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終末期の作業療法とリハビリテーション

終末期について考えるようになった理由

今年度からがんの患者様を担当させて頂く機会が増えた。疑いで入院して初めてがんという診断がついた人、化学療法治療や放射線治療を初めて導入する人、化学療法のために毎月のように入院される人、化学療法のレジメンを変更してきたが効果が現れず適応がなくなり、疼痛コントロール目的に入院する人、在宅療養していたがADL低下によって療養場所の調整を求めて入院する人、急変によって看取り方向の人。2年目の作業療法士としては有難いくらいに沢山様々な方に携わらせていただいた。病期によって入院の目的が異なる中で、作業療法の目標とは何かと考えさられる場面がある。

自分の経験から〜作業療法と目標設定を読んで〜

今回斎藤佑樹さん編集の臨床作業療法NOVA「作業療法と目標設定」に終末期の目標設定に関して特集が組まれるということで気になっていた。読んでみて、自分のわずかな経験も踏まえながら、考えたことを記録する。

正直終末期は作業療法の説明も難しいと感じている。予後がICされ涙ながらに話を聞いていた、というカルテ記事を見てから、介入に臨むことは少なくない。そんな状態で、「残りの期間で自分らしい生活が遅れるように、意味のある作業遂行の支援をします」とは言い難い。

記事を読んでみて、まずは身体的な苦痛だけでなく、精神面、環境面まで含めたトータルペイン=全人的苦痛を理解・共有することに努め、信頼関係を築くことが大切だと感じた。

対象者らしい最期を迎えられうよう支援することが作業療法が担うべき役割だとは思うが、作業療法士が〝意味のある作業遂行〟に囚われすぎて、対象者の思いを置いてかないように配慮する必要がある。

対象者がどのように病気を受け止めているのか、表情や言葉の選び方から探り、作業療法士 としてどう介入するべきか個々の事例によって検討するのは大変だが必要なことだ。

編み物や俳句などの活動を行うことで最期まで自分らしさのある生活を求める人。どれだけ痛くてもトイレまでは動かなくては困ると言い運動を求める人。下肢の浮腫の変化に動揺しリハビリに浮腫の軽減を求める家族。リハビリの時間を付き添い家族から離れて周囲を気にせず自分の思いを表出する場としている人。

人、作業、環境の相互作用を扱う作業療法士だからこそ、リハビリテーションにおいてどこに焦点を当てて介入していくか考えることができると思う。

今までの患者様との関わりから、私はがんの患者様のトータルペイン、リハビリテーションに求める内容は個別性の高いものだと感じている。対象者が作業療法の必要性を感じているか、家族の希望は何かも踏まえて、例え作業療法士として、自分らしい作業遂行が支援できないとしても、寄り添い理解しようとすることが最も重要で、必要なことだと思わされた。

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