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バンドをやりたくて上京。そして性懲りも無く今も続けてる。1990年代〜編⑨(番外編・アルバイトあれこれ。悪徳不動産会社のチラシ配りetc..)

タイへ遊びに行った後の惚けた頭でアルバイトの面接を受けてはすぐ辞めたりしていたらお金が無くなってしまった。

当座の繋ぎのために週払いの仕事を探すことにした。

選んだのは「分譲マンションのチラシ配り」いわゆる「ポスティング」というやつだ。

その会社は西新宿のレコード屋が密集していた地域にあり、テキトーな格好で面接に行っても即採用となった。

社長は見るからに胡散臭くて90年代も半ばだというのにティアドロップ式の色の着いた眼鏡に長めのもみあげという70年代TVドラマ悪役スタイル。

社員は一見普通の人が多かったが。

会社は新宿でも配る地域は足立区〜埼玉の草加市が中心だった。

ちょうど夏の暑い時期で体力は使ったものの一人でできるし気軽だなと思っていたが。

正直、マンションが売れるか売れないかなんて俺にとってはどうでもよかったし、初めて歩く土地の景色を眺めながら歩くのは新鮮で最初のうちは悪くないバイトだなとさえ感じた。

だが何日か続けていると郵便受けにチラシを入れているところを住民に見られて「ウチには入れんなよ!」と怖そうなオッさんに凄まれたり、女性からは「不審者を見るような目で見られたり」とそれなりに気が滅入ることも出てきた。 

不審者といえばこんな出来事も。

ある日ガムを噛みながらチラシを配っていると猛烈に腹が痛くなってきてしまった。

駅からは遠い住宅街を歩いており周りにトイレらしきものも見当たらない。

もう限界だ、、、と思ったその時に地区の公民館のような建物が見えた。 

中では地域のおばちゃん達が盆踊りかなにかの練習中。

一刻を争う状況だったのもあるが「公共の建物だし借りても大丈夫だろう」と声もかけずにトイレに入ってしまったのがまずかった。

「あらっ!なんか変な人が入ってきたわよっ!」

と下町ならではのユナイト感で自警団モードになったおばちゃん達。

今まさに身体の中の邪悪なものを出している最中に男性トイレに入り込まれて個室の周りをぐるりと囲まれてしまった。

「すみません!歩いている最中に突然お腹が痛くなってしまって」と正直に話したら無事に解放されたが。

ロスアンゼルスの空港でカツアゲされた時よりも怖かった、、。

腹痛の原因はガムだったようだ。

今ではパッケージに「続けて食べるとお腹がゆるくなることがあります」と書いてあるけど当時はそんなの書いていなかったと思う。

毎日丸々一本は消費していたけれど次の日からガムを噛む量を減らすことにした。

チラシ配り以外にも炎天下に「マンション分譲中」と書かれた看板を駅前で持って立っているという仕事もあった。

この時にはじめて他のバイト要員と会う。俺以外には大学生の男女2〜3人。あとは誰とも喋らないちょっと挙動不審っぽい謎の青年が1人。

大学生のグループは気さくに話しかけてきてくれたり休憩時間に「お昼を一緒にどうですか?」と誘ってくれたりもしたが、当時はそんなのもめんどくさく感じてひたすら素っ気なくしてしまっていた。 

今考えると感じ悪かったなと思う。

もう一人の青年はファッションからなんとなく音楽とか好きそうに見えたりもしたが、とにかく何にも喋らないし休憩所でスポーツ新聞のエロいページを穴が開くほど凝視していたりした為か、大学生のみんなにも少々気味悪がられていた存在だった。

数年後高円寺のライブハウスにあるオルタナティブ系のバンドを観に行くとそこにその時の青年がいてびっくりしたこともあった(向こうもギョッとしていたがそれでも会話は無かった)

今だったら大学生ともその青年とも話してみるのにと思う。

不動産会社の社員の中に実家がラーメン屋さんでそこに「某有名パンクバンド」の人がよく食べに来るらしくそのバンドと「飲み仲間」だという人がいた。

俺が着ていたパンク系のTシャツがきっかけで話すようになった。

名前は忘れたが仮にBさんとしよう。 

Bさんは「今は不動産の仕事をしているが本当は嫌気がさしていて、いずれは辞めて実家を継ぐつもりだ」と話していた。

分譲マンションにしても「実際にはローンを払いきれないと思う人にも売る」とも言っていた。

まあ、そんなもんだろうとは思ってはいたけど実際にそういう話を聞くと真面目にチラシを配るのもアホらしくなってきて、途中から家に持って帰って捨てたりするようになった。

もともとが期間限定の仕事だったが最終的には分譲を抽選する会場で「いかにも人気がある物件のように見せかける」ために並ぶ「サクラのバイト」が締めくくりだった。

これはただ数時間並んでいるだけで一万円くらいもらえた。

「友達を呼んでもいいから人数を集めてほしい」と言われ何人かで並んだ覚えがある。

「スーツを着てカタギぶって仕事してるように見せているけど実際にやっていることはそんなことかよ」と呆れたけれど、そういう自分がそんなところからしっかりとアルバイト料をもらっている。

さすがに「こんなことしててもなぁ」と思いもう少し中身のある仕事を探すことにしたのであった。

※見出しの写真は当時より少し後のものだがこの頃は大体こんな感じだった。なんか変なメガネかけてるなぁ。







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