも「それなり」に楽しめてしまう……。
 しかし、その地点にとどまっているのでは、もったいない。そこからもう一歩進んで、ラグビーをその原理・原則から理解するようになれば、もっともっと豊かな世界が拓けてくる。
 自分にはラグビーのプレー経験はないけれど、自身の観戦経験を活かせば、かつての自分がそうだったようなラグビー観戦の初心者を、その世界のとば口――少なくとも「ラグビーの〝考え方〟が分かった!」という自覚が生まれるステージ――まではお連れすることができるはず……。

(中略)

 記述には多少回りくどいところもあるかもしれませんが、本書を通読いただければ、ラグビーのゲームに関するこれまでのモヤモヤはスッキリと解消するはずです。

 本書の目標を一言でいえば、ラグビーのルールの「底」に達すること。
 そのために取り上げるキーワードが「祝祭」と「戦争」です。

――ラグビーは祝祭である
――ラグビーは戦争である

 ラグビーが祝祭であるというのは、ただのスポーツではないということです。
 ラグビーが戦争であるというのは、たんなる球技ではないということです。
 奇妙なことを述べているようですが、これらの意味するところは本文において明らかにします。


(続きはKindleでお楽しみください。)


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