見出し画像

急性期から使うADOC

学生さんから嬉しい声かけ

作業療法の学生さんが実習に来ている。

当院の実習システム上、半日私の介入場面を見学してもらうことになった。

私は急性期の作業療法って何だろうか?という疑問に対して自分がこれまで考えたことを、介入場面を通して簡単に学生さんに伝えるよう心がけている。

(詳細についてnoteで語ったことがあったので貼り付けておく。)


そんな半日の見学を終え、数日後。

「ADOCのアプリを使って介入することがあったら、是非見学させて頂きたいです」と学生さんが直接私に声をかけてくれた。

おおお〜、興味持ってくれた!

私自身ADOC勉強中の初心者だけど是非!!!


ADOC使用場面を見学してもらう

ちょうど学生さんがこれからも見学したいと言っていた、術後に覚醒不良が続いたAさんに対して、ADOCを使いたいタイミングがやってきた。

介入前に「今回はpaper版を使うけど、どんなことを聞いているのか、どんな使い方をしているのか意識して見学できると良いね」と伝えてからスタート。

今回は以下のような面接の流れを見学してもらった。

①入院した経緯を本人に確認

②ADOC paper版を用いて、絵を見ながら現在の生活で〝困っていること〟を具体的に聴取

③OTが重要だと思う緊急度の高い作業を本人に提案(今回は術前に聴取した自宅生活に沿ったADLに関すること中心に提案)

④OTが提案した作業の現在の遂行状況に関して本人の認識を確認

⑤なぜその作業を行うのが大変になっているのか、身体機能評価結果と結びつけて本人に説明

⑥目標を設定 作業療法の方向性を伝え本人に確認

入院直後や手術直後、認知機能低下などで対象者さん自身が身体状況を捉えるのが難しい場合は、自分はこのような流れでpaper版を用いることが多いです…。

皆さんはどのように使ってますか?是非教えて頂きたい。

+ なぜ急性期からADOCを用いるのか

目標設定に関する文献を色々読みながら、一個人が考えたことなので、文章長すぎて読むの面倒くさっという方は次の見出しまで飛ばしてください。

なぜこのようなADOCの使い方をしているのか、学生さんに説明した内容を、自分の頭の中を整理する目的で文章として残しておく。

まず自分の身体のことがよく分からない状況で、いきなり重要な作業を挙げろって言われても難しい。今困っていることを共有して、様々な手段を用いてOTが解決策を提案し、作業療法を進めていく中で「作業療法は自分がより良い生活を送るためのリハビリだ」っていう認識が自然と対象者さんの中に生まれると1番いいなと思っている。急性期からそんな認識が対象者さんの中で生まれると、回復期へ行っても円滑に作業療法が進むと思うし、より自分らしさのある生活を支援することに繋がりそう。私はこんなことを意識して介入するようにしている。
対象者さんから困っていることが挙がらなかったというのは、面接失敗ではなくてそれはそれで評価結果。対象者自身が身体状況を理解したり、生活で困ることを考えたりすること、そのものが目標となって、私たちOTは関わり方を考えていく必要がある。急性期は病態すら安定したら、最も機能回復が期待できる時期であると思うし、そこでADLの改善が求められるのも当然のこと。緊急度の高い作業として、OTから必要な作業を提案していく必要もある。

学生さんの感想

学生さんは今回の実習で初めてADOCを知ったよう。私が今回ADOCを用いた意図を説明すると、新鮮さを感じたのか、目を輝かせながらよく頷き、「面白いですね」と答えてくれた。

「認知機能がしっかりしていないと使えなさそうだなと思っていました」「こんな使い方もできるのですね」「絵だから患者さんも分かりやすいですよね」と色々話してくれる学生さん。

私もADOCを初めて知ったのは学生の頃。実習での担当症例さんの介入に難渋して、大学の先生に相談した時に教えてもらった。その時の道が開けた感覚は今も忘れないし、すぐにpaper版印刷して実習地に持って行った。

出会えてよかった〜!と今でも心から思っている。

学生さんにとって今回のADOC使用場面の見学が、作業療法について考える良い機会になっていたらいいなと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?