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私なりの新生活〜平日会社員・週末販売アルバイト〜

いつの間にだろう、街中の桜が満開を迎えているではないか。
暖かな日差しに嬉々として上着を脱ぎ捨て、いつもより少し大きな歩幅で職場へ向かう。

うきうき、わくわく、そわそわ、しんみり。
3月、きっと誰もが感情を揺さぶる季節。

数年前に"9月入学論争"なる議論がニュースで話題になっていたけど、暖かな気候への移ろいに気持ち高まる春に新年度の節目を持ってくるとは考えたもんだなぁ、と私は思う。

そんな私の近況はと言うと、マンションの両隣の住人が立て続けに退去してゆくのを横目に、一種の春を感じていた。
5年前に私が越して来てから今日までの間、どのくらいの人がこのマンションに越してきて立ち去ったのだろう。

少し離れた街に諸用があり、数ヶ月ぶりに近場の駅に足を運んでびっくり。
これまたいつの間にやら、馴染みの駅は改修工事を経てすっかり小綺麗に生まれ変わっていた。
思い返せば数年前に改修工事の貼り紙を見かけたな。
「あと数年も先のことか…その頃にはさすがに恋人と同棲したりで引っ越してるだろうな」
そう思い込んでいたが、なんと現在も変わらずこのマンションで暮らしている。
(ちなみにその当時恋人はいなかった)

時の流れと世間の人の門出をひしひしと感じる…。
3月に限った話ではない、アラサー世代なら5年間も月日があれば
"昇級" "転職" "結婚" "出産" "家を買う"
いろんな転機を迎える人が大半だろう。

私はというとどうだ、2回転職はしたものの相変わらず変わり映えのない日々を過ごしている。
強いて言えば、さらに孤独を極めている。
スマホの写真を見返すと、花見やらホテルのいちごビュッフェやら、5年前の私は毎週末友人と遊んでおり随分と楽しそうに笑っていた。
今はというと、2ヶ月に一度友人とお茶をする以外は家と職場の往復しかしていない。
桜の見頃に気づかなかったのも、花見をする相手がいないので桜から目を逸らしてきたからかもしれない。

などと毎度の如く負の感情をしたためているが、「じゃあ5年前より不幸せなのか?」と自問すると、そんなことはないと思う。

変わり映えしない生活と言ったものの、ここ半年内でひとつ新たな試みがあった。
去年の冬に副業でバイトを始めたのだ。
本業の事務職が低年収ゆえにバイトを探していたところ、お客として好きだった菓子屋で繁忙期限定 販売スタッフの短期募集を見つけた。
個人経営のその店で求人募集なんて後にも先にも見たことがなかった、迷わず店まで足を運びオーナーに直接志願した。

こうして三十路にしてほぼ人生初の接客業へのチャレンジが始まった。
最初のうちは緊張のあまり、お渡し商品やおつりの金額を間違えるなど学生のバイトデビュー並の凡ミスを炸裂してしまった。
優しさとストイックさを持ち合わせたオーナから静かだが本気のお叱りを受けるたびに、自己嫌悪に陥った。

それでも大好きなその店頭に立つひとときが嬉しくて、少しでも店の役に立てるよう自分なりに頑張ってきた。
忙しい時期は本業と合わせると3週間程ほぼ休みなしで働きづめだったが、楽しさとやる気だけで乗り越えられた。

そして3月の終わりを迎える今、短期バイトが終わった。
オーナーのご厚意で4月からも長期バイトとして雇ってもらえることになった。

これからも大好きなその店の一員として働けるのが嬉しい!
変化と成長を遂げゆくその店に添い遂げるべく、私にも密かな目標ができた。(その目標は誰にも言わない。)

はたから見れば"週末だけバイト始めました"程度の小さな変化だが、私の感情は紛れもなくわくわくと揺さぶられているんだ!
なーんだ、変化のない人間だと思ってたけどあったじゃないか、変化。

"変化があるべき。変化がないのはよろしくない"という論を展開したいわけではないが、やはり日々に変化があると楽しいものである。
上記のような思考から脱却できない人には、
"うきうき、わくわく、そわそわ、しんみり"
些細な変化も愛してみてほしい。

4月からの微々たる新生活に期待を込めて、楽しく動き出していきましょう。

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