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小学校時代のウンコにまつわるメルヘンな話

小学生はうんこを漏らす! 
うんこを漏らさない小学生はもはや小学生ではないと思う。

私も漏れなくうんこを漏らした。

登校班

小学校5年生、当時小学校には集団登校と言うシステムがあって、近所の子供達で5人ぐらいで1グループになり先頭を班長、最後尾を副班長が歩く。
私の地元は田舎だがやはりこの集団登校を採用していた。

とはいえ当時は今ほど厳しくなかったし、田舎なのもあってルールは緩く、朝に弱い子供は結構な確率で班に見捨てられ一人で登校していた。

私もまさにコレ。。

土曜の集団下校こそ班行動だったが登校はいつも一人、ギリギリに家を出ては遅刻ギリギリで4キロの道のりを歩いて通っていた。


戦友小池君

学校に着くと校門に先生が立っていって、「遅いぞ!!」と怒鳴られ、
「フぁぃス!!」
とか言う返事になっていない返事をしながら校舎まで走るのが毎朝のルーティン。
教室に着くとほぼ全ての生徒が既に着席している。

が唯一私とタメを張って遅い男がいた。

5年生になって初めて同じクラスになった小池君である。

彼の家は学校から500Mと超近い。
近すぎて遅刻スレスレを狙って来ているのか、単純にギリまで寝ているのか不明だったが、この小池君と私でクラス最遅を競い合う様になっていった。

先生が教室に入る数秒前に着席を決めるなど、この小池と言う男はマジで強者だった。
いつしか私は彼をライバル視する様になり、校門の裏に隠れて小池が現れるのを待つ様になっていた。

小池の家は小高い山の頂上に出来た新しい住宅地にあり、なんと彼の家の門から校門までは一直線の急な坂道。
しかも結構な傾斜で、夏休み前に地区別に集まって「夏休み中に行ってはいけない危険な場所」を生徒同志話し合う時に必ずトピックに上がる程の坂道である。

しかし当時の私は、坂道を降るだけで学校に着くと言う夢の様な立地条件に、なんて便利な家なんだと本気で嫉妬していた。

私が校門から坂を見上げると、いつもタラタラだるそうに歩く小池が小さく見える。 そして降りてくる小池を待ってから同時に校門をくぐり、一緒に教室まで走っていた。

小池との条約締結

半年近くそんな事をしていると流石に小池と仲良くなった。

ただ時間にルーズな者同士というだけなのだが、本人達はまるで何かの大会でいつも決勝で当たるライバルの様な気でいた。

休みの日にもよく遊んだし、例の校門まで伸びる禁断の坂道では、禁じられた自転車ドラッグレースを開催し死闘も繰り広げた(この話も今度書きます。)

そしてある日、気がつけばクラスで一番の仲良しになっていた小池の母親が私に提案した。

「そおだ!まぁちゃん! 朝家まで真司(小池のファーストネームw)迎えに来て一緒に学校行ってやってよ。 こいつ一人だと全然起きないからいつもギリギリなのよ」

なんてアフォな提案なんだろうか、 ギリギリ同志意気投合して仲良くなった私が迎えに来た所で何が変わるというのだろうか。。
ギリギリ+ギリギリはギリギリなのだから。

しかし同じ登校班に見放された者として、再び誰かと一緒に通学できるというワクワクと、小池なら早起きする必要もないし、という安心感からかアフォな私は「ファィス!」と意味不明な返事でその提案を受け入れた。

翌日から小池をピックアップする為山を登っては、二人で降るという荒業がスタートした。 

不思議なことに小池の為に回り道する様になったのに遅刻することは無かった。 
毎朝小池の家に寄っては二人で坂を降った。

ギリギリで。

三歩進んで10秒我慢

そしてある日事件は起きた。。

いつも通り小池の家に向かい坂道を登っていた。
既に家は見えている。

その時突然意味不明な腹痛が!!!
とはいえ単純にうんこをすれば治る類の痛みである。
小池の家でトイレを借りよう! しかしこの便意がまた巨烈だった。

肛門括約筋フルパワーで耐え、敵の勢いが弱まった隙に歩く。
敵はその隙を突いてまた攻めてくる。
急な登り坂なのも相まって壮絶な死闘だった。

ジワジワ耐えながら上り続ける。
100m程進んで坂を登り終えた時、いつもより遅くなったせいだろう小池が家から出てきた。 

残り20m。

門を開けてこっちを見た小池に「トイレ。。。」

「貸して」を言う前に既に最後の防御壁をニュルッと突破された感触・・。
こうなると敵は雪崩のごとく溢れ出してくる!
学校に着く前にパンツを汚すわけには行かない!と瞬時に判断しズボンとパンツを数秒で下ろし、小池の家の門の前に敵を解き放った。


ビバっ!!!!!  


まるで破裂音の様な音が響き渡ると同時に、自分の家の前で鬼の如き形相でウンコを垂れるクラスメートを見て小池が

「ウェァーーーーー!!!!」と叫んだ。

そして次の瞬間、何事かと小池の母親が家を飛び出してきて、

「チョっ!あんた何してんのよーー!!」


今思えば、新築が立ち並ぶニュータウン、息子が小学校高学年になってやっと手に入れた夢のマイホーム。
車庫にはお父さんの趣味であるカヌーも置いてある。
庭には綺麗に手入れされた植物達。

その幸せの象徴の様な家の目の前で、息子のトチ狂った友人が今まさにしゃがみ込んでウンコをしている。

時代が時代だったら殺されていても文句が言えない。。

「ごめんなざいぃーー」と泣きながらもまだウンコが止まらない私に、小池の母親はトイレットペーパーを持ってきてくれ、トイレで尻を拭いてくる様に言った。

小さな忘れ物

トイレから出た私に小池の母親は「大丈夫?パンツ汚れなかった?真司のパンツ履いてけば?」と気遣いながら、ホースで水を撒いて私のウンコを洗い流している。

散々我慢し堰き止めつづけたウンコだけに、アスファルトにこびりつく事なく綺麗に流れ去った事だけが唯一の救いだった。

学校に向かい二人で歩き出す。 確実に遅刻だ。

私が小池に「ごめんね」と謝ると、小池は下を向き、石ころを蹴りながら「しょうがないよ。お腹痛かったんだもんね。」と言ってくれた。

遅刻確定であった為、敢えて急ぐこともなく坂を降りた。

やっと校門に着いた時小池が少しだけ笑って私に言った。


これまぁちゃんのだね。


校門の下の段差に小さな水溜りが出来ていて、小さな丸いウンコが揺れていた。
振り返ると坂の上から一直線に伸びる水の跡。

私の肛門を飛び出したウンコは二人より先に校門に着いていた。

遅刻する事なく。

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