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社会全体で介護を支える

私はこれまで介護保険は患者さんの話だと感じていた。

患者さんの今後の生活の方向性を考えていく中で、介護保険は理解しなければいけないと感じていたが、なかなか学ぶ機会もなく、私の勤めている急性期病院では退院してから申請手続きor入院中に認定調査はあるものの決まるのは転院してから等、直接的な関わりが少ないないからという、今考えれば訳の分からないことを言い訳に、介護保険を学ぶ優先順位はかなり自分の中では低かった。そんな中、介護保険に関する講義を受ける機会があり、“介護保険に対して自分はどう関わることができるか考えよ”という課題が与えられたのだ。これは課題のレポートを自由に、砕けた感じにアレンジしたものである。

なぜ介護保険制度が必要なのか

まず感じたのは、介護保険制度は自分が思っているより身近な問題であるということである。自分のこととして捉えたきっかけは、少子高齢化が進み、2050年には高齢者の人口が3分の1を超えることはもちろん、平成13年の厚生労働省の調査において介護者の80%以上が女性であること、要介護者の22.5%は子の配偶者であるということを講義の中で知ったからである。この数字からいうと妻が夫の親の介護者になるというパターンが多いだろう。逆に、夫が妻の親の要介護者になるというのはなかなかいない印象だ、私もこれまで出会ったことがない。

正直これまで家族介護には違和感がなく、当たり前に思っている部分があった。しかし、もし私がこの先結婚できたとして、自分の親と配偶者の親が要介護状態となった時に自分が支えなければいけない状況になったら、自分の最低限の生活を営むことすら大変であり、やりたいことや仕事で頑張りたいこと等とても手をつけることはできないだろう。自分の面白いと思えることが一切できないなんて無理だな。私は生きていけないと思う。

作業療法の言葉を用いると、家族が要介者となった場合、しなければいけない作業と、したい作業、することを期待されている作業のバランスが崩れ、作業不均衡の状況になる可能性が高く、要介護者の健康を守ることができない点において、家族介護に頼るのではなく、社会で支えていく仕組みが大切だと私は理解した。

自分にできること


社会全体で介護を支えていく介護保険制度を維持していくために、作業絵療法士として私には何ができるかということに関して2点考えた。

1つ目は入院患者さんに自分にとって重要な作業を継続する大切さを伝えていくことや、退院後も継続できる運動指導を行うことである。要介護度別、要介護状態の原因疾患の割合では、「主として廃用症候群に関連する現疾患」が多くを占めている現状である。私が担当させていただく、内部疾患の患者様の中にはADL自立されているが、入院中の廃用予防目的にリハビリが処方されるケースも多い。(医師がリハビリの必要性を患者別に評価し、処方を出すという概念がない部門も存在しているため、入院患者は全員リハビリ処方をするものだ!という風潮が一部ある。)このような場合、ただ患者様の全身状態に合わせた負荷量で持久力運動や筋力運動を行うというような単調な介入になりやすいが、初めてリハビリテーションに触れるという患者様も多く、介護予防を考えるきっかけにはなるのではないかと考えた。今までADLが自立していた人、また今回の発症によって今後廃用症候群が予測される人が、入院でのリハビリテーションを機に不動による廃用進行リスクを理解し、自身の健康のためにも、自分とって重要な作業(趣味活動や仕事、家事など)を継続し、少し運動をしてみようとなれたら、介護予防に繋がるかもしれない。廃用症候群に関連する疾患は減少し、結果的に介護保険の支出は抑えられるのではないかと感じる。理想論でしかない気もするけど。


2つ目は家族の介護負担を考える視点を持つことである。作業療法士は対象者の人・環境・作業の相互交流を評価しアプローチをしていく専門職でもある。近年、作業療法の視点から家族の介護負担に着目した研究や尺度の開発が進んでいるようだ。(恥ずかしながら、私はつい最近知ったばかりである。)社会全体で支えていくことが必要な対象者に、適切に介護保険サービスが提供されるように、家族の介護負担を評価して、他職種と情報を共有し、今後の方向性を考えていくことも必要だと感じた。

以上、つい最近介護保険に関してほんのちょこっと触れただけの2年目急性期作業療法士が思ったことと、自分なりにできることを考えた結果である。レポートなので普段よりnoteの文章量としては少し多くなった。まだまだ知らないことだらけだな。回復期やデイケアで働いている大学の同期はどんなことを知っているのだろう。話が聴きたくなってきた。


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