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実習生としてのスタンス

〝実習に向けて必要なこと〟について、今度縁あって作業療法学生さんに伝えさせて頂くことになっている。

最近作業療法学生さんはもちろん、看護学生さんも作業療法場面を見学する機会があった。

たった2年半という自分の経験では考えが浅いかもしれないが、色々感じたことがあったので私なりに言語化して、学生さんに伝えたいことを整理していきたいと思う。

実習生のリハビリ見学

今回見学にやって来たのは1年生の看護学生さん。リハビリ室に突如「〇〇さんはいますか?」と現れた。私は「ここにいますよ」と言い、一応手を挙げる。私はがっつり介入中であったが、看護学生さんは駆け寄ってきてまず対象者さんに声をかけた。

上の人にリハビリの様子を見てきて、と言われたので来ました、学生で担当の〇〇です」

対象者さんは不思議そうな顔をしていた。慌てて「看護学生さんが今実習に来ていて、リハビリの様子を見学させて頂きたいとのことなんですが、よろしいでしょうか?」と伝えた。「あ〜さっき挨拶してくれた子ね、いいよ」と。穏やかな対象者さんに助けられた。

私が日常生活に関して尋ねている最中にも、学生さんは積極的に対象者さんに様々な質問をしていたが、正直作業療法の方向性のお話だったので見守ってほしかった。

見学を終えるとそそくさに実習生の部屋に戻ってしまい、私から学生さんに目的を伝えることもできず、もちろん質問されることもなかった。

最終日、また看護学生さんは突如リハビリ室に現れた。「見学?」と聞いてみると「最後の挨拶に来ました」と。

ん!?と思っているうちに「1週間本当にありがとうございました。」と元気よく最後の挨拶が目の前で始まった。口を挟む隙もなかった。「初めての担当させていただいた患者さんが〇〇さんで本当に勉強になりました。色々お話していただいて〜。元気に過ごしてくださいね。看護師になれるよう頑張ります!」とまあまあ語り、学生さんは涙ぐみながらリハビリ室を去っていった。

たった1週間という短い実習だったが、翌週も対象者さんは看護学生さんの名前をはっきり覚えており、「色々してもらったよ」と笑顔で語っていた。

もやっとした感覚

看護学生さんは確かに患者さんのことを知ろうとしていたし、積極的にコミュニケーションを取らなければという意識もあったかもしれない。

でも私の心はもやっとしていた。

知識や技術どうのこうのではなく、スタンスの問題である。初めて踏み込む病院という社会で身の振る舞い方が分からないのは当然な気もする。1年生であれば尚更だ。

それでも、患者さんにとっては人生における大きなライフイベントの真っ只中であり、言葉や態度に関しては〝初めての実習なので〜〟は通用しないと思う。

あとタイムマネジメントはして頂きたい。他職種の時間を頂く意識は大切だと思う。突然現れ、時間を取られてしまうのは、なかなか痛いのである。(その辺り指導者の方どうかお願いします…)

そう考えると、もう少し学校教育の中で対象者に向かう姿勢や、病院という組織における実習生としての立場や心持ちに関して、学生自身で考える機会が、教えてもらう機会があってもいいんじゃないかと思ってしまう。

実習生としてのスタンスと倫理

対象者に向かう姿勢に関して以前noteに記録したことを思い出した。

倫理は〝決まってはいないけどこういう行為を取った方がふさわしいよね〟という認識であり我々の職域を保ち、立場を示す。

私が言いたいのはこれに近い。そう感じて看護職の倫理綱領を読んでみた。

*以下枠内 日本看護協会 看護職の倫理綱領より引用

看護職は、いかなる場でも人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重し、看護職は常に温かな人間的配慮をもってその人らしい健康な生活の実現に貢献するよう努める。

養成校でも倫理に関する授業はあると思うが、実習前こそ確認する必要があるように感じる。

倫理綱領を読み合わせ、模擬症例を提示し対象者に関わる時、他職種から情報を得る時にどんなことを意識したら良いか、ディスカッションできるような授業があればいいなぁと思ってしまった。

と言っても私は病院で働く一作業療法士なのでそんな大それたことはできないが、せっかく機会も頂いたので、私に伝えられることは伝えていきたい。 




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