シンクロは確かにした。映画「シンクロナイズドモンスター」(感想)

 よく映画をレンタルして観るようになって、やたらと予告編を目にしていた本作。アン・ハサウェイが「もうあかんわ・・」と頭を抱えるポーズ、かわいすぎる! しかもモンスターとシンクロするだなんて、ウッキウキで借りてきた。

これでダメかわいいだと?

 「ダメかわいい」アン・ハサウェイが見れると聞いてレンタルしたはずが、かわいいアン・ハサウェイたくさん見れただけで終わった。ダメ女SEの私からしたら、お酒が入るとおしゃべりになるのも床で寝ちゃうのもなんにもダメじゃない。こちとら夜中に高円寺駅前の広場でひとり缶チューハイ飲んでるわ。他にダメなとこがあったらなら教えてほしい。多分わたしも自覚せずにやっている。

 主人公グロリア(アン・ハサウェイ)はNYで記者かなにかやっていたようだが仕事をクビになり、あんまりだらだらしているから彼氏に家を追い出される。が、地元に帰ってみれば実家は誰も住んでいないうってつけの空き家があり、小学校の同級生オスカーがとりあえずのバイトと家具を用意してくれる。十分ラッキーじゃないか!

ムシャクシャしてもないのにヤった

 ちょっかいを出してきた若い男を、一度拒否しておきながら唐突に誘うグロリア。なんで今誘った? わたしはセックスにはうるさいんだ。ムシャクシャしてヤったなら許すし、ビッチならビッチらしくもっと男を貪れ。そして狭いコミュニティの中で致しちゃったあとの若干の気まずさ・・もないのかよ! なんでヤった? もう一度聞く。なんでヤった?

地味すぎるロボット大戦

 タイトルにもあるように、グロリアとモンスターの挙動はシンクロしている。人が巨大なモノを完全にコントロールしている時点で、自立した生物ではなく、巨大ロボットだといっていいだろう。例えばパシフィックリムはロボットの造形もさることながら、最高のロボット制御シーンを見せてくれる最高のロボット映画だ。「いっけええええええ!」と拳を握る瞬間が、ロボット映画の醍醐味だ。

 それなのに! 遠く離れた地の、ビルや人々をぐっしゃぐしゃに踏みつぶすモンスターを制御する人間の描写が「大の大人が公園でつよく砂利を踏みしめる」だと? 湿っぽい土を靴で踏みつけるところをアップにされて、私はなんの感傷や感動を得ればいいんだ。モンスターとアン・ハサウェイがシンクロするというアイデアのその先は無いのか。なあ、もっとやれただろ?!!

不愉快な大人ばっかだな

 この映画は予想通り、モンスター云々より人間ドラマにフォーカスされている。それはいい。でもその葛藤が単純すぎるだろ。欲求があるならちゃんと昇華させる努力をすればいいのに、八つ当たりするだけで矮小な大人としか思えない。登場人物が全員記号的でひとりひとつくらいしか心に葛藤がない。人生楽そうだな。うちで飼ってるネズミだってもうちょっと複雑な神経してるぞ。

まとめ

 オスカーは勝手にグロリアの面倒をみたくて調度品を世話してくれるが、頂き物の家具が増えていく様は、せっかくの新生活を侵食されていく閉塞感そのままだ。若い男の自立心と子供っぽさや、その部屋立ち入っただけでそのひとの人間性に支配されるおぞましさの表現は美術のすばらしさそのものだろう。

 本当はひとつめの投稿だからもっと、何か、ほめちぎりたかった。それだけが心残りだが観ないといけないDVDはまだ沢山あるから大丈夫! すごく悪いみたいに書いたけど、「もうダメだー」「いややってやる」「やっぱもうダメだー」と奮闘するアン・ハサウェイはたっぷり味わえるので、かわいいアン・ハサウェイを期待する分にはお勧めだ。

いただいたサポートで映画を鑑賞します。 御礼として何の映画を観るか勝手にチョイスして返信、鑑賞後はnoteにてレビューとしてアウトプット致します。