初めての海外旅行の香港でジャケット買いしたCDアルバムのあの歌手は誰だったのかを二二年後に調べるの巻 #6
「ARIGATOU」は日本のカバー曲だった
Amazon Musicで検索しても、「サミー・チェン」のキーワードで山のように曲が見つかった。
いくつか聴いてみたが、これは間違いなく実力派の歌手ではないか。
歌ってよし、演じてよし。相当の逸材だ。
すると、先ほどのウィキペディアの記事に次の記載を見つけた。
サザンの「DING DONG」は知らないが、大黒摩季の「チョット」(1993年)なら知っている。これをサミー・チェンがカバーしているという。
ユーチューブで検索してみた。
の字幕で笑ってしまった。確かに「ちょっと待ってよ」と言っている。
あの時代に数多あった日本の歌謡曲の中から、あえてこれを取り上げた選曲のセンスが面白い。
そのままウィキペディアを読んでいくと、下部の「関連項目」の欄に次のリンクを見つけた。
これは何なのか? クリックする。
何と「ARIGATOU」はKOKIAなる日本のシンガーの曲だった。
大黒摩季の「チョット」と同じく、日本の曲のカバーだったのだ。
考えてみれば、それもそのはずで、日本と何の関連もないのに、「ありがとう」などというタイトルの曲を作るはずもない。(確かに作曲者はKOKIAと表記されているけれど、これが日本人だと気がつくだろうか?)
『カワズ君の検索生活』なるテレビ番組は知らないが、どうやら「ありがとう…」は、二〇〇〇年の私の旅の後に、日本でリバイバルしたようである。
◇
そのまま続けて、KOKIAについて調べてみる。
現役の歌手のようだ。
こちらもAmazon Musicで調べてみると、たくさんの曲が引っかかる。
もちろんその中に「ありがとう…」もあった。
再生してみる。
今までずっと広東語で聴いていたものが日本語で歌われているから逆に違和感を覚える。(日本語バージョンは歌詞が字足らずのように感じられる。)
ほかの曲もいくつか聴いてみたが、これはボーカリストとしてタダモノではない、と音楽に疎い私にも感得せられた。
日本よりも海外で先に売れた歌手であるようだ。
大学在学中の1998年にデビューして、翌年に「ありがとう…」が香港でヒット。それを香港のスター女優にして歌手でもあるサミー・チェンがカバーしてヒット。そしてその曲が入ったアルバムを、2000年に香港を旅した私が手に取ったというわけだ。
そんなことも知らずに私はこの曲を、香港の旅情に浸る曲として折に触れて聴いていた。
◇
ところで、「ありがとう…」が3位を記録したという香港国際流行音楽大賞とはどのような賞なのか?
私の調べによれば、これは香港電台(RTHK)なる香港の公営ラジオ局が1989年から主催しているアワードであるようだ。現在も続いており、2021年は第32回にあたる。
賞のカテゴリーは次のとおりである。
その名のとおり「国際流行音楽」だから、受賞対象はワールドワイドである。
例えば2021年の〝Super Gold Song〟は次である。
現在の流行に疎い私でもテイラー・スウィフトの名前は知っているから、相当にメジャーな歌手や曲に与えられる賞と推測される。
そのうち〝Top Japanese Gold Song〟と〝Top Japanese Artist/Group〟が日本に限定した賞であるようだ。
ちなみに2021年の〝Top Japanese Gold Song〟は次である。
また〝Top Japanese Artist/Group〟は次である。
受賞はファン投票が六割、プロによる採点が四割の合計スコアで決めるとされるが、〝Gold Song〟の三位に玉置浩二が入ってくるあたり、なかなか性格の読めないアワードではある。
ちなみに〝Gold Song〟は中国では「金曲」と書くのだな。
だからKOKIAの「ありがとう…」は、1999年の「最受歡迎日本金曲」の銅賞を獲得したということだろう。そのときの金賞および銀賞は何だったのだろう? と気になって調べてみたが、分からなかった。
いずれにせよ、デビューしたてのKOKIAにとって、このときの香港での受賞がアーティストとして浮上するきっかけになったことは間違いないと思われる。
(次回に続く)
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